自衛隊の中でも最も国民が身近に感じるのが普通科ではないだろうか。自然災害での救難活動や復旧支援だけでなくコロナ関連への対応まで、年々普通科隊員が登場する場面が増えている。国民の期待も膨れ上がる一方だ。
年々増える災害派遣件数。初動部隊を常設して対応
今や自衛隊への派遣要請は日常茶飯事となり、毎年急患輸送をメインに500件以上もの災害派遣が行われている。普通科が派遣された最近の例では、2021年8月の長崎、佐賀での大雨被害に対し、第16普通科連隊など陸上自衛隊西部方面隊の730人が行った人命救助活動がある。
自衛隊では緊急の災害派遣に対応できるよう「FAST−Force」という初動部隊を常設しており、陸自では全国の部隊で約3900人、車両約1100両、航空機約40機を24時間態勢で待機させている。
「さっぽろ雪まつり」の雪像制作でも活躍
21年7月の静岡県熱海市での土砂災害では、当日に第34普通科連隊のFAST−Force30人が現場に急行し4人を救助、さらに同じ日に増援部隊135人が投入された。
また、地方公共団体や関係機関などからの依頼に基づき行うさまざまな民生支援活動にも普通科は貢献している。例えば第37普通科連隊の和歌山城や、第36普通科連隊の大阪城など、高所で危険が伴う城の掃除を、日ごろの訓練で鍛えた部隊が行うことは多い。
また「さっぽろ雪まつり」では第18普通科連隊の隊員が60年にわたって雪像を制作してきた。ほかにも各地のマラソン大会など、スポーツ大会への支援は数えきれないほど。地元では普通科はなくてはならない存在となっている。
<文/古里学 写真提供/防衛省>
(MAMOR2022年1月号)