機雷など海中の危険物を取り除き、航路の安全を確保するのが、海上自衛隊の掃海部隊だ。掃海隊の任務やその重要性について、第1掃海隊司令・小関昌彦1等海佐に話を伺った。
日本の生命線を守る掃海部隊の重要性
海上自衛隊の掃海隊群司令部は横須賀にあり、横須賀、佐世保、呉などに掃海隊が配置されている。
「第1掃海隊は、機雷を排除する機雷戦、そして海上から陸上兵力を上陸させ、陸地の確保や敵の排除などを行う水陸両用戦を担当する掃海隊群隷下の部隊です。平素は、海中にある不発弾や爆発性危険物の除去、船舶が航行する水路内に不審な物がないか、海底の探索や確認のため水路の調査などを行います」
掃海部隊の任務について伺うと、第1掃海隊の司令である小関1佐はこのように話をしてくれた。
「日本の生命線であるシーレーンを守っているという誇りを持ち任務に励んでいます。有事では、船舶の安全な航海を確保するため、わが国周辺に敷設された機雷の排除、または逆に敵の海上からの侵攻を防止するため機雷を敷設します。
掃海艦艇の主な敵は敵艦ではなく機雷であり、機雷排除という実戦を続けている部隊といえます。これまで築き上げてきた掃海技術の『継承』と、時代に求められる新たな任務への『挑戦』を胸に抱き、誇りをもって励みたいと思っています」
任務を行う場所・内容が異なる掃海部隊の艦艇
掃海部隊が運用する艦艇は、機雷敷設能力と母艦機能を持つ「掃海母艦」、深深度での機雷排除能力を持つ「掃海艦」、沿岸域での高い機雷排除能力を持つ「掃海艇」の3種類に大きく分けられる。機雷には磁気に反応するタイプがあるため、それを処理する掃海艦艇では磁気を帯びる鉄の使用をできるだけ避け、船体を木造とするものが主流だった。近年は船体構造にFRP(繊維強化プラスチック)が使われ、耐久性と内部空間の居住性が向上している。
掃海艇は護衛艦に比べ小型であるため、護衛艦では入ることができない河川や入り組んだ港湾での災害派遣活動でも活躍をしている。2011年の東日本大震災では、被災地域に最も近い沿岸海域において、行方不明者の捜索や生活支援などの災害派遣活動を行った。
<文/鈴木千春(株式会社ぷれす) 写真/尾﨑たまき>
(MAMOR2019年9月号)