• 画像: ウェブサイトや雑誌などから定期的に情報を収集し、それを逐次、分析する。情報を蓄積することが重要になる(※画像はイメージです)

    ウェブサイトや雑誌などから定期的に情報を収集し、それを逐次、分析する。情報を蓄積することが重要になる(※画像はイメージです)

     自衛隊の行動に欠かせないものの1つが「インテリジェンス(情報)」だ。これは部隊が何らかの作戦行動を起こすのに先立ち、あらかじめ準備しておかねばならないもの。陸上自衛隊が収集する情報資料(インフォメーション)と、それを分析して得た情報(インテリジェンス)について、その収集方法を解説しよう。

    一般公開されているメディアなどの情報

     情報には、隠されているものでなくても一般公開情報(OPEN−SOURCE INTELLIGENCEの略でOSINT「オシント」と呼ばれる)を収集・分析して新たな情報を発見できることがある。

     例えば、その国で公になっている情報を収集する。テレビやラジオといった放送はもちろん、ウェブサイトなどで公開された情報、さらには当該国で発行されている新聞、雑誌、書籍、政府の作るパンフレット、国会などの議事録、白書などの公刊物など、収集対象となる情報は多い。ニュースの断片、人事の異動発令、発表報道、電話帳などの細かい情報を集めて活用することもある。

     近年はインターネットで公開されている情報の重要性が増しており、発信された情報から対象となる国や地域などの戦略をつかむためのツールとなっている。

    文献や出版物などから情報を集める

    画像: 陸上自衛隊 情報学校

    陸上自衛隊 情報学校

     陸上自衛隊には公開情報の収集・分析を担当する部署が存在する。この部署には語学能力に長けた隊員などが配置されており、後述する情報学校での語学教育を修了した隊員も多い。外国語などの専門知識で、文献などから公開情報の収集・分析を担当している。

    戦略の策定や部隊の活動に活用する

     公開情報は細かいデータを少しずつ集めて分析するだけでも、相当な精度の情報が得られることがある。丹念に収集し分析、翻訳したものは、必要とする各部署に提供される。他国の情報は戦略的な観点から活用されたり、PKOなど海外での活動を担う部隊の安全確保のために使われたりする。

     自衛隊以外の例だが、2011年の北朝鮮・金正日総書記の死去を日本でいち早く察知したのは、同国のラジオ放送を継続的に聴取していたラヂオプレスという財団法人だった。これも、放送という公開された情報を取得し続けることの重要性を示している。

    (MAMOR2021年6月号)

    <文/臼井総理 写真/防衛省提供>

    隠密に情報を集め分析する技術

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