自衛隊には数多くの部隊があり、中には自隊のテーマソング「隊歌」を持つ部隊もあります。
その歌詞を読むと、国を、地元を愛する気持ち、家族、仲間を想う気持ちが表されて、各隊員の心意気が伝わってきます。そんな隊歌にあなたも触れてみてください。
今回は、2018年に新編された「陸上総隊」の隊歌をご紹介します。
陸上総隊とは…
陸上自衛隊の5つの方面隊(日本列島を北部、東北、東部、中部、西部の区域に分け、各区域の防衛のため、それぞれに置かれている部隊)を統括し、迅速かつ柔軟に、一元的な部隊運用をすることを目的として、2018年に新編された部隊。
防衛大臣直轄部隊のため、防衛大臣より直接の指揮を受けて、作戦を遂行することができる。
「陸上総隊歌」の歌詞を紹介
一
久遠の平和を願いつつ 空に影さす雲あらば
唯一無二の武士を 束ねて起こす神風を
嗚呼我らは陸上総隊 国の守りの使命は重し
二
父母より継ぎしこの大地 四方より寄せる波あらば
唯一無二の兵を 連ねて築く防波堤
嗚呼我らは陸上総隊 国の備えに揺るぎなし
三
不断に練磨を重ねつつ 救いを求める声あらば
唯一無二の精鋭を 遣わし救う何処でも
嗚呼我らは陸上総隊 気高き使命に誇りあり
<作詞/陸上自衛隊 河田一起 作曲/陸上自衛隊 内海一彰>
唯一無二の陸上総隊の団結を強くする歌
「当隊歌は、2018年に第2代陸上総隊司令官の指示によって制作が始まり、22年4月に完成し、お披露目されました」と答えてくれたのは、18年当時、陸上総隊司令部にいて、作詞を手掛けた河田一起2等陸佐だ。
陸上総隊の全隊員に歌詞の募集をかけ、隊員投票を行った結果、選ばれたのだという。
陸上総隊、特に司令部は統合運用をつかさどる統合司令部となることから、1、2番の歌詞では、航空自衛隊や海上自衛隊と連携して統合運用の中核となり、空や海からの脅威に対応することを表現。
3番では、それに実効性を与える教育訓練を行い、国民を守り抜くという意志を示したそう。
さらに1番では嵐の前触れである「空に影さす雲」、2番では大波の前触れである「寄せる波」という表現を用い、陸上総隊が兆候の段階で先行的に対応し、脅威を未然に防ぐような組織になりたいという願いも込められているのだとか。
作曲は全国の陸自の音楽隊に募集をかけ、こちらも隊員投票で決定し、陸自中央音楽隊が編曲を担当。
「陸上総隊司令部そのもの」を示しているという隊歌を、ぜひ聴いてみて!
(MAMOR 2023年9月号)
<写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです