自衛隊には数多くの部隊があり、中には自隊のテーマソング「隊歌」を持つ部隊もあります。
その歌詞を読むと、国を、地元を愛する気持ち、家族、仲間を想う気持ちが表されて、各隊員の心意気が伝わってきます。そんな隊歌にあなたも触れてみてください。
今回は航空自衛隊第9警戒群「第九警戒隊歌」をご紹介します。
第9警戒隊とは…
航空自衛隊下甑島分屯基地(鹿児島県)に所在。アメリカ空軍によって1954年に運用が開始されたレーダーサイトを、55年に自衛隊に移管するため、空自隊員を派遣したのが分屯基地の始まりで、日本の第1号サイトとして、58年より警戒管制業務が開始された。
61年に第9警戒群および下甑島分屯基地として改編され、2003年に第9警戒隊へ体制を移行。日夜を問わず警戒監視の任務に就く。
「第九警戒隊歌」の歌詞を紹介!
一
歴史も古き甑島
薩摩隼人の血を受けて
防人われら二百余が
誓いも堅く集いたる
おお団結の第九警戒隊
二
尾岳が峰に雲わきて
レドーム(1)白く光るとき
防人われらひたすらに
心をみがき技を練る
おお精鋭の第九警戒隊
三
西海はるかこの孤島
雨風あらしすさぶとも
防人われらゆるぎなき
無限の空に備えあり
ああ勇壮の第九警戒隊
この歌詞を解説
(1)レーダーのアンテナを格納し、風雨や太陽光から守るためのカバー
<作詞/満江敏郎 作曲/宇藤三千男 編曲/坂本洋一>
先人の苦労の積み重ねで今日のサイトがある
「毎朝、課業開始前に、当歌を放送しています」と教えてくれたのは、現在、第9警戒隊に所属する尾藤修一准空尉と今泉ここ呂空士長だ。
隊歌の前身の群歌は昭和時代からあったようで、2003年に第9警戒隊に変わったタイミングで、今の第九警戒隊歌に編曲されたそう。
歴代群司令の話によれば、「下甑島分屯基地開設当初の隊員が、恵まれない離島サイトの環境下にあって、苦労を苦労とも思わず不平不満も言わず、第1号サイトの誇りを持って黙々と働いてきたからこそ、今日の近代化したサイトの姿がある」のだとか。
「歌詞から、甑島と部隊の歴史、当時の任務や勤務環境を垣間見ることができるのが素晴らしい」と語る尾藤准尉。特に「本土から離れた孤島で、台風にさらされようとも、揺らぐことなく最善の策を講じ、柔軟に対応できる力」を歌った3番の歌詞がお気に入りだという。
一方、曲調に関しては、「冒頭は伸びのあるメロディーで歌い込むことができ、シンプルで覚えやすいのも良い」と今泉士長。
現役隊員も、団結し、切磋琢磨する意識を高めることができるという隊歌を、ぜひ聴いてみて!
(MAMOR2024年1月号)
<写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです