自衛隊オフィシャルマガジン『MAMOR』編集部では、遊園地のジェットコースターで戦闘機搭乗を体感できないかと考え、取材時にパイロットに聞いてみた。すると、熊本県のグリーンランドにある『NIO(ニオー)』が戦闘機さながらの「G」を体感できてスゴイとのこと。
そもそも「G」って何?
Gとは重力加速度のこと。私たちが地球上で普通に過ごしている場合、地球の中心に向かって引き付けられている力が1Gとなる。戦闘機が旋回すると、パイロットは旋回とは逆の方向に押し付けられることになる。このとき、6Gならば体重の6倍の力で押さえられていることになり、体重60キログラムの人なら360キログラムもの重さと同じになる。
ちなみにF−15戦闘機は9Gがかかる機動も可能だ。通常の旋回では足元に体が押さえつけられ、これをプラスGと呼ぶが、前回りをするように機首から下に突っ込んで旋回するとマイナスGで、エレベーターで体がフワリと浮くような感覚となる。
高いプラスGがかかると、心臓より上にある脳に血液が供給できず視野を失う“ブラックアウト”現象が起き、最悪の場合は脳虚血となって意識を失ってしまう。そのため戦闘機パイロットは「耐Gスーツ」を身に着けてこれらのトラブルを防いでいる。
ジェットコースターで戦闘機そっくりの「G」を体感しよう!
グリーンランドの『NIO』は足がぶらぶらした状態で体験する宙返り&スクリュー回転がスリル満点の、サスペンディッドルーピングコースターだ。
公式サイトによると2回宙返り&3回スクリュー回転で、最大4.69Gを体感できる。
【グリーンランド(熊本県)】
〒864-0011 熊本県荒尾市緑ヶ丘
TEL:0968-66-1112
最近の戦闘機はどれくらいの速さが出るの?
機種によって違うが、F−15Jなら時速約3060キロメートルで、一般的な旅客機の約3倍にもなり、東京~大阪間なら約10分で着いてしまう。世界最速の戦闘機はソ連時代に開発されたロシアのミグ25で、最大速度は時速約3920キロメートルに達する。
最大速度はアフターバーナーなどと呼ばれる再燃焼装置を使う必要があり、燃料消費が激しいので現実には長時間維持するのは難しい。
(MAMOR2021年6月号)
<文/野岸泰之 撮影/近藤誠司>