•  戦場、被災地での作戦行動中、または訓練中に取るために配給される食糧のことを「戦闘糧食」と呼びます。英語では、combat rationといい、日本では略してレーション、また、最近は“ミリメシ”と呼ばれることが多いようです。

     マモルでは、これまで自衛隊や各国軍の現在のレーションや、戦場での食にまつわる歴史などについて紹介してきました。となれば、「実際に戦闘糧食を食べてみたい!」と思う人も多いはず。一般の人とは活動量が違うため、カロリー数や容量などがアレンジされているものの、自衛隊に戦闘糧食を納入しているメーカーが市販している商品を紹介しよう。

    レスキューフーズ 一食ボックス中華丼(ホリカフーズ 1207円)

    戦闘糧食と同様に、これ1つで1食分

    画像1: (写真提供/ホリカフーズ)

    (写真提供/ホリカフーズ)

     ホリカフーズが開発した「レスキューフーズ」は、自衛隊の戦闘糧食を長年、納入してきた同社の経験が生かされた商品だ。

    画像: レスキューフーズは一般社団法人「日本災害食学会」の認証食品。また、同シリーズにはアニメ『エヴァンゲリオン』シリーズとコラボした商品もある (写真提供/ホリカフーズ)

    レスキューフーズは一般社団法人「日本災害食学会」の認証食品。また、同シリーズにはアニメ『エヴァンゲリオン』シリーズとコラボした商品もある (写真提供/ホリカフーズ)

     大きな災害でライフラインが寸断され、流通がストップして食料の調達や調理ができない場合でも、これ1つで栄養補給が可能。同梱の発熱剤と溶液を混ぜることで温められるので、ホカホカのご飯とおかずが食べられる。

     カレーライスや和風ハンバーグ、牛丼、中華丼など、メニューも豊富。賞味期限は製造日から3年6カ月と長期保存ができるので、災害時用にぜひ備蓄しておきたい一品だ。

    レスキューフーズ ポテトツナサラダ(ホリカフーズ 302円)

    不足しがちな野菜が手軽に食べられる

    (写真提供/ホリカフーズ)

     ふだんの生活でも不足しがちな野菜。ましてや災害時には……。そんなときでも手軽に食べられるのが「ポテトツナサラダ」。ジャガイモやニンジン、オニオンソテーなどの野菜にマグロの水煮を加え、チキンブイヨンでコクのある食品に仕上げている。

    ポテトツナサラダは、航空自衛隊にも納入実績があるメニュー (写真提供/ホリカフーズ)

     なかでも野菜は大きめにカットされていて食感もいい。賞味期限は製造日から3年6カ月と、長期保存が可能。イージーオープン缶だから缶切り不要というのも、災害時にはありがたい。

    レスキューフーズ ビーフカレー(ホリカフーズ 391円)

    カレーライスは栄養バランスのいい「完全食」

    (写真提供/ホリカフーズ)

     陸上自衛隊の糧食担当者によると隊員に一番人気があるというカレーライス。レスキューフーズの「ビーフカレー」なら、さながら隊員気分で食事を味わうことができる。スパイシーでありながら、隠し味におろしニンニクやリンゴ、バナナを使った、うま味のある一品だ。牛肉とニンジン、オニオンソテーが入っているので、肉と野菜が同時に摂れる。

    人気のカレーライスが1食分のパッケージになっている(写真提供/ホリカフーズ)

     栄養バランスのいい「完全食」といわれるカレーライスは、炭水化物と脂質、たんぱく質の3大栄養素を効率よく取りたい、という人にもお勧めだ。

    陸上自衛隊 戦闘糧食モデル(日本ハム 各600円)

    戦闘糧食を一般向けにアレンジした防災食

    画像: 加工肉特有のしょっぱさがなく、上品な味の「ポークソーセージステーキ」。ちなみに、市販の重量は110グラムだが、陸自用の糧食では150グラムある(写真提供/日本ハム)

    加工肉特有のしょっぱさがなく、上品な味の「ポークソーセージステーキ」。ちなみに、市販の重量は110グラムだが、陸自用の糧食では150グラムある(写真提供/日本ハム)

    画像: 旧メニューに入っていた「煮込みハンバーグ」を家庭向けにアレンジ。内容量は115グラム。温めても常温でも食べられる(写真提供/日本ハム)

    旧メニューに入っていた「煮込みハンバーグ」を家庭向けにアレンジ。内容量は115グラム。温めても常温でも食べられる(写真提供/日本ハム)

    画像: 今回リニューアルされた新メニューにも入っている「鶏と根菜のうま煮」。野菜が大きく切られて食べ応え十分だ(写真提供/日本ハム)

    今回リニューアルされた新メニューにも入っている「鶏と根菜のうま煮」。野菜が大きく切られて食べ応え十分だ(写真提供/日本ハム)

     日本ハムが一般向けに発売しているのは、その名もズバリ「陸上自衛隊戦闘糧食モデル」。同社が陸上自衛隊に納入実績のある10種類以上のメニューの中から選りすぐりの4種類を商品化。「鶏と根菜のうま煮」、「ボロニアソーセージ」のほか、リニューアル前のメニューに採用されていた「煮込みハンバーグ」、「やきとり」を、誰もが食べることができる。

    「陸上自衛隊戦闘糧食モデル」の賞味期限は常温で製造日から5年6カ月と、長期保存が可能だ (写真提供/日本ハム)

    「でも、体力を使う自衛官向けの食事は味が濃いのでは?」と思う人もご安心を。内容量などを一般向けにアレンジして、食べ続けても飽きのこないあっさりとした味に調整されている。

     そのまま食べても、湯せんや電子レンジで温めてもおいしいこの商品。緊急時の非常用持ち出しバッグに、ぜひとも入れておきたい。

    やきとり缶詰 たれ味(ホテイフーズ 75グラム184円、260グラム594円)

    炭火の香ばしい甘辛たれでご飯が進む焼き鳥が缶詰に

    画像: (写真提供/ホテイフーズ)

    (写真提供/ホテイフーズ)

     戦闘糧食で採用されている「やきとり」と同じ味わいが楽しめる、「やきとり缶詰」。濃厚で甘いしょうゆダレがかかった鶏肉は炭火の香ばしい香り。ご飯が進む一品だ。

    一般販売でも一番人気のたれ味はおつまみや夜食にもぴったり(写真提供/ホテイフーズ)

     手軽に食べられる75グラム入りのほか、大容量で食べごたえのある260グラム入りもある(写真は75グラム入り)。賞味期限は製造日より3年と、災害備蓄用にもお勧めだ。全国のスーパーなどで購入可能。

    とろうま牛角煮カレー<中辛>(ハウス食品 353円)

    トロトロの牛角煮とカレーのスパイスが食欲を刺激

    1人前200グラム入り。電子レンジだけでなく3~5分の湯せんでも温めることができる(写真提供/ハウス食品)

     戦闘糧食のメニュー「牛角煮カレー」と同じ味わいが楽しめる。スパイスとハーブで下味を付けた牛肉はとろっと柔らかく、コクのあるカレーソースとも相性抜群。製品仕様は一般家庭用に調整されているが、独自製法で調理された牛肉のおいしさはそのままだ。

     賞味期限は製造後1年1カ月。電子レンジを使えば1分~1分50秒で温められるので、忙しいときの一品にも最適だ。全国のスーパーなどで購入できる。

    自衛隊のミリメシがおいしくなった!

    <文/魚本拓>

    (MAMOR2022年11月号)

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