災害ボランティアをはじめる4ステップ「体力に自信がない」人でもOK

2025-02-26

　自然災害が発生した際に、被災地でさまざまな支援活動を行う「災害ボランティア」。阪神・淡路大震災で多くの支援者が集まったことから、「ボランティア元年」といわれる1995年以降、大災害が発生すると、被災地の復旧・復興のため、ボランティアが重要な役割を担うようになっている。

　災害発生時のボランティアへの参加方法を全国社会福祉協議会の小川耕平氏に聞いた。

【小川耕平】
全国社会福祉協議会　災害福祉支援活動推進室参事。全国組織の職員として平時は災害支援の仕組みづくりを行い、災害時は被災地の活動を支援している

災害ボランティアの活動とは？

　災害によって甚大な被害を受け、それが広い範囲に及ぶと、被災地の自治体や地域住民同士の助け合いだけでは復旧することが難しくなる。そうした場合に必要となるのが、災害ボランティアによる支援だ。

　ボランティア活動は、1日でも早く被災者が元の生活に戻ることができるよう、自発的、かつ見返りを求めずに行うもの。災害ボランティアというと力仕事のイメージが強いが、実際にはその活動は多岐にわたる。

　事務作業や被災者の心のケアなどさまざまな活動があるので、「今までボランティアの経験がない」という人や、「体力に自信がない」という人も必ず力になれることはあるので活動に参加してみよう。

STEP1：災害ボランティアについて調べる

「被災地で困っている人の力になりたい」と思ったら、社会福祉協議会が運営する災害ボランティアセンターや、NPO（民間非営利団体）の災害ボランティア募集ページなどから情報を得よう。

　インターネットで「全社協　災害」と検索するか「（被災地の）市区町村名　社会福祉協議会　災害ボランティアセンター」などと打ち込むと探しやすい。コロナ禍で事前登録が必要なケースもあるが、登録料はもちろん無料だ。

ボランティア活動保険への加入が必要

画像1: ※画像はイメージです（写真提供／全国社会福祉協議会） — ※画像はイメージです（写真提供／全国社会福祉協議会）

　災害ボランティアに参加するときは、活動中に誤って他者へけがをさせた場合や、被災者宅の物品を破損した場合などに備えて保険に加入するといいだろう。住んでいる地域の社会福祉協議会で加入すれば自宅と活動場所までの往復の道のりも補償の対象になる。

　加入手続きは出発の前日までに済ませ、その証明書を現地に持参。保険料は1年間で数百円～1000円程度のことが多い。

STEP2：災害発生！

　災害発生直後はけが人が多数出るような大災害であれば、特に発生から72時間＝3日間は人命救助や医療行為が優先される。

　この時期に災害ボランティアが現地へ行くと、渋滞を助長したり、緊急車両の妨げとなるほか、余震や土砂災害、2次災害によるけがのリスクが高まる。そのため災害ボランティアの募集は災害が発生して数日過ぎたころから始まることを覚えておこう。

ボランティア活動時の衣食住の情報を入手

　災害ボランティアのためにボランティアセンターが宿泊先や食事を用意することはないと考えるのが鉄則だ。遠方から参加する場合、被災地周辺のホテルやコインランドリー、コンビニやスーパーなどの情報も収集しよう。

　また、災害ボランティアセンターでは、テントを張れるスペースや駐車できる場所をウェブサイトやSNSなどで紹介しているケースもある。事前に確認しよう。

STEP3：現地の活動状況を調べる

　被災地ではどのようなボランティアがどのくらいの人数求められているのかをあらかじめ確認しよう。大規模災害が起こると現地に「災害ボランティアセンター」が数日で設置される。

　現地に設置されている災害ボランティアセンターのSNSやウェブサイトなどが発信している情報を確認し、被災地の様子や参加に際しての注意点、被災地までの交通手段や宿泊先などについて確認するといい。災害ボランティア活動の情報を発信している全国社会福祉協議会やNPO団体のSNSやウェブサイトを事前にチェックしよう。

ボランティア活動をする際の3原則

画像2: ※画像はイメージです（写真提供／全国社会福祉協議会） — ※画像はイメージです（写真提供／全国社会福祉協議会）

　災害ボランティア活動をするにあたっては「自己完結」「自己責任」「被災地配慮」の3つの原則があることを知っておこう。

　まず1つ目は参加のための移動、宿泊、活動するための服装などは自分で用意するという「自己完結」だ。2つ目は、自身の体調管理や、けが、事故から身を守る「自己責任」。3つ目は「被災者・被災地への配慮」だ。効率性を重視して災害ボランティアが自分のペースで活動してしまうと、被災者の負担になってしまうことがある。被災者の気持ちに寄り添うことが大切だ。