海上自衛隊の主力装備は護衛艦などの艦艇だ。
艦艇を動かすには多くの乗員が必要である。そこで、海上自衛隊には、その乗員たちの訓練をサポートするインストラクター役の部隊が存在する。
全国にある艦艇乗員の訓練を指導する部隊を統括するのが、海上自衛隊横須賀基地(神奈川県)に本拠を置く「海上訓練指導隊群」だ。固有の艦艇を持たない部隊だが、艦艇が任務を遂行するため、重要な役割を果たしている。
艦艇乗りたちを鍛え上げるインストラクターの部隊

緑の腕章を着けているのが海上訓練指導隊の指導官。艦艇の訓練に帯同し、艦艇乗務に携わる隊員にアドバイスする
横須賀基地に本拠を置く海上訓練指導隊群は、護衛艦隊隷下で唯一の「陸上部隊」だ。
群司令の三浦1等海佐は任務についてこう語る。「さまざまな機器で構成される艦艇を動かすのは人です。乗員の能力に艦艇の能力は左右されます。私たちは護衛艦をはじめ、各艦艇の乗員が能力を発揮し、任務を遂行できるよう訓練指導します」
海上訓練指導隊群は主に護衛艦の乗員に対し訓練指導をする。部隊にはもう1つ、水上艦の戦術開発や誘導武器、戦闘指揮システムに関する教育を行う水上戦術開発指導隊がある。
海自は2025年度末に護衛艦を運用する「護衛艦隊」と機雷の除去などを行う「掃海隊群」を廃止し、水上艦艇部隊を集約する「水上艦隊(仮)」を新編予定だ。「組織が変わっても、精強、即応をキーワードに訓練指導に携わります」と語る三浦1佐
「近年、海自も国際協力活動や災害対応などの任務が増え、艦艇乗員が練成にかけられる時間が減っています。私たちの指導がなくとも、艦艇の乗員だけで精度の高い訓練ができる体制構築も重要任務です」と三浦1佐は付け加える。
全国に5つの拠点がある海上訓練指導隊群
海上訓練指導隊群の隷下には司令部と、大湊、横須賀、舞鶴、呉、佐世保に各海上訓練指導隊があり艦艇などの訓練指導に当たっている。これらに水上戦術開発指導隊を加えた7つの部隊編成されている。
(MAMOR2025年7月号)
<文/臼井総理 写真/村上淳(三浦1佐) 写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです



