普段は社会人や学生として生活しながら、年間に定められた日数の訓練に臨み、有事や災害時には招集に応じて出頭し、自衛官として活動するという「予備自衛官」が存在する。
そこで、プロドラマーや大学教員、薬剤師などさまざまな職業に就きながら、予備自衛官として国を守る活動をしている5人の方々に「予備自」の魅力について聞いてみた!
予備自は日常生活と全く違う、刺激的なことが多々あります(プロドラマー/技能予備自衛官<語学>)
【中道美早氏】
32歳。ライブハウスのオーナーが自衛隊関係者だったことをきっかけに予備自を知り、英語力を生かし、2024年秋に予備自に。階級は予備3等陸曹

2021年よりプロドラマーとしてデビュー、レッスン講師も務める中道氏。自身が運営するYoutubeチャンネルでドラムの演奏動画を投稿するほか、テレビ番組などのメディア出演もしている
訓練では、年齢や職業も違う初対面の仲間たちと5日間寝食を共にし、常にチームワークを求められる環境が、毎回とても新鮮で楽しいですね。
日常生活では経験出来ない貴重な訓練がたくさんあるので、いつも最終日には「もう少しここで訓練受けたいな」と思うくらい、楽しめています!
本業は演奏活動とレッスン講師のフリーランスなので、普段はかなり自由なライフスタイルなのですが、訓練に参加するたびに、決められた時間に決められたことを、ルールに従って行う集団生活を送ることで、身も心もシャキッとして、気が引き締まります。
有事に人のために活動できる人間味あふれる人と出会える(大学教員/技能予備自衛官<語学>)
【掛谷英紀氏】
54歳。2011年に東日本大震災で予備自の存在を知り、有事で役に立ちたいと応募。階級は予備2等陸曹。筑波大学准教授で情報工学を専門とする
「大学では、兵役を終えた留学生と接する機会があります。私が予備自だと伝えると、互いに敬意が生まれ、よりよい人間関係が築けるのがいいですね」と話す掛谷氏
予備自のほとんどは元自衛官ですが、人間味にあふれる人が非常に多く、そういう人たちと知り合えたのは、予備自をやって本当によかったと思えることです。
「有事になれば自己犠牲を厭わない」という考えの持ち主にたくさん出会えたことは、私の人生にとって非常に大きな意味をもちました。
また、偶然にも大学の学生に、予備自が2人いました。私の研究室に配属された2人は、それぞれ、お互いが予備自と知って驚いていました。その2人と、後に一緒に訓練を受けたのはいい思い出ですね。
本業では競合他社の人とも同じ目的を持って共闘できる場(会社員/技能予備自衛官<サイバー>)
【桑田倫幸氏】
42歳。サイバーで国防に貢献したいと志願し、2019年に予備自に。階級は予備1陸尉。「少しでも興味のある方はチャレンジしてみてください」と話す
セールスエンジニアとして講演中の桑田氏。CISSPや情報処理安全確保支援士などの専門資格を生かし、日本のセキュリティ課題の解決に貢献中
参加した訓練では、受け入れ部隊であるサイバー防護隊の皆さんによるきめ細かな対応のおかげで、慣れない駐屯地での生活を快適に送ることができました。
自分の技能や経験を生かして「国防に貢献できている」という充実感を得られるのは、予備自ならではのことだと感じます。
訓練では、本職の競合企業の方々と一緒に訓練することもありますが、「国防に貢献する」という共通目的にもとづいて同じ立場で協力することができるのも、仕事では味わえない感覚で、新鮮で楽しいです。
射撃や銃の整備を友達と助け合いながら訓練に臨んでいます(薬剤師/技能予備自衛官<衛生・薬剤官>)
【伊藤裕子氏】
熊本地震で活動する自衛隊の活動に感銘を受け、2016年に予備自に。災害対応の知識や技能をさらに高めるため予備自の訓練に奮闘中。階級は予備2陸佐

大分県薬剤師会に所属する伊藤氏は、熊本地震発生後に災害支援薬剤師として現地で活動。普段は、薬剤師として、診療所で調剤や服薬指導などに従事
一番印象に残っているのは射撃訓練のときに感じる緊張感。これは、普段なら絶対に経験できないもの。毎回、緊張します。
私は射撃が苦手なのですが、仲間がコツを教えてくれたり、銃の整備を手伝ってくれたり、いつも誰かに助けられています。ありがたいですね。
同じ医療に携わる任務とはいえ、予備自は異業種の集まりなので、いろいろな方とお友達になれる魅力もあります。仲良くなった人たちと、旅行やキャンプに行ったりすることも。
ほかにも、自衛隊グッズが売られている駐屯地内の売店をチェックするのも、楽しみの1つです。
予備自の訓練は「絆」で結ばれた本物の「仲間」に出会える場所(建設業/技能予備自衛官<建設>)
【小野栄彦氏】
47歳。2017年に予備自に。階級は予備1等陸曹。特別な招集訓練で小隊をとりまとめる役目を経験。自衛官から「元自衛官」と間違われるほど活躍した
ショベルカーを操縦する小野氏。一級管工事施工管理技士の資格を持ち、給排水設備工事や一般建設工事などで施工管理や総務管理を担当しているほか、地元の消防団員としても地域に貢献している
教育訓練中は多くの課目をこなし、時間に追われる、目まぐるしい毎日を過ごす中で、参加者同士で、声を掛け合い、助け合います。
いつしか、自然と「絆」が生まれ、訓練最終日には、つらさから一転「楽しかった!」という感情がわき、胸が熱くなった事を覚えています。
その後も年1度、同期と集まる機会を持っていますが、毎年、同期の顔を見るたびにやっていて良かったと思います。
私生活においては、毎年参加する訓練で自然と体力、体型(笑)に目が向くようになり、周りから年齢よりも若く見られることがあります。
(MAMOR2025年8月号)
<文/臼井総理 写真提供/本人>
ー楽しい予備活入門ー
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです









