昼夜を問わず任務にあたる自衛隊。その「夜の顔」をもう少し掘り下げてみると、現場を支える当直や警衛、最前線での夜の過ごし方、夜間で行動するための装備や工夫など、夜ならではの取り組みが数多く見えてくる。
暗視装置の秘密や、自衛官は夜間の演習場でどう眠るのかなど、自衛隊の「夜」にまつわるさまざまな豆知識を紹介しよう。
暗闇でもよく見える暗視装置の秘密

暗視眼鏡を着ける隊員。夜間でも視界を確保できるが、視野が狭くなるため慣れが必要
暗視眼鏡は、夜間や低照度の環境で周囲の状況を確認するために使用される装備で、わずかな光を増幅し視界を確保することができる。
夜間警戒や潜入・偵察などの任務では、光源が乏しい状況でも行動を継続するために欠かせない装備だ。
ただし暗視眼鏡は視野が狭くなり、奥行きや段差などを把握しづらいという特性があるため、装備を使いこなすための訓練が日々行われている。
重要な式典では満艦飾でライトアップ
「満艦飾」とは、祝日や記念日に停泊中の艦艇のマストから艦首、艦尾までに信号旗などを装飾して祝意を示すもので、日没後は艦体を電球などで飾る「電燈艦飾」を行う。
満艦飾の起源ははっきりしないが、日本では旧海軍の時代から行われており、海上自衛隊では建国記念日、天皇誕生日、自衛隊記念日、観艦式などで実施される。
夜間の陸自車両はわずかな光で走行

灯火管制下では、それぞれのテールランプが点灯する。後続車両は、わずかな灯火を頼りに追従し、ライトの見え方で車間距離を測る
敵に発見されないため、また暗闇に隊員の目を順応させるため、夜間はトラックなどの車両のヘッドランプは点灯しない。そして車両の前後に設置された「管制灯火」という、ごく光量の少ない灯火を使って走行する。

灯火管制下のライト(右)では、2点のライトが点灯。近くで見るとはっきり2点と分かるが、数十メートル離れた距離から見ると重なって1点に見える
この管制灯火は運転席のロータリースイッチで光のパターンを変えることができる。
演習場で隊員はどう眠るのか?

ポンチョで擬装しながら仮眠をとる隊員
夜間の演習場や最前線の現場では、隊員は天幕に宿営するのが基本だ。
そのほか、屋外で歩哨任務など、天幕を離れて警戒し続けなければいけない場合は、迷彩柄のポンチョ「仮眠用覆い」を使用することもある。防水・防湿、保温のための加工がされ、体をすっぽりと覆い、小銃を仮眠覆いの外に出して両手で抱え込むようにして、雨除け兼防寒具として使用する。
状況によって、座った体勢のまま、仮眠をとることもある。
(MAMOR2026年2月号)
<文/古里学 情報協力/井上和彦>
ー国防は眠らないー
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです
