•  普段は社会人や学生として生活しながら、年間に定められた日数の訓練に臨み、有事や災害時には招集に応じて出頭し、自衛官として活動するという「予備自衛官」が存在する。

     そこで、弁護士や自動車整備士などさまざまな職業に就きながら、予備自衛官として国を守る活動をしている方々に「予備自」の魅力について聞いてみた!

    小銃の分解結合に夢中!生活習慣も改められました(葬祭業・エンバーマー/技能予備自衛官<人事>)

    【橋詰知子氏】
    56歳。2021年度にエンバーマー(遺体衛生保全士)が予備自の技能公募の対象になったことで応募し予備自に。階級は予備2等陸曹

    葬祭業の会社でエンバーマーとして活動する橋詰氏。「亡くなられた方のお体に衛生保全を行うエンバーミングが、必要な技術だと認められてうれしいです」

     予備自にならないと味わえない楽しみは、ズバリ、小銃の「分解結合」です。小銃の構造がシンプルでプラスチックモデルのように扱えることには驚きました。何度も練習して、より早く、より正確に行う作業には、つい夢中になってしまいます。

     心躍るのは、訓練で訪れる駐屯地内の売店です。部隊マークが刺しゅうされたワッペンなど、ここでしか手に入らない自衛隊グッズやお土産は見ているだけでも楽しいですし、つい衝動買いしてしまいます。エンピ形のスプーンは、私の愛用品です。

    営内生活を味わえて素顔の自衛官に会える(弁護士/技能予備自衛官<法務>)

    【伊藤蔵人氏】
    47歳。自身の専門技能で日本に貢献したいと2014年に予備自補に。階級は予備3等陸佐。弁護士として、企業活動の法的助言、紛争解決などを行う

    企業活動に関連する法律問題に注力している伊藤氏。監督官庁や問題顧客などへの対応を強みとしている

     年間5日の訓練であっても、自衛隊の一員として営内で過ごすことができるのは楽しみの1つですね。朝夕のらっぱ、隊員食堂での食事、大浴場での入浴。そして最終日の予備自が集まり親睦を深める懇親会など、営内生活を味わえるのは予備自の醍醐味です。

     また、駐屯地祭などのイベントだけでは見えない、素顔の現役自衛官に接することができるのも、私にとってかけがえのない体験です。

    戦車の整備見学に大興奮。集団行動で生活にメリハリ(自動車整備士/技能予備自衛官<整備>)

    【酒井勇一氏】
    45歳。東日本大震災での報道を観て、2011年に予備自に。技能予備自の訓練で重機を扱う際は、とてもやりがいを感じるという。階級は予備2等陸曹

    画像: 本業では重機車両の整備を行う酒井氏。予備自の経験を通じ「自衛官は家族・仲間を守る存在」という思いが強まった

    本業では重機車両の整備を行う酒井氏。予備自の経験を通じ「自衛官は家族・仲間を守る存在」という思いが強まった

     予備自の同期が大きな戦車の整備を行っているところを見学したときには、とても感動しました。私自身、普段は重機を整備する仕事に就いていますが、戦車をいじる機会はないですからね。

     職種は施設なのですが、重機を操作したり、地雷を埋設したりする訓練を苦労しながらも達成できたことも印象に残っています。

     予備自として規律ある集団行動の訓練を経験することで、本業や日常生活にメリハリがついたと感じます。

    同じ志を持った仲間たちと成長できるのが楽しい(公務員/技能予備自衛官<語学>)

    【中村貴史氏】
    55歳。社会のため、他者のために尽くしたいと思い2015年に予備自に。階級は予備2等陸曹。語学(英語)を生かし予備自として活躍中

    かつて外資系の企業に勤務していた中村氏。働き方を見直し、地元に貢献するために、現在は北海道庁で勤務している

     毎年の招集訓練に加え、伊丹(大阪府)や東千歳(北海道)などで実施されたアメリカ軍との共同訓練などにも参加しています。

     今までで一番の思い出は、まだ予備自補時代、初めての訓練ですね。同室のメンバーは皆さん個性的な方ばかり。

     訓練以外でも、予備自に関することやそれ以外も含めて情報交換できたり、学び合ったりと、互いに人として成長できる関係を築けることが、私にとって予備自の「楽しさ」ですね。

    まだまだある、予備活の魅力

    画像: 訓練に参加する女性の予備自たち。訓練期間中は同じ居室で生活するため、自然と交流が深まる 写真/川口正志

    訓練に参加する女性の予備自たち。訓練期間中は同じ居室で生活するため、自然と交流が深まる 写真/川口正志

    さまざまに“予備活”を楽しむ方々を紹介してきたが、もちろん楽しむことだけが予備自の魅力ではない。そこで、 “予備活”を自身の人生に生かしている方々のコメントを、まとめて紹介しよう。

    学んだ知識や技術が生かせる

    「野外衛生で学んだ処置がキャンプ中のケガ対応に役立った」(宮城県・50代男性)

    「止血法やAEDの使い方は、日常でも人の命を救えるかもしれないと思えた」(栃木県・60代男性)

    「心肺蘇生は実生活で生かせる力がついてきた」(大阪府・40代女性)

    「医療職でなくても誰かを救えるという意識が芽生えた」(東京都・40代女性)

    非日常の緊張感が引き締めてくれる

    「平凡な毎日では味わえない緊張感と空気感が、自分を引き締めてくれる」(北海道・50代男性)

    「戦闘服を着て整列すると、日常とは違う感覚を味わえる」(福島県・60代男性)

    「格闘訓練や警備訓練は、今の生活にない刺激になる」(長崎県・50代男性)

    自分の成長を実感できる

    「苦手だった射撃で命中させたとき、自分でも驚くほど成長を感じた」(岩手県・20代男性)

    「毎年の体力検定で記録が伸び、努力の成果が数値として表れるのがうれしい」(群馬県・40代男性)

    「年を重ねても体を動かすことで自分の変化に気付き、継続して運動することの大切さを実感している」(大阪府・50代女性)

    被災地で人の役に立てた喜び

    「避難所で『自衛隊さんが来てくれて安心した』と言われたとき、涙が出そうになった」(兵庫県・40代男性)

    「『来てくれてありがとう』の言葉が心に残り、つらさも吹き飛んだ」(大阪府・40代男性)

    「がれきの撤去などの支援活動で感謝され、『予備自でも役に立てるんだ』と胸を張れた」(神奈川県・60代男性)

    「コロナ禍に武漢からの帰国者支援をしたとき『感謝』と書かれた紙をもらい、涙が出そうになった」(東京都・40代女性)

    「災害現場で被災者の笑顔を見た瞬間、『自分でも役に立てるんだ』と実感した(兵庫県・40代男性)

    「災害派遣を通して、『この国を守る一員としての誇り』を感じられたのが大きかった」(大阪府・40代男性)

    (MAMOR2025年8月号)

    <文/臼井総理 写真提供/本人>

    楽しい予備活入門

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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