自衛隊には、さまざまな号令があり、隊員たちは訓練の中で受け方や発し方を身に着けていく。
ここでは号令の中でも、戦闘時の号令や、降雪地で使われるスキーの号令、国葬の際に使われる弔銃の号令などを紹介しよう。部隊を訪ねて録音した音声もぜひ聞いてみて。なお、大きな音が出るので周囲にもご注意を。
戦闘の号令:シチュエーションとリアルな音声を紹介

小銃などを扱う戦闘の号令は目標とその距離、射ち方など複数の号令を組み合わせて行う。その一例と、戦闘に関係する号令を紹介する。
前方 敵散兵 200 短連射 指命 射て

小銃を構えた隊員に対し「前方 敵散兵(密集せず適度に散開している) 200」で相手の位置と対象、距離(200メートル)を確認。続けて目標に対する射撃法(1発か連射かなど)を伝える。「指命」は「射て」の号令を待ての意味。
陸9 1a 戦闘の号令 前方 敵散兵 200 短連射 指命 射て
youtu.beその場に 伏せ

「伏せ」の号令で立った状態から頭を努めて低くし、伏せた状態に体勢を変える。
陸10 1 戦闘の号令 その場に 伏せ
youtu.be早駆け 前へ

「早駆け」の予令で伏せた状態からわずかに頭を上げ、進行方向の状況を確認。「前へ」の動令で中腰の低い姿勢で前進する。
陸10 2 戦闘の号令 早駆け 前へ
youtu.be射撃のバリエーション
単射:1発ずつ発射する射撃
並射:6発程度の連射を数秒間隔で行う
連射:間隔をあけず連続して射撃をし続ける
急射:発射間隔を極力短縮して射撃を続ける
速射:10発程度の連射を数秒間隔で行う
点射:3〜5発程度の射撃を繰り返す
各個射:個々の火器で自由なタイミングで撃つ射撃
砲撃の号令:シチュエーションとリアルな音声を紹介

戦車や各種誘導弾、りゅう弾砲など砲撃時は複雑な号令がかかる。砲撃の号令についていくつか例を挙げて紹介する。
中隊 1発 M107りゅう弾 90時限 装薬演習用 秒時12.95 方位角5495 射角 293 同時弾着12秒

最初に射撃部隊(中隊)へ注意喚起し、次に射撃に必要な弾数と種類(1発、りゅう弾)、弾に装着する信管(90時限:空中での破裂が可能)、弾の発射に必要な火薬の種類(演習用)について命ずる。
射撃目標は通常は火砲の位置から見えないため、全ての火砲に射撃すべき方向(方位角)、砲身の角度(射角)を数値で命じる。
同時弾着とは、複数の火砲から発射した弾丸を目標に対して同時に当てる射撃で、「弾着、今」は、射撃目標を直接観ている隊員に弾着のタイミングを予告している。
陸12-1a_砲撃の号令_中隊 1発 M107りゅう弾 90時限 装薬演習用 秒時12.95、方位角5495 射角 293 同時弾着 12秒
youtu.be陸12 2 弾着、今!
youtu.be砲手 前方 装甲車 対榴 射て

戦車の指揮を担当する車長が、砲撃を担当する砲手に、目標の位置と対象(前方 装甲車)を示す。次に使用する弾薬(対戦車りゅう弾)を指定し「射て」で砲撃する。
陸11 1a 砲撃の号令 砲手 前方 装甲車 対榴 射て
youtu.be軽対戦車誘導弾 前方 停止中の戦車 500 ダイブ 指命 射て

01式軽対戦車誘導弾の号令。目標の位置と対象、距離を示し、射撃法(ダイブ・上面装甲を攻撃する方法)で待機させ(指命)、「射て」で砲撃する。
陸9 5 戦闘の号令 軽対戦車誘導弾 前方 停止中の戦車 500 ダイブ 指命 射て
youtu.be無反動 対戦車りゅう弾 右前方 左へ移動する戦車 300 リード2 1発 射て

84ミリ無反動砲の号令。発射する弾の種類、目標の位置と対象、移動予測距離(リード)を示し、発射する弾の数を指示する
陸9 3a 戦闘の号令 無反動 対戦車りゅう弾 右前方 左へ移動する戦車 300 リード2 1発 撃て
youtu.beスキーの号令:シチュエーションとリアルな音声を紹介
降雪地の部隊では、任務でスキーを使用することも。その際に使われる号令は、ほかとは異なる独特のものがある。スキーに関連する号令の一部を紹介する。
になえ スキー
防衛省資料を参照し、画像生成AIにて編集部で作成
スキーを右肩にかつぐ号令。ストックは左手首にかけたままスキーをかつぐ。
陸13 3 スキーの号令 になえ スキー
youtu.be着け スキー
防衛省資料を参照し、画像生成AIにて編集部で作成
スキーを保持した状態から装着する号令。左足側にストックを立て、スキーを装着する。
陸13 2 スキーの号令 着け スキー
youtu.be組め スキー
防衛省資料を参照し、画像生成AIにて編集部で作成
ストックを交差させた上にスキー板を乗せて組む号令。
陸13 1 スキーの号令 組め スキー
youtu.be弔銃の号令:姿勢とリアルな音声を紹介

国葬、慰霊祭や公務で亡くなった方の葬送式などで弔意を示すために射たれる「弔銃」。その際に使われる号令を紹介する。
弔銃用意 射撃用意 射て

「弔銃用意」で「控え銃」(左手を銃身部、右手で銃床部を持ち体の前で保持)の姿勢になり、「射撃用意」で小銃を斜め上に向けて構え、「射て」の動令で空砲を発砲する。
陸14 1 弔銃の号令 弔銃用意 射撃用意 射て
youtu.be(MAMOR2026年1月号)
<文/臼井総理 録音協力/株式会社1991、陸上自衛隊第302保安警務中隊、富士学校、海上幕僚監部 写真提供/防衛省>
※収録した号令は2025年10月末時点の防衛省資料を元に編集部でセレクトしています
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです
















