•  自衛隊の「復旧力」の源は、隊員一人ひとりの知識と経験だ。陸・海・空各自衛隊ではそれぞれ専門的な教育を行う機関で知識や技術を教えている。

     有事に、災害時のさまざまな状況に即応できる人材を育成する自衛隊の復旧力の教育について紹介しよう。

    ハイテク、アナログ双方の復旧力を教育する

    画像: 陸自施設学校での架橋の教育。器材の安全な取り扱いや隊員を指揮・指導する要領などを学び、適切な復旧力を身に付ける

    陸自施設学校での架橋の教育。器材の安全な取り扱いや隊員を指揮・指導する要領などを学び、適切な復旧力を身に付ける

     陸上自衛隊には戦闘の正面に立つ「普通科」や戦車などを扱う「機甲科」など全部で16の職種があり、それぞれ専門的な教育を行う各種学校がある。

     この中でも、土木や建築などの技能を持った「施設科」や火器・車両をはじめ装備品の整備などを担う「武器科」、食料、燃料、被服などの補給や管理を行う「需品科」などで復旧に関する教育は行われている。

    画像: 陸自施設学校の木材連結に関する教育。連結は架橋や道路構築などあらゆる作業に応用が可能なため基礎を徹底する

    陸自施設学校の木材連結に関する教育。連結は架橋や道路構築などあらゆる作業に応用が可能なため基礎を徹底する

     勝田駐屯地(茨城県)に所在する施設学校を例に挙げると、年間約1000人が入校し、測量や地質調査など土木に関わる技術や、道路や橋の構築などの専門技術の教育を受ける。

     近年はドローン測量や3D設計図などのDX(デジタル技術)への取り組みも進むが、有事に対するさまざまな状況を想定し、全てを手作業で行うアナログな対処法も教えている。

    画像: 海自第2術科学校では、艦艇の火災対処など「応急作業」と呼ばれる教育を実施。1分1秒を争う事態からの復旧を学ぶ

    海自第2術科学校では、艦艇の火災対処など「応急作業」と呼ばれる教育を実施。1分1秒を争う事態からの復旧を学ぶ

     海上自衛隊と航空自衛隊には術科学校と呼ばれる専門教育機関がある。

     海自は第1~4術科学校があり、航海・機関・通信・補給などの教育を実施。

     第2術科学校では、艦艇の故障や火災、浸水などの事態に対処する「応急工作」の課程があり、消火作業や浸水時の対応など艦を守り任務遂行の能力を維持するための技術を教えている。

    画像: 空自第4術科学校における通信器材の整備。不具合が生じた際の対処について、的確で素早い復旧の要領を学んでいる

    空自第4術科学校における通信器材の整備。不具合が生じた際の対処について、的確で素早い復旧の要領を学んでいる

     空自は第1、第3〜5の4つ術科学校があり、機関・通信・航空管制などの教育を実施。こちらでも航空機火災、土木技術、各種器材に関する教育などを通し、復旧への対処法を教えている。

    日ごろからさまざまな“復旧”を行っている自衛隊

    画像: 天幕の窓の部分はほつれやすい場所の1つ。ミシンで縫い付け、再びほつれないよう復旧させる

    天幕の窓の部分はほつれやすい場所の1つ。ミシンで縫い付け、再びほつれないよう復旧させる

     有事に備え厳しい訓練を重ねている自衛隊は、日ごろからさまざまな“復旧”を行っている。

     実任務や訓練で破損した天幕や被服類、小銃などの各種装備品は、可能な限り自分たちで復旧させて使い続けるのだ。

    画像: 穴の開いた被服も補修用の生地を使い修繕。被服の復旧は各駐屯地にいる被服整備の隊員が担当する

    穴の開いた被服も補修用の生地を使い修繕。被服の復旧は各駐屯地にいる被服整備の隊員が担当する

     その理由は、有事・大規模災害時には装備品の補給が困難になる可能性を考え、平時から装備品が壊れたら修理できるものは全て復旧させられる態勢を維持するため。

    小銃などの小火器類は、パーツの割れなど軽微な破損が生じた際は整備教育を受けた隊員が修理・点検を行い復旧させる

     例えば、車両や航空機の燃料などを入れるドラム缶もその1つ。残油を抜いて一つひとつ点検し、内部の洗浄をしながらボディのゆがみがないか確認。

    画像: 射撃後に残る「空薬きょう」は全て回収。隊員が選別し再加工可能なものは空砲として復旧させている

    射撃後に残る「空薬きょう」は全て回収。隊員が選別し再加工可能なものは空砲として復旧させている

     もしゆがみが生じていれば専用の機械を使って形を整え、塗装が落ちていれば塗り直して再使用できる状態に復旧。壊れたら交換するのではなく、直せるものは修理して使い続ける。

    (MAMOR2025年11月号)

    <文/臼井総理 写真/村上淳(施設学校) 写真提供/防衛省(特記を除く)>

    すごすぎ自衛隊の復旧力!

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

    This article is a sponsored article by
    ''.