•  ワクチン大規模接種センターは、当初3カ月の開設予定だったが、まだ接種を受けられずにいる希望者が多くいることから、約3カ月の延長が決まり、11月30日にその任務を終えた。

    『ダイヤモンド・プリンセス号』で示した高い防疫力

    画像: 自衛隊中央病院で陽性患者の対応をする看護官

    自衛隊中央病院で陽性患者の対応をする看護官

     2021年の正月休み明け、日本全国の新型コロナウイルス感染者は1日8000人に迫る急増を見せ、20年夏の第2波をはるかにしのぐ第3波の危機がおとずれた。同じころ、アメリカやヨーロッパなどの先進諸国では、すでにワクチン接種が本格化しており、感染者数の抑制に一定の成果を見せ始めていた。

     ワクチン接種に関しては出遅れていた日本が、いっきに巻き返しを図り、感染爆発に歯止めをかけるには、1日に多くの国民に接種できる大規模接種センターが必要だった。その実現のために、白羽の矢が立ったのが自衛隊だった。

    画像: 「ダイヤモンド・プリンセス号」に医療支援に駆け付けた自衛隊員

    「ダイヤモンド・プリンセス号」に医療支援に駆け付けた自衛隊員 

     自衛隊と新型コロナウイルスといえば、20年2月に、感染者を乗せたクルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス号』に医官が乗り込み、医療支援にあたったことを記憶している人も多いだろう。また、自衛隊中央病院ではクルーズ船の陽性患者を多く受け入れ、院内感染させることなく治療を行い、国民から絶賛された。

     さらにその後も新型コロナウイルス陽性者の急患輸送に関わる災害派遣に従事し続けている。実証済みの高い防疫力と任務に対する完遂力を誇る自衛隊は、このたびの大規模接種に際しても非常に有望な組織だったのだ。

    大規模摂取でも高い成果を発揮

    画像: 陽性者の急患輸送中

    陽性者の急患輸送中

     21年4月27日に設置、運営を命じられた自衛隊は、医官や看護官らの本来の医療業務に支障をきたさないよう、ワクチンの打ち手に関しては民間の看護師の協力を得て、会場の受付業務などは民間の旅行会社などに外注。スムーズなワクチン接種に向け予行演習も行った上で、同年5月24日より東京と大阪の2会場での接種を開始した。

     両会場合わせて1日1万5000人の接種を目標に、当初は会場近県に住む65歳以上の接種券を持つ人を対象としていたが、その後、18歳以上に引き下げられ、8月23日現在、以下のデータにある接種実績を残している。これらの数字を見ても、自衛隊によるワクチン接種は、大いなる成果を上げたといえるだろう。

    自衛隊東京大規模接種センターDATA

    画像: (撮影/山川修一)

    (撮影/山川修一)

    大手町合同庁舎3号館(東京都千代田区大手町)

    ・関わった自衛隊の医官:延べ4432人
    ・関わった自衛隊の看護官・准看護師:延べ7535人
    ・ワクチン接種本数:90万6237本
    ・一番多かった日の接種本数:1万529本

    (2021年5月24日〜8月23日の集計数字)

    自衛隊大阪大規模接種センターDATA

    画像: 自衛隊大阪大規模接種センターDATA

    大阪府立国際会議場(大阪市北区中之島)

    ・関わった自衛隊の医官:延べ2392人
    ・関わった自衛隊の看護官・准看護師:延べ4574人
    ・ワクチン接種本数:44万5554本
    ・一番多かった日の接種本数:5074本

    (2021年5月24日〜8月23日の集計数字)

    <文/編集部 写真提供/防衛省>

    (MAMOR2021年11月号)

    自衛隊ワクチン大規模摂取戦記

    This article is a sponsored article by
    ''.