日本全国にある自衛隊の基地・駐屯地の隊員食堂で自衛官たちはどんな料理を食べているのでしょう? ぜひ味わっていただこうとレシピを取り寄せました。今回は高知県土佐清水分屯基地の「カツオたたき丼 韓国風」。土佐清水が発祥ともいわれる料理を、目先を変えて韓国風にアレンジ。大人の味わい、少し辛めの丼です。
四国唯一の空自基地。土佐清水分屯基地
航空自衛隊土佐清水分屯基地は、高知県南西部の、足摺岬や水産業で知られる土佐清水市にあります。1959年に誕生した西部航空方面隊(司令部などの配置は福岡県春日基地)の隷下として、61年に西部航空警戒管制団が新編され、95年、春日基地の分屯基地として新設されました。四国最南端に位置し、四国唯一の空自基地として通信中継、通信器材の管理を任務とし、安定した情報通信網の維持に努めています。
また、近年は南海トラフ地震発生の確率が高まっており、災害発生時における被災者の捜索、救助、給水活動、人員や物資の輸送といった活動拠点としても期待されています。2018年発生の愛媛県宇和島市の豪雨災害でも、災害派遣活動を実施しました。
コチュジャンが味の秘訣!「カツオたたき丼 韓国風」
少数精鋭の部隊で、即戦力を求められる隊員の癒やしになっているのは毎日の食事。今回紹介するメニューは「カツオたたき丼 韓国風」です。普通、ポン酢で食べることが多い高知県の名物料理「カツオのたたき」を魚の漬け丼をヒントにアレンジしたもの。辛みの中にも甘みとコクがあるのが特徴の韓国のみそ=コチュジャンが味付けのポイントになっています。調味料を合わせて漬け込むだけの簡単料理なのに味がしっかりと入り、ほどよい辛さが後を引く味わいです。ゴマ油の風味もよく、卵をからめるとユッケのような感じにもなるのだとか。半分くらい食べたところで、カツオだしをかけ、お茶漬け風にして食べると、ひと味変わった味が楽しめ、お勧めだそうです。
ほんのり漂うごま油の香りが食欲をそそる
「正直、カツオのたたきはポン酢で食べたいと思っていましたが、韓国風もこれはこれでとてもおいしく、驚きました」(2曹/男性・40代)
「カツオはもちろん、薬味の味も口の中に広がり、楽しい丼。ほんのり漂うごま油の香りが食欲をそそりました」(1曹/男性・40代)
「マグロの漬けとはまたひと味違い、カツオ独特のうまみが感じられました。特に血合い好きにはたまらない1品です」(2尉/男性・30代)
隊員食堂ならではの料理に舌鼓を打って
【西部航空警戒管制団土佐清水通信隊3等空曹 吉本信也】
入隊は2001年、当隊での勤務は5年目を迎えます。転属前は春日基地で300〜400人分の調理をしていたので、初めは4テーブルの小さな食堂業務に慣れるのに苦労しました。カロリーを調べながら1カ月分の献立を考え、基地に勤務する栄養士に確認してもらうなど、現在は調理のみならず、事務的な任務も行っています。長崎出身なのでカツオたたきになじみはなかったのですが、こんな食べ方もあったのかと思ってもらえるような工夫を凝らしています。当隊の食堂ならではの料理に舌鼓を打ってもらいたいですね。
「カツオたたき丼 韓国風」のレシピを紹介!
<材料(2人分)>
ご飯:丼2杯分
カツオたたき(市販):200g
タマネギ(薄切り):100g
[漬けだれ]
しょうゆ、ゴマ油:各大さじ11/2
コチュジャン:小さじ11/2
砂糖:小さじ1
おろしニンニク:小さじ1/2
[トッピング]
白ゴマ:少々
青ジソ(粗く刻む):2枚
万能ネギ(小口切り)、刻みのり:各適量
卵黄または温泉卵:2個
<作り方>
1:カツオたたき(サクの場合は食べやすく切る)は、混ぜ合わせた漬けだれに30分ほど漬け込む。
2:タマネギは水に少しさらし、辛みをとり、水気をきる。新タマネギの場合は不要。
3:器にご飯を盛り、上に②を敷き、その上に①を軽く汁気をきって並べのせ、トッピングを彩りよくのせる。
注目食材:カツオたたき
カツオを節に切り分け(片身を背と腹の部分に分け)、表面のみをあぶったのちに冷やしたもの。薬味やたれを付けて食べる。土佐藩主・山内一豊が食中毒防止を理由にカツオの刺身を禁じたため、表面のみを焼いて焼き魚と称して食べたという起源説もある。
1年中手に入るが旬は春と秋。低カロリー高タンパク質で、血液をサラサラにするEPA、脳の働きを活性化するDHAを含み、ビタミン類も豊富で栄養価が高い。
<調理/樋口秀子 文/富田純子 料理撮影/林紘輝(扶桑社) 写真提供/防衛省>