防衛大臣や陸・海・空・統合各幕僚長が記者会見を行う際、その背景幕(バックスクリーン)には各組織のロゴマークが投影されている。
そのデザインが制作されたのは、現東京都知事の小池百合子氏が防衛大臣だった時代だ。軍事組織である自衛隊に、どうしてロゴマークが必要なのか。
当時、ロゴマークの制作に関わった企業に話を聞いた。
防衛省・自衛隊の存在感と信頼感を高めるロゴマーク
グラムコの山田氏は「各部隊の役割などを図案化しているロゴマークは、ぞれぞれにオリジナリティーがあって面白いですね」と語る
「ロゴマークはその企業が運営する事業の方向性や将来の経営戦略などを可視化した象徴」だと、日本で最初に生まれたブランドコンサルティング・デザイン会社であるグラムコ株式会社の代表取締役会長・山田敦郎氏は語る。
「ロゴマークは、企業などの組織の存在意義や理念を伝えるアイコンであり、その組織に所属する人たちの心を1つにするシンボルです。また、組織の全体的な印象をかたちづくるブランドとしての世界観を表す基盤となります。さらに、他社との差異化・識別の印でもあるのです」
2007年に、同社では当時の小池防衛大臣からの依頼を受け、防衛省と陸・海・空の各自衛隊、そして統合幕僚監部のロゴマークのリファイン(磨き上げ)を行うことになった。
その際、同社が考えたコンセプトは、「日本の独立と平和を守る国家を代表する組織として、力強いアイデンティティを示すもの」だという。
各組織とも、それまで、各自が考えたデザインのロゴマークを持っていたが、「それぞれが独自でデザインしたため、ばらばらだったイメージに一貫性を持たせ、調和のとれたデザインにするのは大変な作業でした」と山田氏は語る。

防衛省・自衛隊のロゴマークは記者会見時に背景として使用される
そもそもなぜ、自衛隊にロゴマークが必要なのだろう。
「企業と同様に、国防を担う組織としての防衛省や自衛隊にも、そのアイデンティティーを示すシンボルが必要です。それを基盤として、多くの人々を魅了し、存在感と信頼感を高めるための組織のブランディングも求められます。それにより、国民はもとより、同盟国などの関係者の共感をより一層、高められるからです。
例えば、アメリカ陸軍も近年、大手のブランドコンサルティング会社による組織のブランディングを行っています。そうして、組織のイメージをしっかり確立し、信頼感の向上に努めているのです」
ロゴマークのビフォーアフターを見比べてみよう
BEFORE
防衛省と陸・海・空の各自衛隊、統合幕僚監部がそれぞれ独自で制作したロゴマーク。記者会見など対外的に発信するため、統一感のあるデザインに調整する必要があった

公募で選ばれた防衛省のロゴマーク
公募で選ばれた、陸上自衛隊のロゴマーク
海上自衛隊のロゴマーク。黒の背景に白の線・文字が入ったデザイン
航空自衛隊のロゴマーク。エンブレムを細い線で描いていた
防衛省が作成した、統合幕僚監部のロゴマーク
AFTER
既存のデザインを調整した後のロゴマーク。デザインの原型はそのままに、視認性を高めるため、アウトライン(輪郭)の線を太くするなどの調整を行っている。各組織名の表示フォント(文字)や表示デザインを揃えることで、全体の統一感や一体感を持たせた
ロゴとマークの位置関係を明確に決め、一体感が出るように調整した
ほかのロゴマークとは表現手法が異なるため、組織名の表示をそろえた
背景が白地や薄い色でも見やすいように、マークのラインを鮮明にした
外枠を太く強調して、繊細なエンブレムの視認性を向上させた
視認性を確保するため、マーク内の点の位置など細部まで一から作図した
(MAMOR2025年7月号)
<文/魚本拓 写真(山田氏)/山川修一(扶桑社)>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです











