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    「陸上」、「海上」、「航空」と3軍種に分かれる自衛隊。ひと言に「自衛隊」といっても、任務から訓練、装備品、はたまた規則や使用する言葉まで違うのです。どこが、何が違うの? というアナタ、陸・海・空の違いを、自衛隊ファンの芸人、ぐっさんこと山口智充さんと一緒に考えましょう。

    画像: 山口智充が陸・海・空の自衛官にインタビュー「ウチの隊が一番」と思うことは?

    【山口智充(やまぐち・ともみつ)】
    大阪府四条畷市出身。テレビ、映画、アニメの吹き替え(映画『カーズ』<ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ 2006年>のメーター役など)と幅広く活動。NHK連続テレビドラマ小説『舞いあがれ!』にお好み焼き屋「うめづ」の主人役で出演中。音楽活動では4枚のアルバムをリリースし、精力的にLIVEも展開中。小学校の校歌も作っている。『突破ファイル』(日本テレビ放送網)での自衛隊隊長役が好評

    現役自衛官の陸・海・空ウチが一番!

    画像: 現役自衛官の陸・海・空ウチが一番!

     自衛隊について詳しくない私たちが、陸・海・空の違いを知るために、まずは各隊員たちに集まってもらって、「自衛隊の中ではウチが一番です!」と思っていることを聞いてみた。普段は厳しい任務に携わる隊員の皆さんも、ぐっさんの名進行で、すっかり打ち解け盛り上がって、“自慢話”に花が咲いた。さて、陸・海・空、どこが一番かな?

    (写真右上から時計回り)
    【荒牧泰輔(あらまき たいすけ) 2等海佐】
    海上幕僚監部広報室事業主任。今は広報だが、職種は救難飛行艇US-2操縦士

    【大川れいか(おおかわ れいか) 2等空曹】
    中部航空警戒管制団司令部。入間基地広報班員として基地広報を担当。自衛隊一家に育つが、自分以外は皆陸自

    【久保淳(くぼ じゅん) 3等空佐】
    航空幕僚監部総務部広報室。空自の広報活動に従事。工業系大学卒業後、航空機に関する仕事に就きたいと思っていたら自衛隊にスカウトされた

    【菊池宰基(きくち さいき) 2等陸曹】
    東京地方協力本部予備自衛官課。前任地は習志野の第1空挺団。空挺隊員であり、レンジャー資格も持つつわもの

    【澤村正人(さわむら まさと) 3等空佐】
    航空支援集団飛行点検隊U-125U-680Aの操縦士。元F-15戦闘機のパイロットで、ブルーインパルスの経験も

    【佐野竜一郎(さの りゅういちろう) 1等海尉】
    海上幕僚監部指揮通信課。現在は地上配置だが、それまではずっと艦艇勤務だった。趣味は海とは正反対の登山と盆栽

    【大久保かおり(おおくぼ かおり )3等海曹】
    海上幕僚監部広報室事業班。職種は音楽でクラリネット奏者。音楽を仕事にしたくて自衛隊の音楽隊を目指した

    【村地雄介(むらち ゆうすけ) 3等陸佐】
    防衛省大臣官房広報課MAMOR編集協力担当官。職種は高射特科防衛大学校受験当時はパイロットに憧れていた

    【坂野祐一(さかの ゆういち)2等陸尉】
    システム通信団第301映像写真中隊写真小隊長。陸・海・空で唯一の写真専門部隊に所属するが、写真はあまり撮らない

    世界に誇る「ブルーインパルス」の航空ショーが自慢の空自

    画像: 世界に誇る「ブルーインパルス」の航空ショーが自慢の空自

    山口智充(以下、山口):せっかく陸・海・空の隊員さんに集まっていただきましたので、それぞれ自慢をしてほしいですね。僕も自衛隊については知らないことだらけなので、いろいろ聞いてみたいです。まず、空自の澤村さん。以前ブルーインパルスにいたんですよね? 昔、カーレースのオープニングセレモニーで飛んでるのを見て、かっこいい! と思いましたよ。

    澤村正人 3等空佐(以下、澤村):ブルーインパルスは空自自慢のアクロバット飛行部隊です。

    山口:あれは子どもたちも憧れますよね! ブルーインパルスが飛ぶのは、どういうイベントなんですか?

    久保淳 3等空佐(以下、久保):基地ごとに毎年「航空祭」を行います。航空祭は、航空ショーを中心にいろいろな出し物があるのですが、特にブルーインパルスが来ると大勢人が集まります。航空祭以外でも、先日は、西九州新幹線の開業記念にも飛びました。

    山口:ブルーインパルス以外にも、空自らしい部隊などはありますか?

    澤村:私が今所属している飛行点検隊も、空自にしかない部隊です。陸・海・空各自衛隊の基地などにある航空保安無線施設の点検を私たちが一括で行います。縁の下の力持ちとして、全自衛隊の飛行安全のために頑張っています。

    山口:なるほど。海自はどうでしょう?

    荒牧泰輔 2等海佐(以下、荒牧):US−2のような飛行艇を持っているのは、軍事組織では世界中見回しても日本だけです。日本は四方を海に囲まれています。広い海の上で何か起きたら助けに行くのが飛行艇の役割です。例えば空自のパイロットが海上に不時着したときなどですね。

    澤村:(深くうなずく)

    山口:陸・海・空、全部にパイロットっているんですね。

    荒牧:陸・海・空それぞれにパイロットはいますが、対処するものが違うんです。日本の領空外から飛んでくるものに対しては空自、海上や海中から日本に攻めてくる艦艇や潜水艦に対処するのは海自、陸自は地上部隊を支援する、といった具合です。

    海自なら「世界1周クルージング」の夢がかなう?

    画像: 出典:海上自衛隊ホームページ(https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/tv/kashima/)

    出典:海上自衛隊ホームページ(https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/tv/kashima/)

    山口:相手によって対応する自衛隊が分かれるんですね。ほかにも海自だけ、というものはありますか?

    佐野竜一郎 1等海尉(以下、佐野):船で海外に行けるのは海自ならではです。ソマリア沖の海賊対処行動とか、外国の海軍との共同訓練などで海外に出るチャンスも多いですね。世界1周ができる場合もあります。

    山口:世界1周すか!

    佐野:幹部候補生学校を出ると、遠洋練習航海といって練習艦に乗って世界各地を訪問しながら訓練や交流をするのですが、年によっては世界1周コースになることがあります。

    山口:ほほう。そういえば、さっきからそこに置いてあるクラリネットが気になりますが……(笑)

    大久保かおり 3等海曹(以下、大久保):あ、私ですか? 今は広報の仕事をしていますが、職種は音楽です。

    山口:音楽隊の方も遠洋航海に行くんですか?

    大久保:はい、行きます。全国の音楽隊から選抜された遠洋練習航海の音楽隊を編成して、航海に同行して世界各地で演奏活動をやります。

    山口:どのくらいの期間行くんですか?

    大久保:だいたい半年間ですね。

    山口:長いですねえ、体も大変そう。

    佐野:船に乗りっぱなしなので、最初のころは船酔いがキツかったです。私はもともと自動車の中でスマホを見ているだけでも乗り物酔いするくらいでしたから。

    山口:そのうち慣れた?

    佐野:慣れましたね! どれだけ揺れても全く平気になりました。

    山口:今も大丈夫なんですか?

    佐野:しばらく陸上勤務なので、どうもリセットされるみたいで。こないだ山中湖の遊覧船で酔いました(笑)

    山口:ダメじゃないですか(笑)

    佐野:でもまた乗ったらすぐ慣れると思います。

    画像: 出典:航空自衛隊ホームページ(https://www.mod.go.jp/asdf/equipment/sentouki/F-2/index.html)

    出典:航空自衛隊ホームページ(https://www.mod.go.jp/asdf/equipment/sentouki/F-2/index.html)

    山口:乗り物というと、飛行機でも酔うことありますよね? 僕も以前P−3C哨戒機に乗せてもらったときに、初めてG(注)を強く感じるような急上昇を体験して。一緒に乗っていた芸人みんなグエーッてなってました(笑)。その後のロケ、なくなりましたもん。

    一同:(笑)

    荒牧:実は哨戒機だと、2Gくらいしかかかっていないんですよね。

    山口:2Gですか。みんなやっぱり慣れてなかったからキツかったんでしょうね。

    荒牧:(空自・澤村のほうを指して)あちらは9Gです。

    山口:9G! 9Gったらもう耐えられないんじゃないですか?

    澤村:戦闘機では最大9Gかかりますが、慣れですね(笑)

    山口:慣れるんですか(笑)

    澤村:でも血管が切れたりしますからね。

    山口:『トップガン』の映画でもありましたけど、途中で気を失うこともあるんですよね?

    澤村:ありますよ。そうならないように訓練します。

    山口:すごいですよねえ。

    第1空挺団は全員パラシュートで降りられる精鋭部隊

    画像: 出典:第6師団ホームページ (https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/equipment/uh1.html)

    出典:第6師団ホームページ (https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/equipment/uh1.html)

    山口:陸自だと、どんなところが特徴ですか? 僕が初めて知った自衛隊が陸自だったので、ほふく前進しているイメージがありますが、特徴的な部隊とかってあるんですか?

    菊池宰基 2等陸曹(以下、菊池):私が前にいた第1空挺団は特徴的ですよ。陸自を代表する部隊の1つだと思います。陸自ですけど、陸自や空自の運用する飛行機などに乗って行って、パラシュートで降下しますので。

    山口:陸自でも空を飛ぶと。パラシュートで降りるってのはすごいですね。

    菊池:隊員は全員パラシュートの資格を取ります。私はレンジャーとしての訓練も経験しましたが、そのときは訓練の過程で海にも行きましたので、陸・海・空全部経験しています。

    山口:それはすごいなあ。単純にパラシュートで降りるのって怖くないですか?

    菊池:慣れますね(笑)。それに訓練もいきなり航空機から降りるわけではなく、地上で訓練を重ねて、最後は地上80メートルの鉄塔から降りる訓練をします。そこまでいけば、340メートルの上空から飛ぶのと変わらないです。

    山口:変わりますよ!(笑)。ほかに陸自の変わった部隊とかはあるんですか?

    坂野祐一 2等陸尉(以下、坂野):私の所属する第301映像写真中隊は、自衛隊で唯一の写真や映像撮影の専門部隊です。日本国内だけでなく、自衛隊の行く所なら海外でも撮影に行きますね。

    山口:坂野さんもカメラ持って写真を撮るんですか?

    坂野:いや、私は撮ってないんですが(笑)

    山口:撮らへんのかい(笑)

    坂野:主な仕事は部下の監督・指導や、訓練計画の作成などです。腕のいい部下が撮ってくれますので(笑)

    山口:そうなんですね。そういえば、大久保さんに聞きたいのですが、音楽隊の方も普通に自衛官としての訓練をするのですか?

    大久保:はい。楽器を演奏するだけではなく、走ったり射撃訓練だったり、自衛官らしい訓練はありますよ。

    山口:楽器専門でも、やっぱり自衛官なんですね。ところで、音楽隊って海にしかないんですか?

    大久保:いえ、陸・海・空それぞれに音楽隊はあります。

    山口:どこが一番レベル高いんですか?

    大久保:私は音楽隊を志望するときに「海自が一番うまいな」と思って目指したので……(笑)。かっこいいイメージに憧れもあって、第1希望が海自の音楽隊でした。

    山口:あれ、衣装も陸・海・空違いますよね? ユーチューブとかで見て、イメージありますもん。あの白い……。

    大久保:そうです。白い衣装がかっこいいんです(笑)。音楽隊は式典や演奏会などでお客様の前での演奏を任務とするため、装飾の施された「演奏服」というものを着るんです。

    荒牧:毎年武道館で行われる「自衛隊音楽まつり」での演奏とか、彼女の活躍も見られますので山口さんもぜひ観に来てください!

    山口:武道館でやってるんですね。

    坂野:その撮影と記録をしているのは私たちです!(笑)

    山口:専門の部隊ですもんね(笑)

    (MAMOR2022年1月号)

    <文/臼井総理 撮影/村上淳 写真提供/防衛省>

    自衛隊には陸海空があるの知ってた?

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