近年、他国軍と意思疎通を図ることで、相手国との関係性を深める目的などから、自衛隊と諸外国との共同訓練が増えている。
その中から、2025年に行われた、宇宙状況把握多国間演習「グローバル・センチネル2025」をレポート。
訓練に参加した自衛官に、自衛隊単独の訓練と何が違い、どんな知見が得られ、どんな意義を感じたのか聞いてみた。
年々重要性が増す宇宙空間の安定的利用と安全保障を目指して

演習最終日にデブリーフィングを行う参加国の全隊員。アメリカ宇宙コマンドの部長も参加
アメリカ宇宙コマンドが主催する「宇宙状況把握(Space Situational Awareness=SSA)」に関する多国間演習「グローバル・センチネル」。
その内容は、国民生活と防衛の双方にとって死活的に重要である宇宙空間の安定的利用と、わが国の安全保障のため、人工衛星や宇宙ゴミの位置、動きを監視し、安定利用を図るSSAの能力向上と各国間との連携を強化することにある。

机上演習で、ほかの参加国の参加者と発生した宇宙事象の解析作業。英語が飛び交う
この演習に、航空自衛隊は2016年から参加している。25年は参加国・組織も拡大され、航空幕僚監部および宇宙作戦群からは7人が派遣された。
アメリカの宇宙軍基地において実施された演習では、シミュレーションを用いた解析を使って、各国との情報共有態勢を確認・強化したり、意見交換などを行って知見を深めた。
訓練DATA(2025年)
●訓練開始年/2014年
●直近実施日/2025年4月28日~5月9日
●実施場所/バンデンバーグ宇宙軍基地(アメリカ)
●参加国/日本、アメリカなど31の国および組織
●自衛隊の参加部隊・人数/航空幕僚監部、空自宇宙作戦群7人
訓練の成果を出せて自信に
【宇宙作戦群/廣瀬3等空尉】
空自のグローバル・センチネルへの参加は今回で7回目ですが、私自身は初参加となりました。
具体的な訓練内容としては、宇宙領域で発生する事象(人工衛星とデブリの接近など)への参加国間での対応計画の作成や、データの共有訓練における隊員の指揮を担当しました。
国によって事象を分析する手法やツールが違うので、解析結果を精査したり、日本側の分析を相手国側に分かるように説明するのが難しかったですね。
それでも他国の先進的な手法を学んだり、われわれの能力を示すことで、日ごろの訓練の成果を発揮できたことは自信につながりました。
求められたスピードと情報共有
【宇宙作戦群/安部3等空曹】
私が担当したのは、衛星の接近や大気圏への再突入についての解析です。
連絡官要員でもあったので、1日の半分は外国軍との調整や情報収集を行いました。もちろんその間は英語でコミュニケーションをとらなければなりません。
また日本が主導して事象に対処するシナリオのときは、迅速な解析と情報共有が求められ、とにかく忙しかった記憶があります。
今回の経験を生かして同盟国、同志国との連携強化に貢献するとともに、これまでの人生で最も語学の重要性を実感したので、今後も継続して英語の学習に取り組んでいきたいと思っています。
(MAMOR2026年1月号)
<文/古里 学 写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです


