将来の幹部自衛官を育成する防衛省の教育機関「防衛大学校」。その開校記念祭は、毎年1万5000人以上もの観客が訪れる人気行事となっている。
開校祭で行われる、女子学生による「棒引き」と男子学生による「棒倒し」は、戦略性と団結力が試される注目の競技だ。学生たちの練習の様子に密着し、意気込みを聞いてみた。
4つの区分で段階的に実戦に備えていく

軽快な足取りでグラウンドに現れた1大隊の女子学生。練習前からテンション上げ上げだ
「棒引き」、「棒倒し」の練習は、毎年9月上旬から始まる。

(左上)この日、1大隊と同じグラウンドで練習を行うのは2大隊。まずは円陣を組んで気合いを入れる。 (右上)昼休みを削って、砂まみれで練習に励む女子学生たち。午後の授業は正直眠たい、との声も (左下)1大隊と2大隊で実戦形式の練習を実施。本番前なので互いに戦略を探り合う時間でもある (右下)練習といえども手は抜かず、表情は真剣そのもの。指導役の学生からは鼓舞する声掛けも
練習は「教育」、「基本錬成」、「応用錬成」、「あたり(実戦)錬成」の4段階に区分され、徐々に強度を上げていく。

(左)攻撃と防御に分かれ、実戦練習を行う1大隊。陽も暮れる中、時間を惜しむように練習に励む (右上)総長を先頭に、掛け声とともに走り出し、士気を上げながらグラウンドに向かう2大隊 (右中)スクラムを組んで、敵陣の棒を囲むサークルに突っ込む練習を行う3大隊。ヘッドギアは必須だ (右下)3人連続で棒に向かって飛びかかる練習を繰り返す4大隊。地面に四つばいになって踏み台となる学生は、より高く飛べるようジャンプのタイミングでお尻を突き上げる
女子学生は昼休みに、男子学生は課業後に練習時間を設け、開校祭の本番に向け、練度を高め、戦略を練っていくのだが、練習時には敵情の偵察をすることも認められている。
各大隊でそろいのスエットなどを作成し、団結力を高めている
取材時は「あたり錬成」の時期。気迫に満ちた各大隊の総長(競技責任者)に意気込みを聞いた。
「棒引き」に挑む女子学生の意気込み
「学年はまちまちなのに、そうとは感じられないチームの団結力が強み。スピードと力を兼ね備えているので、その迫力を見てほしいです。2連覇して歴史をつなぎます!」(1大隊<昨年優勝>総長・金森学生・4学年)
「指揮を執る4学年だけでなく1学年に至るまで、全員がさまざまなアイデアを持っているので、最も効果の高い作戦を探りながら練習ができています。他大隊を圧倒撃滅します!」(2大隊総長・吉村学生・4学年)
「圧倒的パッション、圧倒的フィジカル、圧倒的センスを備えたチーム。自分たちが歴史の1ページを刻むという自負があります。勝つのは3大隊。圧倒的強さの証明をするだけ!」(3大隊総長・柿元学生・4学年)
「4大隊はみんな素直。学年の隔たりもなく、下級生に指導がしやすいです。1頼んだら100返ってくる同期の存在も心強く、仲間に助けられています。どうせやるなら勝つ!」(4大隊総長・原学生・4学年)
「棒倒し」に挑む男子学生の意気込み
「精鋭たちの圧倒的な攻撃力に加え、何があっても棒を倒させない鉄壁の防御。全員で笑い合える最高の棒倒しにしたいです。頂点をとるのは俺たちだ! 勝利をいただきます!」(1大隊総長・池田学生・4学年)
「10年以上連続で決勝に進出し、かつ直近では3連覇している伝統と、4連覇という大きな目標に向かう団結力はまさに歴代最強。獅子奮迅の4連覇を勝ち取ります!」(2大隊(昨年優勝)総長・松尾学生・4学年)
「力だけでなく、瞬時に判断し戦略を駆使する「棒倒しIQ」の高さが強み。棒倒しは勝っても負けても泣ける男と男の意地のぶつかり合い。必ずや勝利をつかみ取ります!」(3大隊総長・岡田学生・4学年)
「1番見てほしいのは、学生の棒倒しにかける熱量です。戦術を目だけでなく、肌でも感じていただきたい。4大隊が最後に優勝してから20年。今年こそ、優勝、わしづかみ!」(4大隊総長・松山学生・4学年)
(MAMOR2026年3月号)
<文/古里学 写真/村上淳>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです










