•  自衛隊は働く場としても魅力的と聞きますが、実際どうなのか、若い自衛官に、所属する部隊の自慢やら、任務のやりがいやら聞いてみたいのですが、編集部が質問しても、お堅い話しか返ってきません。そこで、若者に人気の漫才コンビNON STYLEの2人に出馬を要請。リモートな世の中だから、直接会わずに軟らか〜くチャットでインタビュー。

    画像1: 印刷会社から戦闘機の整備員に転身「入隊前はおちゃらけてました」【NON STYLEの“ノン感染型”インタビュー】

    【NON STYLE】
    石田明(写真左)と井上裕介の漫才コンビ。2000年5月14日結成。爆笑オンエアバトル第9代目チャンピオン。08年M-1グランプリ王者。自衛隊とコラボした「ジェイTube」で自衛隊PR大使も務めた

    自分の専用の戦闘機を持っている!?

     今回のチャットでインタビューは航空自衛隊の湯村剛空士長。整備員として戦闘機に携わる湯村士長は、何と自分の専用機を持っているのだとか。そんな話を聞いたNON STYLEも、コンビ名の入った番組を多数持っているだけに、自衛隊の専用機に興味が出たよう。話を聞く前に、湯村士長の所属する「航空自衛隊第306飛行隊」について紹介します。

    【湯村剛空士長】
    2016年航空自衛隊入隊。広島県出身。航空機整備員として、F-15戦闘機の整備などを担当している。

    航空自衛隊第306飛行隊とは

    小松基地に所在し北陸・中国地方を守るF-15戦闘機を運用する部隊

    画像: 小松基地の正門。かつて旧海軍の飛行場として使用され、1961年に航空自衛隊の基地として開庁した。滑走路は民間の空港としても利用されており、民間の施設は「小松空港」と呼ばれている。防衛省が管理しているため、航空管制は航空自衛隊が行っている

    小松基地の正門。かつて旧海軍の飛行場として使用され、1961年に航空自衛隊の基地として開庁した。滑走路は民間の空港としても利用されており、民間の施設は「小松空港」と呼ばれている。防衛省が管理しているため、航空管制は航空自衛隊が行っている

    画像: 第306飛行隊の部隊マークは「ゴールデンイーグル」だ。基地がある石川県の県鳥である「イヌワシ」がモチーフになっている。イヌワシのりりしく勇猛果敢な攻撃精神と、獲物を狙う際の電光石火の機動性を表現している

    第306飛行隊の部隊マークは「ゴールデンイーグル」だ。基地がある石川県の県鳥である「イヌワシ」がモチーフになっている。イヌワシのりりしく勇猛果敢な攻撃精神と、獲物を狙う際の電光石火の機動性を表現している

     石川県小松市の航空自衛隊小松基地に所在する戦闘機部隊の1つ。南東北・関東・中部・近畿地域の領空と、その周辺空域の防空を担当する中部航空方面隊に属している第6航空団隷下の第306飛行隊は、主に北陸から中国地方東部の領空に接近・侵入してくる国籍不明機に対し、領空からの退去を警告したりする対領空侵犯措置を担当。

    画像: 垂直尾翼にある「ゴールデンイーグル」は、第306飛行隊の部隊マークだ(写真は2017年の航空祭の記念塗装機)。基地がある石川県の県鳥「イヌワシ」がモチーフ。勇猛果敢な攻撃精神と電光石火の機動性を表現している(出典:防衛省公式HP https://www.mod.go.jp/asdf/komatsu/3/third/31.html )

    垂直尾翼にある「ゴールデンイーグル」は、第306飛行隊の部隊マークだ(写真は2017年の航空祭の記念塗装機)。基地がある石川県の県鳥「イヌワシ」がモチーフ。勇猛果敢な攻撃精神と電光石火の機動性を表現している(出典:防衛省公式HP https://www.mod.go.jp/asdf/komatsu/3/third/31.html

     第306飛行隊の運用するF-15戦闘機は、処理能力が向上したコンピューターやデータリンクの搭載など、能力向上のための近代化改修がされている。全国から選りすぐりのパイロットを集めて戦技教育を行う戦技課程を有しており、日本の「トップガン」部隊とも言われている。

    画像: F-15戦闘機のタイヤ交換を行う湯村士長。交換時はブレーキの点検も丁寧に行っていく

    F-15戦闘機のタイヤ交換を行う湯村士長。交換時はブレーキの点検も丁寧に行っていく

     第6航空団は、日本海側で唯一の戦闘航空団として、わが国の防衛に当たる。国籍不明機に対処するため、F-15戦闘機を駆使し24時間365日態勢で緊急発進に備える。第303、306飛行隊の2部隊が所属している

    印刷会社から自衛隊へ

    湯村剛空士長(以下、湯村):湯村士長です。入隊4年目の27歳です。航空機整備員をしています。

    井上:湯村さんはなぜ自衛隊に入隊したんですか?

    湯村:もともと会社員だったのですが、自衛隊が災害派遣に出動している報道を目にして、自分も誰かを手助けできる人になりたいと入隊しました。

    石田:会社で働いてたんや。

    湯村:はい。印刷会社にいました。入隊前はおちゃらけてましたね。

    井上:軽いなぁ(笑)。湯村さんのように社会人を経験して入隊する人も多いの?

    湯村:今は32歳まで入隊できるので、自分のように会社を辞めて入る人もいます。

    井上:入隊して、整備員を志望したの?

    湯村:小さなころから航空機への憧れがあり空自を、中でも航空機に関われる整備の職種を選びました。

    石田:整備のお仕事はやりがいありますか?

    画像: 印刷会社から自衛隊へ

    湯村:国防に携わる誇りを感じます。今は航空機に専属して整備にあたる機付長という機体の責任者として危機感をもって取り組んでいます。担当する機体には機付長の名前が入ります。

    井上:「湯村専用F-15」なんや。すごいな。

    石田:機体の責任を持つのは、めちゃめちゃプレッシャーじゃないですか。

    湯村:パイロットの命を預かりますし、誰よりも危機感をもって取り組みます。作業中はエンジンに吸い込まれる危険区域もあるので、細心の注意で自分の機体を整備します。

    井上:飛行機って聞くとパイロットがメインになりがちじゃないですか。でも、整備の方が支えているんですね。

    湯村:パイロットは何よりも安全に気を使っていますし、私たちもその意識は負けないようにしています!

    やっぱり戦闘機には乗ってみたい

    石田:戦闘機に乗りたいという欲求は出ないんですか?

    湯村:それはめちゃめちゃありますね。

    石田:やっぱりありますよね。車いじっていたら乗りたくなるもの。乗れないのは悲しい。

    湯村:パイロットは若い年齢から知識と経験を積み重ねてなるものなので。整備員として戦闘機に関わって、パイロットのすごさを改めて感じています。

    石田:でも乗ってみたいよなぁ。

    湯村:どんな形でも乗れたらなと思います。

    井上:お隣にいるのは、上司の方ですか。

    浅井2尉:整備小隊長の浅井2尉です。湯村士長と同じ27歳です。

    石田:同い年だとタメ口をきいちゃったり。

    湯村:それはないです。上司と部下なので。

    井上:湯村さん、浅井さんは怖いですか?

    湯村:優しいです。はい……優しいです。

    石田:この質問した瞬間に画面から浅井さんが消えたんですよ。にらんでないかな。

    湯村:小隊長はデスクワークが多いですが、忙しい中で現場の様子を見てくれます。声を掛けてもらえるとうれしいです。

    浅井:湯村士長は若手隊員の指導も非常にしっかりしていて、頼りになりますね。

    整備の仕事で印象に残っていることは?

    井上:整備の仕事って複数でやるから、サボろうと思えばサボれたりしませんか?

    画像: 整備の仕事で印象に残っていることは?

    湯村:手を抜こうと思ったら抜けますが、この部隊にそんな人はいません! 整備員は自分の整備した機体への責任感がありますので。

    井上:航空機のネジが1本取れかかっていても、飛べると素人は思っちゃいますよ。

    浅井:ネジが取れかかった状態で飛行中に外れて、民家に落ちてしまったら一大事です。自衛隊全体に責任が生じてしまいます。

    井上:しっかりした整備はパイロットの命だけでなく、市民の命も守っているのか。だから欠損がないように完璧に点検をする。

    石田:整備の仕事で印象に残っていることはありますか?

    湯村:共同訓練でのほかの部隊の整備員との交流ですね。整備方法など勉強になりました。

    井上:整備のやり方は部隊によって違うの?

    湯村:根本は一緒ですが、寒い地域や暑い地域など、場所によって効率のよい整備法があると知ることができました。

    石田:まじめやなぁ。お仕事以外の楽しみって何かあります?

    湯村:公私問わず皆とコミュニケーションを取っています。キャンプや旅行に誘ってくれたり。第306飛行隊は面倒見がいいと感じます。これは部隊の仲間と旅行に行ったときの写真です。

     基地内で生活しているので、周りの人の優しさを改めて感じます。自衛隊は規律が厳しい面もありますが、皆で助け合う組織だと思いました。

    井上:今後の目標を聞かせてもらえますか。

    湯村:3等空曹への昇任を目指していまして、その勉強を頑張っています。昇任がかなったら、部隊の中堅として今まで以上に整備作業に努めたいと思っています。

    井上:責任感があるね。頼もしい。

    石田:最後に質問いいですか。2人とも、最後に髪の毛切ったのいつですか?

    浅井:私はおととい切りました

    湯村:私も1週間くらい前ですね。

    石田:やっぱり! きれいやなと思った。

    井上:髪が長かったら整備のときにじゃまやろ。だからすっきりしとんねん。今回はパイロットだけが戦闘機の全てじゃないと知れてよかったです。縁の下の力持ちとしてこれからも頑張ってね!

    湯村:はい! 頑張ります。

    これが湯村士長のちょっと自慢!

    井上:自分の専用機があるって、憧れだよね。

    湯村:うれしい反面、それ以上に、自分が全てを管理するんだと責任を強く感じました。飛んでいる姿を見ると誇らしい気持ちです。

    石田:専用機だと愛情もひとしおやね。井上よ、お前は石田専用の相方やで……。な~んて、まったく思っておりません。

    井上:えっー!相思相愛の専用機やろ!!

    <撮影/増元幸司(NON STYLE)、防衛省(部隊提供、湯村士長本人)>

    (MAMOR2020年12月号)

    NON STYLEのノン感染型インタビュー

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