小笠原諸島の父島基地分遣隊の「ダンプレン」を紹介します。聞き慣れないユニークな名前の料理は小笠原諸島の郷土料理。チキンスープに小麦粉で作った団子が浮かぶ、洋風すいとんです。
日本全国にある自衛隊の基地・駐屯地の隊員食堂についてレポート! みなさんにもぜひ味わっていただこうと、レシピを取り寄せました。
南国の海が目の前に!小笠原諸島の「父島基地分遣隊」

上自衛隊父島基地分遣隊は小笠原諸島で2番目に大きい父島に所在しており、目の前には白い砂浜と魚やカメが泳ぐ南国の海が広がる開放的な立地にあります。多くの固有の生き物が生息しているため、「東洋のガラパゴス」と呼ばれ、2011年には小笠原諸島全体が世界自然遺産に登録されました。
1968年に開隊した当基地分遣隊は横須賀地方隊隷下で、主な任務は大きな医療施設や空港のない離島における急患輸送支援と災害派遣。365日昼夜を問わず、即応態勢を維持しています。
団子が入った腹持ちのよい汁物「ダンプレン」
小笠原諸島の伝統的な郷土料理には、魚介類をしょうゆや砂糖で漬け込み、酢飯で握る「島寿司」、魚介類を薄切りにして酢漬けにするハワイ料理にルーツを持つ「ピーマカ」、刺し身や煮物などの「ウミガメ料理」などがありますが、父島基地分遣隊の隊員食堂で提供されるメニューの中から、今回紹介するのは「ダンプレン」。
食堂では鶏肉や鶏ガラで丁寧にだしをとっていますが、家庭でも簡単に作れるように顆粒スープを使ったレシピにアレンジしてくれました。
味付けはシンプルに塩、コショウのみでもおいしいですが、しょうゆを加えたり、和風だしや中華味、コンソメ味にしても。
また、具の野菜は彩りにニンジンの角切り、季節によってシメジ、マイタケなどのキノコ類を入れるのもお勧めだそうです。
料理名の語源になっている団子は水分量で硬さを調節でき、団子の量を少しにすれば汁物に、いっぱい入れれば腹持ちのよい一品料理になります。
ダンプレンとは
小笠原諸島の郷土料理。鶏だしのスープにキャベツ、白菜、ジャガイモなどの野菜を入れ、小麦粉を水で練った団子を加えて煮込んだもの。
語源は英語の「dumpling(小麦粉や米粉を練って作った団子状のもの)」で、明確ではないが19世紀に小笠原諸島に入植したアメリカ人が伝えたとされる。
家庭料理であるが、宿や店で提供されることもあり、毎年元旦に行われる小笠原諸島の「海開き」のイベントでは、災害炊き出し用の大きな鍋で作ったダンプレンが振る舞われる。
隊員の感想は?

父島基地分遣隊の隊員約30人が毎日食事をする食堂。南国の真っ青な海を眺めながらごはんが食べられるので、隊員の士気高揚につながっているのだとか
「団子の弾力も程よく、野菜を多めに入れると、さらに食べ応えがあっていいです。中華味でも和風味でもいけそう」(3曹/男性・20代)
「鶏ガラスープはタマネギのうまみが溶け出ていて、父島の海のようなまろやかさがあり、絶品です。主食としてもいけます」(3曹/男性・30代)
「見た目にはさっぱりとしているけれど、スープにはコクがあって、ボリュ
ーム的にも満足。お酒にも合いそう~」(1曹/男性・50代)
台風で材料補給が途切れることも。臨機応変に対応
【海上自衛隊 父島基地分遣隊 給養員 家村2等海曹】
京都府出身で、2002年に入隊したベテラン給養員です。艦艇部隊を中心に最大500人の大量調理を経験しながら腕を磨いてきました。当基地は2度目の陸上勤務で、赴任3年目になります。
隊員食堂からは美しい海が見えますが、離島では台風などで材料補給が途切れることも。やるっきゃない精神で臨機応変に対応しています。
島には娯楽施設やレストランが少ないので、楽しくおいしい食事は隊員にとって貴重で大事な時間です。嗜好調査を行い、なるべく希望に沿う料理を作って、たくさんの喜ぶ顔が見たいです。
「ダンプレン」のレシピを紹介

※隊員食堂で作られているレシピをもとに編集部で家庭向けにアレンジしました
<材料(2人分)>
キャベツ(3㎝大に切る):1/2枚
白菜(3㎝大に切る):1/2枚
タマネギ(2㎝大に切る):1/6枚
ジャガイモ(2㎝の角切り):小1個
<A>
水:3カップ
鶏ガラ顆粒だしの素:小さじ2
塩、コショウ:各適量
<B>
小麦粉:1/2カップ(55g)
水:50ml
<作り方>
1:Aの水とだしの素を鍋に入れて火にかけ、塩、コショウで味付けをしてスープを作り、野菜類を加える。
2:ボウルにBの小麦粉を入れ、水を加えて練るようにしてよく混ぜる。硬いようなら、水を大さじ1(分量外)ずつ加えて硬さを調節する。
3:1の野菜類に火が通ったら、煮立ったところに2を食べやすい大きさに手でちぎり、丸めるようにして落とす。まん丸ではなく1つずつ多少形が違ってもよい。
4:団子が浮いてきたら、味見をして塩、コショウで味を調え、器に盛る。
(MAMOR2025年8月号)
<調理/樋口秀子 文/富田純子 料理撮影/林 紘輝(扶桑社) 写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

