電気自動車や自動運転など、私たちの生活に身近な自動車は、100年に1度の変革期を迎えているといわれている。防衛装備品の世界でも、大きなトランスフォーメーションが起きているのだ。
四方を海に囲まれたわが国を守る海上自衛隊の護衛艦にも、その波は押し寄せており、このたび、激変する世界の安全保障環境の潮流に対応した新世代護衛艦『もがみ』がデビューした。
なにが先進的なのか、細部にわたってリポートしよう。
FFMとは?
世界の軍艦や艦艇には、役割を表す艦種記号が付けられている。護衛艦や駆逐艦ならばDD(Destroyer)、ヘリコプター搭載型護衛艦はDDH(Helicopter Destroyer)、潜水艦はSS(Submarine)などがある。
FFMは、対潜・防空能力を持ち、揚陸部隊や補給部隊などの護衛を任務とする艦艇フリゲートのFF(Frigate)に多目的(Multi-Purpose)と機雷(Mine)のMを足した多機能護衛艦という艦種。
新世代護衛艦「もがみ」の特徴を解説!
艦長艦
全体の指揮を行う
砲雷長
魚雷、ミサイルなど火器の指揮を行う
船務長
艦の航行について指揮を行う
掃海長
機雷の探知・除去の指揮を行う
1:前甲板
大砲以外は何もなく、フラットになっている
2:艦体外装
ステルス性を考慮して凹凸のない側面
3:格納区画
コンテナやボートを格納できるクレーン付きのスペース
4:マスト
種々のレーダーが1つにまとまっている
5:旗りゅう信号
艦の状態・状況を示す旗を揚げる
6:艦橋
艦の操舵(そうだ)など、運航を行う場所
7:CIC
艦内の情報がまとめられ、指揮・命令を行う場所
8:USV格納庫
搭載水上無人機の搬出入を行う区画
9:居住区画
隊員の居住区画。男女でエリアが分かれている
10:飛行甲板
ヘリの離着艦を行う甲板
11:食堂
隊員が調理・喫食を行う場所
12:錨(いかり)甲板
鎖につながれたいかりを巻き上げる揚錨機がある
ステルス技術とは?
戦場において、敵の戦闘機や護衛艦などの場所を探知するときはレーダーなどを使用する。レーダーから発射された電波が対象物に当たり、はね返ってレーダーに戻ることで、対象物があるかを知ることができる。その電波をレーダーに戻らないようにする技術がステルス技術だ。
対象物がレーダーに映りやすいかそうでないかを表す指標は、レーダー反射断面積(RCS)という数値で表すことができる。
ステルス性を高める方法は大きく分けると2通り。1つは、全く別の方向に反射させて電波をレーダーに返さないこと。もう1つは、特殊な塗料などで電波を吸収し電波を返さない方法だ。
ステルス技術のイメージ
ステルス技術を駆使した場合、レーダーから発射された電波は、別の場所に反射され、また特殊塗料に吸収されて弱まる。レーダーには電波が戻らないので、見かけ上は何もいないように見える。
(MAMOR2023年5月号)
<文/古里学 写真/村上淳 イラスト/坂本明>