•  「レールガン」や「レーザー光線」といった新しい装備品を各国が開発しているとニュースで耳にします。これらの装備品は、どんなものなのでしょうか?

     マモルの広報アドバイザー・志田音々さんがインタビュアーとなり、防衛装備庁技術戦略部の藤井圭介さんに「近未来の装備品」について教えていただきました。

    【志田音々さん】
    1998年、埼玉県出身。2023年から防衛省広報アドバイザー(注1)を務めるほか、ドラマや舞台、雑誌に出演するなど多方面で活躍中

    【藤井圭介さん】
    防衛装備庁 技術戦略部 技術戦略A課長として、次世代の防衛に不可欠な防衛技術に関する研究開発の方向性を策定する役割を担う

    (注1)防衛省・自衛隊の各種広報活動に協力することを目的として2023年に設けられた制度のこと

    近未来の装備品について教えて!

    画像: 防衛装備庁が製作した研究用レールガン。艦艇に搭載しての洋上射撃試験を行うなど、実用化に向けて着々と技術検証が進められている 写真提供/防衛装備庁

    防衛装備庁が製作した研究用レールガン。艦艇に搭載しての洋上射撃試験を行うなど、実用化に向けて着々と技術検証が進められている 写真提供/防衛装備庁

    志田音々(以下、「志田」):ネットのニュースで、レールガンや、レーザー光線の試射を行ったと報じていましたけど、これって何ですか?

    藤井圭介(以下「藤井」):防衛装備庁が研究している“未来装備”ですね。まず、レールガンですが、従来の銃や大砲は、火薬を燃焼させたときの高圧ガスによって弾を飛ばしますが、高電圧の電流を流して電磁気を発生させ、その力で弾を飛ばす装置を、レールガンと呼んでいます。

    志田:どう違うのですか?

    藤井:拳銃だと弾のスピードは秒速約400メートルですが、レールガンは、われわれの実験でも、秒速約2000メートル以上を達成しています。

    志田:弾丸が速く飛ぶと、どのようなメリットがあるのですか?

    藤井:速度が速くなると射程が延びます。理論上、拳銃の25倍以上もの射程を見込めますね。また、破壊力も上がります。

     これ以外にも、銃の弾には火薬が含まれるので保管に注意が必要ですが、レールガンにはその必要がないのがメリットです。

    志田:レーザーはどうでしょう?

    藤井:高出力のレーザー光線を照射して、ドローンやミサイル、迫撃砲などの砲弾を迎撃するシステムです。照射実験も行っています。昨年、実験で撃墜したドローンを持ってきましたので見てください。

    画像: 装備庁の実験で使用された高出力レーザーの照射を受けた、実験用ドローン。外装部分は焼け焦げて蒸発し、内部の基盤まで破損している

    装備庁の実験で使用された高出力レーザーの照射を受けた、実験用ドローン。外装部分は焼け焦げて蒸発し、内部の基盤まで破損している

    志田:すごい! こんなになっちゃうんだ。SF映画みたい。

    藤井:光の速度は時速約10億キロメートルなので、照射から命中まであっという間です。相手に回避されにくいので、命中率の向上が期待できます。また、弾切れの心配がないうえに、ローコストで運用できるという試算もあります。

    なぜ未来の装備品を開発していくの?

    志田:まるで『スター・ウォーズ』や『機動戦士ガンダム』の世界が現実になりつつあるという感じです。そもそも、なぜこうした未来の装備品を開発していくのでしょうか?

    藤井:分かりやすい例を出しましょう。1990年にアメリカが開発した、世界初のステルス戦闘機(注2)F−22は当時、「1機でほかの戦闘機100機と闘っても勝つ」と評価されました。

    それは、最新技術が使用された装備品には、圧倒的な優位性があるということなのです。
    志田:日ごろから新たな技術を取り入れていかないと、対応できないわけですね。

    藤井:レールガンに関していえば、中国は艦艇に搭載して実験しているようですし、ドイツとフランスは共同で研究しています。ロシアもひょっとしたら手掛けているかもしれません。

     これらの未来装備において重要視されているのは4つの考え方です。

     まず遠方の脅威を迅速に排除するために必要な「高速化・遠距離化」。次に一挙集中ではなく、分散して各々が自律的に行動する「分散化・レジリエンス」。さらに人員や装備の損耗をできるだけ少なくするための「無人化」。最後は、あらゆる分野の技術や情報を同時に駆使する「クロスドメイン」です。

     こうしたキーワードの下に、防衛省だけでなく、各国が研究・開発しているのです。

     このとき重要なのが、民間との協力、民生技術の活用です。

     たとえば、研究中の高出力電磁波を照射してドローンなどの電子機器を無力化させる「高出力マイクロ波照射装置」は、電子レンジの技術を応用したものです。今ある技術で日本のために何ができるのか、考えています。

    志田:数年後にはライトセーバーもできているかも? そしたら私、フォースと共にいなきゃ、ですね。ありがとうございました。

    (注2)レーダーや赤外線などで探知されにくいように設計された戦闘機

    (MAMOR2025年8月号)

    <文/古里学 写真/増元幸司>

    志田音々のねぇねぇ防衛のこと、もっと教えて!

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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