•  レーダーに映りにくい「ステルス艦」が導入され、ソナーで探知しづらい「ステルス潜水艦」も登場。さらに水上・水中・空中のあちこちには、無人機が……。そんな未来の海では、海上自衛隊の艦艇も大きく姿を変えていることだろう。防衛省が公表している資料から垣間見える、未来の艦の姿はどんなものだろうか?

    近未来護衛艦:ステルス性重視が艦艇の形を変えた

    画像: 武器についても、超高速で低空を進むため、地上レーダーでの捕捉や迎撃がしにくいといわれる「極超音速ミサイル」など、新たなものが搭載されていくだろう

    武器についても、超高速で低空を進むため、地上レーダーでの捕捉や迎撃がしにくいといわれる「極超音速ミサイル」など、新たなものが搭載されていくだろう

     艦艇の将来像を構想し、研究・開発を行っているのは防衛装備庁の装備開発官(艦船装備担当)だ。加えて、研究機関である艦艇装備研究所も、未来の艦艇づくりに大きく関わっている。それらの組織が公開している将来像を読み解くと、「未来の護衛艦」に向け、大きく2つのポイントを考慮しながら研究・開発が進んでいることが分かる。

     第1のポイントは「ステルス性」。敵のレーダーに映りにくくなることで、攻撃されづらくなる。水上、空中はもちろんのこと、近年では「水中ステルス技術」の研究も進み、敵のソナーが発する音波に反応しないような仕掛けも考えられている。『もがみ』型護衛艦に見られる角張ったフォルムも、レーダーの電波を反射させないための形状だ。

    近未来哨戒艦:人不足を補うため、無人機導入で省人化

    画像: 後部の甲板には無人の偵察ドローンが搭載されている。イラストで描いた未来の艦はいずれも、今ある情報を元に推測した、あくまで想像上の姿だ

    後部の甲板には無人の偵察ドローンが搭載されている。イラストで描いた未来の艦はいずれも、今ある情報を元に推測した、あくまで想像上の姿だ

     少子高齢化が進む日本では、自衛隊員の確保も難しくなることが予想される。そこで第2のポイントとなるのが、「無人機の戦力化」と「省人化技術」だ。

     海自の掃海艇ではすでに無人潜水機による機雷掃海が行われるようになっているが、今後、さらに高度なセンサーを搭載したUUV(無人潜水艇)とUSV(無人水上艇)が登場することになるだろう。

     また海自では、護衛艦よりも小型の新たな艦種「哨戒艦」を2026年度までに6隻調達し、順次就役させる予定だ。この哨戒艦は、自動運航などの省人化技術を生かし、30人程度での運用を実現することを目指している。計画では、不審船の監視にも使える無人機を搭載するほか、高い通信能力、高性能なレーダー・ソナーによる高い探知能力を備える見込みだ。

    近未来UUVとUSV

    画像: 人不足が進めば、現在の潜水艦や護衛艦を補完する存在として、UUVとUSVの活用も考えられる。双方を連携させ、より効率的に活用できるよう、高度なセンサーを搭載した、さらなる進化型の登場が期待される

    人不足が進めば、現在の潜水艦や護衛艦を補完する存在として、UUVとUSVの活用も考えられる。双方を連携させ、より効率的に活用できるよう、高度なセンサーを搭載した、さらなる進化型の登場が期待される

     人不足が進めば、現在の潜水艦や護衛艦を補完する存在として、UUVとUSVの活用も考えられる。双方を連携させ、より効率的に活用できるよう、高度なセンサーを搭載した、さらなる進化型の登場が期待される。

    自衛隊の装備品取得などを担う防衛装備庁って?

    画像: 防衛装備庁は、諸外国との装備技術協力の促進を図るため、2019年の「防衛装備技術国際展示会」においては、模型、試作品、パネル展示なども行った

    防衛装備庁は、諸外国との装備技術協力の促進を図るため、2019年の「防衛装備技術国際展示会」においては、模型、試作品、パネル展示なども行った

     艦艇や車両、航空機など防衛装備品の適切な研究、開発、生産、維持整備を行うとともに、効率的な調達やコスト管理を行うため、防衛省内の装備品取得に関する部門を集約・統合した組織。2015年に防衛省の外局として設置された。

    (MAMOR2022年4月号)

    <文/臼井総理 イラスト/板橋克己、野林賢太郎(UUVとUSV)>

    これからの新・海上自衛隊

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