航空自衛隊のパイロット育成には2つのコースがある。戦闘機・救難ヘリコプターのパイロット育成コースと、輸送機・救難機のパイロットを育成するコースだ。航空自衛隊第41教育飛行隊は、そのうち後者のパイロットを養成する部隊になる。
輸送機や救難機に乗るパイロットを育成する
1995年、鳥取県にある航空自衛隊美保基地にて編成された第41教育飛行隊の教育は、T−400練習機で行う。ここで学ぶ学生たちは、すでに空自静浜基地(静岡県)もしくは防府北基地(山口県)でT−7練習機による初級操縦課程を終え、輸送機・救難機のパイロットに必要な教育を約12カ月間受ける。
第41教育飛行隊で航空機操縦に関わる者に必要な国土交通省の「事業用操縦士資格」と、計器飛行の能力を有する者に与えられる防衛省の「計器飛行証明」の2つの資格を取得すると、パイロットの証である「ウイングマーク(パイロットになるために必要な課程を修了し右記2つの資格を取得した証)」が付与され、第一線の部隊へと巣立っていくのだ。
基礎と応用を繰り返し、教育のステージを高める
第41教育飛行隊で行われる教育の概要は、大きく分けると「座学」、「シミュレーター訓練」、「T−400練習機による飛行訓練」の3つ。有視界飛行や目視に頼らず計器や管制官の指示だけで飛行する計器飛行など、1つのテーマに対し、座学、シミュレーター、実機訓練を繰り返し、基本と応用を学ぶ。
T−400練習機の特徴は、「サイド・バイ・サイド」と呼ばれる、2人のパイロットが横に並んで着席するレイアウトにある。旅客機などと同様のこの配置は、輸送機・救難機など多座席型航空機の基本的な運航を学ぶのに最適だ。飛行教育の主なスケジュールは朝8時15分から午後5時までで、午前中のフライトのため早朝から教官と行う飛行前のブリーフィングや、夜間に飛ぶナイトフライトも行われる。
<文/臼井総理 撮影/増元幸司>
(MAMOR2022年2月号)