•  来年のパリオリンピックに焦点を当て、毎日練習に励む自衛隊体育学校所属のアスリートを紹介。日本の活躍を祈り、みんなで応援しよう!

    【7人制ラグビー 梶木真凜 3等陸曹(福岡県出身)】

     1999年生まれ、福岡県出身。トレーニング中も劇中曲をかけるほど、劇団四季が好き。一番好きなトレーニングはスクワット。好きな食べ物はブドウ。嫌いな食べ物はパセリ。自分を動物に例えると、シベリアンハスキー。「見た目は少し怖いけど、話してみると全然違うので(笑)」。

    種目解説「7人制ラグビー」

     15人制ラグビーと同じフィールドを使い、試合時間は前後半合わせて14分。より多くの得点を挙げたチームが勝利となる。

     得点はトライ(相手のゴール領域内でボールを接地)が5点、コンバージョンゴール(トライ成立後にキックしたボールがゴールポスト間を通過)が2点、ドロップゴール(地面にワンバウンドさせてキックしたボールがゴールポスト間を通過)が3点、ペナルティーゴール(相手の反則により与えられたペナルティーキックによるゴール)が3点となっている。

    「スーパー高校生枠」で自衛隊体育学校に入校

     1924年のパリ大会を最後にオリンピック競技としては実施がなかったラグビーが、2016年のリオデジャネイロ大会より15人制から7人制に形を変えて復活。このとき初めて女子種目も加わった。

    「早い試合展開と本当に最後まで勝敗が分からないところが7人制の魅力です」と話すのは、自衛隊体育学校所属の梶木3曹。21年の東京オリンピックにも出場し、さらなる活躍が期待されている。

     体が弱いことを心配した両親の勧めで、双子の弟と共にラグビーを始めたのは4歳のころ。そこから、メキメキと頭角を現し、日本代表にも選出されてきた。自衛隊体育学校へは、地元の女子ラグビーチーム「福岡レディース」のチームメイトに勧められたことをきっかけに入校。

     当時、東京オリンピックを見据えて設けられた「スーパー高校生枠」(注)での入校だった。「時間に縛られずトレーニングに集中できる最高の環境」と語る同校の中で、さらにラグビーにのめり込んでいった。

    (注)基礎教育や部隊配属など約1年間の課程が免除され、直接体育学校に入れる制度は従来20歳以上が対象だったが、東京オリンピックに向けた選手の早期発掘、育成のために、18歳以上に変更され、高卒アスリートが1年目から競技に専念できるようになった

    ラグビー一筋20年。支えを原動力に努力でつかむ夢舞台

     競技を始めてから東京オリンピック出場まで順風満帆に見えるが、「オリンピック出場は無理だろう」と諦めかけた時期もあった。理由は、高校卒業後に負ったけがで、日本代表に呼ばれない日々が長く続いたことだった。

    「試合を振り返り、自分に足りない部分を補うために努力もした。大会で活躍もしたが、代表には呼ばれず全てが嫌になった」

     順調に歩んできたラグビー人生の中で、初めて味わった大きな挫折。乗り越えられたのは、家族の支えがあったから。いつも温かく見守り、話を聞いてくれる両親。同じラグビー選手であり、良き理解者である弟。家族の力を原動力に自分を奮い立たせた。

    「趣味はトレーニング」と言うほどストイック。めげずに続けてきた努力が実を結び、「サクラセブンズ」(女子日本代表の愛称)の一員として東京オリンピックへの出場を果たした。

    「初めて国際大会に出場し、たくさんの人が応援してくれて、もっと頑張らないといけないと思いました」

     再びオリンピックの舞台で戦うために、24年のパリ大会の出場権を獲得することが今年の最大目標。そのためには、ワールドラグビーセブンズシリーズで世界の強豪相手に結果を残す必要がある。

    「海外の選手は、体格も良いし足も速いけど、機動力と体力を生かしてプレーすれば戦えない相手ではない。どんどん日本の順位も上がってきていて、世界との距離は縮まっていると思います」

     長所は、1つの目的に対して努力を続けられるところ。競技歴は今年で20年目を迎える。大きな壁を乗り越えて今がある。たゆまぬ努力の先には、パリの大舞台が待っている。

    <文/ナノ・クリエイト 撮影/星 亘>

    (MAMOR2023年9月号)

    オリンピックを目指す自衛官アスリート

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