アメリカを代表する人気俳優の1人、トム・クルーズの出世作にもなった『トップガン』(1986年・アメリカ)。日本での公開から30年以上たった今でも、自衛隊の戦闘機パイロットの中には、この映画を見て入隊を決めた、という自衛官が少なからずいる。そして2022年5月27日、その続編『トップガン マーヴェリック』が封切られることに。
『トップガン マーヴェリック』は、アメリカ海軍の全面協力による、実機を使ったリアルで迫力のある飛行シーンも大きな魅力だ。実際に空母から発艦、着艦し、アメリカ海軍の特別な許可を得て、砂漠での超低空飛行といったシーンの撮影が行われたという。
“日本のトップガン”第306飛行隊のパイロットに予告編を見てもらい、気になるシーンや楽しみな点などを“同業者目線”で語ってもらった。
自衛隊パイロットも大興奮。『トップガン』続編がいよいよ公開!
編集部:本編の内容は日米同時公開までは未公開、ということで皆さんには予告編を見てもらいました。ズバリ、予告編を見ての素直な印象を聞かせてください。
西尾善太2尉(以下、西尾):前作と比べて映像がかなりきれいになっていて、時代による撮影機材の進化を感じました。前作はテレビ画面でしか見たことがなかったので、トム・クルーズが戦闘機に乗る姿を映画館の大スクリーンで見られるのが楽しみです。
寺地宏紀2尉(以下、寺地):撮影技術も進化しているはずで、よりリアリティーが増しているんじゃないかと思いますね。
日野あゆみ2尉(以下、日野):今回は私と同じ女性パイロットが出てくるので、彼女の活躍に期待したいです。映画を見てパイロットを志す女性が増えたらいいな、とも思います。
西尾:あと、新作にF−15が登場してくれないかな、なんて期待しちゃいますね。「俺、あれに乗ってるんだぜ」って自慢したい!(笑)
現実でやったら大問題!? 映画ならではの豪快アクション
編集部:戦闘機乗りの皆さんから見て予告編で気になるシーンはありますか?
西尾:訓練生2人が飛ぶ真ん中を、マーヴェリックが下から突き破るように飛ぶシーン、あれは実際にやったら危ないですよ。自分なら絶対やろうとは思わないですし、やったら確実に何らかの処分を受けることになる(笑)。
寺地:無茶するなぁ、とは思います。ただ、実際にはやらないけど、あれぐらいのすごい技術を身に付けたいな、とは思いますね。
日野:飛行シーンはほぼ“怖いなぁ”と思うものばかりで、パイロットとしては気持ちがザワつきます。ただやはり、あれほど正確に機体を操れたらいいな、とは思いますね。
編集部:今回はトム・クルーズをはじめ、俳優陣が実際に戦闘機に乗ったそうですよ。
西尾:G(重力加速度)がかかる中、普通に演技してすごいなと思いますが、貴重な経験ができてラッキーだったのでは、とも思います。
日野:通説ですがGに関しては体格が小柄な女性のほうが耐性が高いという説もあります。私も意外と平気だし、その辺も注目して見てみたいですね。
新型戦闘機にも注目!
寺地:トムは50歳代後半ですよね。あの年齢で実際乗って飛んじゃうのはすごいですよ。
編集部:F/A−18戦闘機がメインで出てきますが、それについてはどうですか?
寺地:乗れるものなら1度乗ってみたいなと思います。映画だけの演出かもしれませんが、急激に機首を起こして空中で停止するようにして敵を前に押し出す、という動作はF−15だとできないので、あれをやってみたいです。
西尾:あれができたら最強じゃないですかね。それに“映え”ますよ(笑)。
寺地:Gをかけると翼からベイパーという白い煙のような水蒸気が出るんです。あのシーンはリアルだし、きれいだなと思います。
編集部:皆さんの思いをまとめると?
一同:とにかく楽しみ、本編を早く見たいです!! このメンバーで見に行きます。
(MAMOR2021年6月号)
<文/野岸泰之 撮影/近藤誠司 写真/『トップガンマーヴェリック』©️2020Paramount Pictures Corporation.All rights reserved.『トップガン』©️1986,2020 Paramount Pictures>