•  今から80年程前、焼け野原となった日本は、その後、度重なる自然災害に遭いながらも、世界が驚く復興を遂げ、世界トップクラスの経済大国となり、いまやアニメ、音楽、料理などを求め、世界中から訪問客が訪れる文化大国にもなった。

     その戦災・災害からの復興力に着目し、日本の歩みを振り返る。

    戦後80年、世界でまれにみる戦災復興。焦土から経済大国へ

    1945年、空襲で焼け野原となった東京・渋谷駅。右上が道玄坂の交差点 写真/CCJP

     太平洋戦争で日本各地は本格的な空襲を受け、多くの都市が戦災で灰となった。しかし終戦から「追いつけ、追い越せ」の掛け声のもと、世界が驚く早さで復興を遂げる。

     その背景は、欧米の最新技術やノウハウなどを柔軟に取り入れるだけではなく、作業の効率性やコストダウン化も進め、世界と戦うための競争力を強化していった勤勉な日本人の国民性が大きい。

    画像: 2024年の東京・渋谷駅。100年に1度の大規模開発が進行中で、街並みが大きく変化している 写真提供/渋谷区

    2024年の東京・渋谷駅。100年に1度の大規模開発が進行中で、街並みが大きく変化している 写真提供/渋谷区

     経済成長の指標として1970年ごろには国内総生産(GDP)が世界2位となり、2024年度も世界4位で高い成長を維持している。

    度重なる震災や、風水害からの復興

     戦後、世界が驚く経済復興を遂げた日本だが、その一方で度重なる災害から復興してきた歴史もある。

     中でも甚大な地震は599年の「推古地震」から2024年の能登半島地震まで200回以上記録されている(注1)。

    画像: 2011年3月11日に起こった東日本大震災。地震後の津波の被害も大きく、2万2000人以上の死者・行方不明者が発生 写真提供/東北地方整備局震災伝承館

    2011年3月11日に起こった東日本大震災。地震後の津波の被害も大きく、2万2000人以上の死者・行方不明者が発生 写真提供/東北地方整備局震災伝承館

     23年に国土交通省が出した統計によると、全世界で発生したマグニチュード6以上の地震のうち約17パーセントが日本で発生している。これは日本列島が4つのプレートが複雑に重なる場所に位置し、地震や火山活動が活発な地域だからだ。

     加えて季節風の影響で台風の通り道になりやすく、山地が国土の約75パーセントを占めるため河川が急で短く、土砂災害も発生しやすい。

     また日本の伝統的家屋は木材と紙製のため火災の発生も多い。日本において自然災害は常であり、そのたびに被害が後を絶たないのが現状だ。

    画像: 2018年7月、西日本を中心に広範囲で記録的な集中豪雨が発生。死者・行方不明者は300人近くに達し「平成最悪の水害」と報じられた 写真提供/岡山市

    2018年7月、西日本を中心に広範囲で記録的な集中豪雨が発生。死者・行方不明者は300人近くに達し「平成最悪の水害」と報じられた 写真提供/岡山市

     このような多くの災害に見舞われるたび、日本は復興を遂げてきた。災害から復興するための継続的な取り組みは、国連の「防災世界会議」でも取り上げられ、世界が見習うべき防災対策の指針として日本の復興力が注目されている。

    (注1)マグニチュード7以上の地震について、『日本被害地震総覧』(東京大学出版会刊)、気象庁発表資料などを参考に編集部で調査

    「激甚災害」、「特定非常災害」に指定された主な災害

    画像: 2014年9月、長野県と岐阜県の境にある御嶽山が突如噴火。死者・行方不明者が63人に上る戦後最悪の火山災害が発生 写真提供/Alpsdake

    2014年9月、長野県と岐阜県の境にある御嶽山が突如噴火。死者・行方不明者が63人に上る戦後最悪の火山災害が発生 写真提供/Alpsdake

     わが国では、著しい被害があり復旧事業を進める自治体への財政支援が必要と判断される災害を「激甚災害」(1962年制定)、規模が著しく深刻で国民生活に影響があるものを「特定非常災害」(1995年の阪神・淡路大震災に対応するため96年に制定)と指定している。

     以下に、特定非常災害は制定されてから2025年8月までに指定された災害、激甚災害については、総数が288件(注2)と多いため、15年以降に指定された災害をまとめた。

     また、11年以降の15年間で災害救助法が全国の3分の2にあたる市区町村で適用されたというデータ(朝日新聞調べ)もある。

    (注2)「激甚災害」について官報検索のWEBサイトなどを参照し編集部で調査。1つの激甚災害に対し複数の政令が出る、1つの政令で複数の激甚災害が指定されることがあるため、政令の数と激甚災害の数は必ずしも一致しない

    激甚災害一覧(2015〜25年指定)

    <2015年>
    台風9、11、12 号(熊本県)
    台風18号、関東・東北豪雨(福島、宮城、茨城各県)
    豪雨、地滑りなど(北海道、熊本など11県)

    <2016年>
    熊本地震(熊本県)
    台風7、9、10、11号(北海道、岩手県)
    豪雨、地滑りなど(高知など6県)

    <2017年>
    台風3号(福岡、大分県)
    豪雨、地滑りなど(北海道、奈良など13県)

    <2018年>
    7月豪雨(地域の限定なし)
    北海道胆振東部地震(北海道)
    豪雨、地滑りなど(熊本など12県)

    <2019年>
    台風10、13、15、17号(千葉、佐賀など40県)
    台風19、20、21号(東京都、千葉県など13県)
    豪雨、地滑りなど(鹿児島など5県)

    <2020年>
    7月豪雨(京都、大阪各府と38県)
    豪雨・地滑りなど(福岡、宮崎など10県)
    梅雨に伴う豪雨(東京都、大阪、京都各府と29県)

    <2021年>
    台風9、10号(大阪、京都各府と30県)
    豪雨・地滑りなど(新潟など8県)

    <2022年>
    3月16日地震(福島県)
    豪雨(宮城、熊本、鹿児島各県)
    台風8号(北海道、大阪、京都各府と26県)
    台風14、15号(岩手、千葉など27県)
    豪雨・地滑りなど(宮城、福島など10県)

    <2023年>
    5月5日地震(石川県)
    台風2号(北海道、大阪、京都各府と38県)
    台風7号(大阪、京都各府と13県)
    台風12、13号(茨城、千葉、新潟、富山、石川各県)
    豪雨、火山噴火など(北海道、大阪府と鹿児島など13県)

    <2024年>
    能登半島地震(石川など4県)
    豪雨(東京都、大阪、京都各府と33県)
    台風5号(岩手県)
    台風10号(北海道、宮崎など26県)
    9月20〜23日の集中豪雨(石川など12県)
    豪雨・地滑りなど(北海道、宮崎など14県)

    <2025年>
    林野火災(岩手県)
    8月豪雨(地域の限定なし)

    特定非常災害一覧

    1995年:阪神淡路大震災
    2004年:新潟県中越地震
    2011年:東日本大震災
    2016年:熊本地震
    2018年:平成30年7月豪雨
    2019年:令和元年台風第19号
    2020年:令和2年7月豪雨
    2024年:令和6年能登半島地震

    海外から頼りにされ、求められる日本の復興力

    画像: カンボジアで流通している500リエル紙幣の見本。日本が技術支援で築いた橋の絵(中央と左)と日の丸(右下)が描かれている 写真提供/カンボジア観光省

    カンボジアで流通している500リエル紙幣の見本。日本が技術支援で築いた橋の絵(中央と左)と日の丸(右下)が描かれている 写真提供/カンボジア観光省

     戦災や幾多の自然災害から短期間で復興を遂げた日本の技術力は世界でも注目され、開発途上国を支援するODA(政府開発援助)でもその力が求められている。

     近年はブータンやギニア、ジンバブエなどで道路開発に関する技術協力などを行っているが、一例として、2001年と15年に、カンボジアのメコン川に架かる橋を日本が支援した例を挙げよう。

     この橋は同国の悲願であった国土の東西をつなぐ重要な交通網で、その感謝から現在も流通している同国の500リエル紙幣には橋と日の丸が描かれている。

     また、ロシアから侵攻を受けるウクライナは迅速な戦後復興を見据え、日本の復旧技術を学ぶ目的で、がれき処理やリサイクル施設などを視察している。

    (MAMOR2025年11月号)

    <文/臼井総理>

    不死鳥・日本の復興力!

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

    This article is a sponsored article by
    ''.