• 「働き方改革」が進められ、ワーク・ライフ・バランスを意識することで、仕事にやりがいや充実感などの幸福を強く求めるような社会になってきた。

     よりやりがいのある仕事を求めて転職するのが当たり前の時代になったといえよう。民間企業から自衛隊に転職するケースも、珍しくないようだ。

    Z世代の転職には自衛隊がオススメ?

    画像: ※写真はイメージです

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    「転職」という言葉にマイナス・イメージを持つのは、今や昔の話のようだ。平成のころまでは、「給料が安い」、「休みが少ない」、「人間関係に疲れた」という理由で転職を考える新卒者が多く、“大人”に相談すると、「3年間は石にかじりついてでも頑張ってみろ」などと励まされたものである。

     ところが、ここ数年、「会社に不満はないけど、上司が優しすぎて、自分が育ててもらえない」、「休みが多くて楽だけど、スキルが磨けないようで不安を覚える」、「自分が成長できないのではと感じる」というような理由で転職する若者が増えているという。

     ある調査によると、Z世代では就職に対して給料などの待遇よりも、「やりがいを感じたい」、「人の役に立ちたい」などを条件に挙げる人が多いという。

     それならば、Z世代の転職先には自衛隊がピッタリなのでは?と考えたマモルは、他業種から転職して入隊した自衛官に話を聞いた。

    坂部昂人1等海尉:大手化粧品メーカー営業職から海自のパイロットへ!

    入隊前の月収は約25万円

    写真提供/本人

    入隊前の月収:約25万円

    生年:1987年
    学歴:学習院大学法学部卒業
    前職:化粧品メーカー営業職 (2010年入社~13年退社)
    家族:妻、長男、次男
    趣味:スキューバダイビング、スキンダイビング

    入隊後

    画像: 写真提供/防衛省

    写真提供/防衛省

    月収:約55万円(航空手当込み)

    海上自衛隊入隊:2013年
    所属部隊(現在):海上自衛隊開発隊群 航空プログラム開発隊 
    任務:対潜哨戒機P-1の戦闘指揮システムのソフトウエアに関わる維持管理
    入隊後取得した資格:1級小型船舶、事業用操縦士、航空無線通信士
    任務の相棒:第1航空隊時代から使用しているフライト用のサングラス。このサングラスがあれば肉眼で約60キロメートル先にある目標も見つけられます!

    有事の際に行動できる仕事として自衛隊に入隊

     海上自衛隊入隊後に操縦士の資格を取りP‐3Cの副操縦士やP‐1の機長などを経験した後、現在は開発隊群の航空プログラム開発隊に所属する坂部1尉。「私はそこでP‐1の戦闘指揮システムのソフトウエア開発と改善、維持管理を担当しています」。

     そう話す、坂部1尉の前職は、大手化粧品メーカーの営業マンだった。

    「化粧品ブランドの小売店の担当として、各店舗の日割りから年間までの売り上げ計画の作成や、美容部員への新製品の紹介などを行っていました」

     ではなぜ、自衛隊へ転職したのか。

    「いちばん大きな理由は、東日本大震災が起きたときに、何もできない自分に無力感を感じ、有事の際に行動できる仕事に就きたいと強く思ったこと。考えて行き着いた結論が自衛隊でした」

     父親が民間機のパイロットだったことも、入隊に影響したという。

    「父が操縦していた、4つのエンジンが搭載されているジェット機への強いあこがれが、小さいころからありました。いつかは4発機を操縦してみたいという夢をかなえたいと思っていたんです」

     だが、航空機パイロットの道は険しい。

    協調性や団結力が身に付き、人として成長

    画像: 現在P-1の戦闘指揮システムに関わる坂部1尉。「同機を運用する飛行隊員から、ありがとうと感謝されるとやりがいを感じ、より頑張れます」と話す 写真提供/防衛省

    現在P-1の戦闘指揮システムに関わる坂部1尉。「同機を運用する飛行隊員から、ありがとうと感謝されるとやりがいを感じ、より頑張れます」と話す 写真提供/防衛省

    「私は一般幹部候補生から入隊し、操縦士になるために航空学生と同様の訓練を受けましたが、なかでも任務として飛行するのに必要な『事業用操縦士』の資格を取得するのは大変でした」

    「航空機の操縦には、飛行感覚を覚えるだけでなく、知識に基づいた正しい判断が求められます。それを習得するために毎日、フライトに必要な知識を勉強し、イメージトレーニングを何時間も繰り返しました。つらい日々でしたが、同期の『バディ』と切磋琢磨してやり遂げられました」

     転職の成果として集団で任務に臨む際の「協調性や団結力を身に付け、人としても成長した」という坂部1尉。「幹部自衛官として私が目指すところは「周りの意見を傾聴し、常に誠実さをもって任務にあたること」と語った。

    (MAMOR2024年4月号)

    <文/魚本拓 写真提供/防衛省>

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