艦艇のライトの秘密や、当直勤務の自衛官の腕章の見分け方など、自衛隊の「夜」にまつわるさまざまな豆知識を紹介しよう。
昼夜を問わず任務にあたる自衛隊。その「夜の顔」をもう少し掘り下げてみると、現場を支える当直や警衛、最前線での夜の過ごし方、夜間で行動するための装備や工夫など、夜ならではの取り組みが数多く見えてくる。
夜間は目に影響が少ない赤色灯を使用

夜間、赤色灯のもとで双眼鏡を使い周囲を警戒する隊員
暗闇で徐々に目が慣れることを暗順応という。暗順応には30分ほどかかるが、白いライトを点けると暗順応がリセットされ、再び暗闇に目が慣れるまでに時間がかかってしまう。
しかし赤色のライトは目に対する刺激が少ないため、暗順応がリセットされにくい。
艦艇では昼間は白色灯を使用しているが、洋上を目視で捜索する必要があるため、夜間は艦内照明を赤色灯に切り替えている。
ハンドサインで発声を控える
光だけでなく音もできるだけ出さないようにしなければならない夜間訓練。水陸機動団が夜間に砂浜から上陸を行う訓練ではハンドサインのみで指示を出して行動しているという。
「夜間でも同じ戦闘能力を保てるよう昼間に繰り返し、夜間はそれを応用して訓練しています」とのことだ。
夜間勤務では追加メニューが支給
隊員の食事は栄養価や摂取カロリーなどが設定されているが、夜間の当直や警戒勤務に就く隊員には、通常の食事とは別に「増加食」や「加給食」が支給される。
これは、深夜帯の勤務で体力を消耗する隊員を支えるための制度で、任務の種別や拘束時間に応じて各種あり、増加食は、パンやおにぎり、カップラーメン、飲料など、すぐに食べられる軽食が中心で、休憩時間に手早く補給できるよう工夫されている。
一方、加給食は温かい汁物や軽食が提供されることもあり、季節や駐屯地の体制によって内容は異なる。
自衛隊車両を運ぶ“機動力”の裏側
任務発生時に自衛隊車両を素早く目的地へ送り届けるため、自衛隊では平素から多様な輸送手段を使った訓練を行っている。
民間の大型船舶や鉄道輸送を想定した作業を繰り返すなど、状況に応じた輸送力を確保するのが狙いだ。また、戦車などの装軌車両をトレーラーに載せて公道を走行することも。
道路状況や交通量への配慮、安全確保の観点から、こうした走行は夜間に行われる場合もあり、平時から長距離移動の運用ノウハウを蓄積している。
隊員の腕章を見ればどの当直かが分かる

右から駐屯地当直司令、駐屯地当直副官、駐屯地当直伝令
当直勤務者は、規則によって当直であることを示す腕章を着用しなければならない。
腕章には役職も示され、駐屯地当直司令は青地に赤4本線、駐屯地当直副官は青地に赤3本線、駐屯地当直伝令は青地に赤1本線の腕章を着用する。
ほかにも当直幹部は白地に赤3本線など、区分や役職ごとに細かく分かれていて、大きな腕章を着けることによって、暗い場所でも区分や役職が一目で分かるようになっている。
(MAMOR2026年2月号)
<文/古里学 写真/荒井健 情報協力/井上和彦>
ー国防は眠らないー
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです
