日本全国にある自衛隊の基地・駐屯地の隊員食堂で自衛官たちはどんな料理を食べているのでしょう?ぜひ味わっていただこうとレシピを取り寄せました。
今回は山口県下関基地隊の「長州どりのねばねば丼」。ねばねば食材代表格の納豆、オクラ、長イモと照り焼きにした県名産の長州どりをご飯にのせ、温泉卵を絡めながら食す、栄養満点の丼です。
海上自衛隊下関基地隊の任務とは

庁舎は、南に加茂島が望め、北に箙山がそびえる風光明媚な場所に建っている
山口県下関市にある海上自衛隊下関基地隊は、1954年7月の発足以来、山口県の一部、九州(大分県、宮崎県を除く)、沖縄海域の防衛警備を主任務とする佐世保地方隊に属しています。
総務科、厚生科、警備科、経理科、補給科、造修科、通信所からなる基地隊本部と、掃海艇『とよしま』、『うくしま』の2隻が所属する第43掃海隊によって編成されており、関門海峡とその周辺の防衛警備、さらに海中の不発弾など爆発性危険物の処理が主な任務です。
また、下関港に寄港する艦艇や、新造・修理艦艇に対する支援も行っており、平時から各種訓練のほか、災害発生時の救助活動にも従事しています。
体調を整える、喉ごし抜群の「長州どりのねばねば丼」

今回紹介する「長州どりのねばねば丼」は、納豆、オクラ、長イモなどのねばねば食材だけでは物足りない隊員のために、照り焼き風味の鶏肉をプラスしてボリュームアップさせたもの。鶏肉はしっかりした歯応えの山口県産の銘柄鶏を使用しています。
ねばねば食材は食物繊維が豊富で、腸内環境の改善、便秘解消、疲労回復など体調を整える優れたパワーを備えています。
喉ごしもよいので、暑い時季は登場する頻度が高い人気メニュー。ご飯のかわりに冷たい麺に具材をのせることもあるのだそう。また寒い時季には、温かいそばやうどんにのせるのもお勧めとのこと。
食堂ではこの丼に、酢の物、ゴマ和え、白和えなどの小鉢と、お吸い物、デザートが一緒に提供されています。
ねばねば食材のあっさりの中で長州どりのインパクトが大!

食堂は20席ほど。少人数部隊なので食事中も家庭的な雰囲気で、なじみの定食屋さんに通っているような感じだとか
「スタミナ食材ばかりで、これを食べると体力が満タンになった気に。午後からの任務にも自然と精が出ます!」(2曹/男性・40代)
「ねばねば食材のあっさりの中で長州どりのインパクトが大。甘辛いたれもしっかり絡んでいて、箸が止まらないです。」(3曹/男性・20代)
「長州どりの歯応えがよく、食欲が増す丼です。ねばねば食材の喉ごしもよく、暑い季節にはうってつけですね。」(士長/男性・20代)
隊員の笑顔がやりがいになっています
【海上自衛隊下関基地隊 補給科 3等海曹 進谷彩実】
船上などでの任務を経てこちらに赴任し、3年目になります。食堂を利用する隊員は25人くらい。少人数部隊だからこそできる手の込んだ料理を提供して、隊員の士気高揚につなげられたらと思っています。
なので、コロッケやさつま揚げも一から手作り。たれ類も市販品ではなく、調味料を合わせるなどして、できる限り手作りしています。
隊員とうまくコミュニケーションが図れるのも少人数部隊の魅力ですね。笑顔で食事をして元気に任務に就いてくれるのが何よりですし、それが料理を作る側のやりがいになっています。
「長州どりのねばねば丼」のレシピを紹介!
材料(2人前)
鶏モモ肉(食べやすく切る):小1枚
サラダ油:大さじ1/2
ご飯:丼2杯分
納豆(添付のたれとともに混ぜる):1パック(40g)
オクラ(塩もみし、さっとゆでて冷まし、輪切り):2本
ナメコ(さっとゆでて冷ます):30g
青ジソ:2枚
長イモ(すりおろす):40g
温泉卵:2個
[A]
酒:大さじ2
しょうゆ:大さじ2
みりん:大さじ2
砂糖:大さじ1/2
作り方

1:小さめのボウルに[A]を入れて混ぜ、砂糖を溶かす。
2:フライパンにサラダ油を熱し、鶏肉を皮目を下にして入れ、中火で焼く。焼き色がついたらひっくり返し、弱火で裏面も焼く。
3:フライパンの余分な脂をペーパータオルでふき取り、1を入れる。上下を返しながら、全体にたれを絡めて照りを出す。
4:器にご飯を盛り、納豆、オクラ、ナメコと、青ジソに長イモ、3をのせ、中央に温泉卵を割り入れる。
※隊員食堂で作られているレシピをもとに編集部で家庭向けにアレンジしました。
注目食材:長州どり

肉用鶏(若鶏またはブロイラー)とは異なり、工夫を凝らして飼育される鶏を「銘柄鶏」という。山口県産の銘柄鶏として有名なのが「長州どり」。
恵まれた自然環境の中、平飼い(自由に地面を歩き回れる飼い方)なので運動量が多く、肉質はしっかりめ。合成抗菌剤、抗生物質を含まない天然ハーブ入りの飼料で育てられ、安心・安全な点も特徴。
(MAMOR2020年04月号)
<調理/樋口秀子 文/富田純子 料理撮影/林 絋輝(扶桑社) 写真提供/防衛省、深川養鶏農業協同組合(長州どり)>