どんな部隊:普段は艦艇に勤務し、必要なときに海に潜る

艦底調査の訓練時には、実際に艦の下に潜り、スクリューの状態を点検したり、絡まったロープなどを除去したりする
海上自衛隊のみの専門職である「スクーバ潜水員」の配属先は、主に護衛艦や潜水艦など。普段は、艦艇の操艦などを行う「航海」、護衛艦や航空機へ燃料や弾薬、食料を供給する「補給」など、任された専門の仕事をこなし、艦底の損傷の調査や艦艇から海中に落としたライトなどの遺失物捜索のときに潜水員として潜水する。
スクーバ潜水員の資格で潜れるのは水深20メートルまでだが、技術を磨き、より深く潜る水中処分員や飽和潜水員になる隊員もいる。
任務の内容:艦底に潜り、調査、修復、落水した人の捜索まで
艦艇の上からは海の中は見えない。航行中にスクリュー付近から異音がしたり、異常な振動などが発生した場合、艦艇を止めて潜水員が潜水して調査する。スクリューに絡まったりした漁網、海藻などがあれば除去したり、艦底に穴が開いていたら木栓、防水板などで浸水防止の応急処置を行う。
また人や物が海中に落下したときも潜水員の出番となる。なお、通常は2人1組で、1人が水中に潜り作業を行い、さらにもう1人が艦上で待機して、周囲の監視などを行う。
求められる能力:前に進むだけでなく、立体的な泳ぎを行う
潜水員はウエットスーツを着て、ゴーグルとシュノーケルをセットし、両足にはフィンを着用する。さらに任務に応じて工具やナイフ、カメラなどを装備する。
小西2等海尉によると、「フィンを使って前後、上下、左右といった3次元の泳ぎができないと作業ができない」そうだ。また海底の泥を巻き上げないよう、繊細な泳ぎも求められる。
訓練で大変なこと:フル装備でバタ足で数百メートルを泳ぐ

「シュノーケル泳法」で泳ぐスクーバ潜水員たち。潮流に邪魔され、なかなか前に進めず、体力を消耗するそうだ
潜水員は、重りを持って立ち泳ぎや、無呼吸で決められた距離を泳ぐなど、自衛隊内の「水中能力検定」に合格しており、基本的な泳力は人並み以上にある。
それでも「装備品を身に着けた状態で、シュノーケルとフィンを使ってバタ足だけで数百メートル泳ぐ『シュノーケル泳法』という訓練はきついです」と小西2尉。海上だと波や風、潮流があるので、なかなか前に進まないそうだ。
取材した人:護衛艦『かが』 飛行科 艦上救難士 小西2等海尉
スクーバ潜水員歴は2年4カ月。得意な泳法はクロール、バタフライ。「海上での任務が多い海自では水泳は必須項目です。万一海に落ちた場合は、救助が来るまで自分で何とかしなければなりませんから」
(MAMOR2026年7月号)
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<文/古里学 写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです
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