陸・海・空各自衛隊の各部隊には、平和の旗印というべきロゴマークがある。戦闘機の尾翼、護衛艦の艦隊、制服、作業服などに着けて、部隊の一体感を得て、士気を高めたり、部隊の広報などに役立てているのだ。
そのようなロゴマークの中には、部隊内の隊員がデザインしたものも少なくない。
そこで、ロゴマークを制作した経験のある隊員にインタビューし、デザインに込めた思いを聞いてみた。
第22即応機動連隊(陸上自衛隊)
第22即応機動連隊の「22」と多賀城の屋根瓦、戦闘車両の射撃による閃光でデザインされた同部隊のロゴマーク
多賀城の瓦と戦闘車両の特徴をデザインに反映
通信陸曹として部隊間での通信を担う工藤3曹。「部隊のロゴマークは、その部隊の精強さやイメージを広報するための重要なアイテムです」と語る
普通科中隊と火力支援中隊、機動戦闘車隊で編成された第22即応機動連隊。
ロゴマークのデザインを担当した同部隊の工藤3等陸曹は、デザイン専門学校に通っていた経験を買われて任命された。
「急に依頼されたので、手元に着色する画材もなく、コンビニで買った8色ペンで制作しました(笑)」
出来栄えに関しては、「今後、長きにわたって使用される部隊マークの制作に携われたことは、非常に名誉なことだと思いますが、改善の余地があるので、可能であれば手を加えてさらに質を向上させたいです」と“職人魂”を見せた。
第12偵察戦闘大隊(陸上自衛隊)
第12旅団と同じシンボルを背景に、グリフォンの翼には、同部隊と第12旅団の数字「12」が描かれている
伝説の生物、グリフォンをモチーフに部隊を表現
「制作当初、グリフォンのデザインは平面的にするか、奥行きがある表現にするかを悩みました」と話す川鍋3曹
偵察警戒車や機動戦闘車、偵察用器材などを使用し、陸上自衛隊の第12旅団の活動に必要な情報収集を任務とする第12偵察戦闘大隊。
そのロゴマークのモチーフは「グリフォン」だ。「ワシの上半身とライオンの下半身をもつ伝説上の生物で、空中を翔ける翼、力強く走る足、鋭い爪は、まさに本隊のイメージにピッタリです」と、上司にイラスト制作のセンスを評価され、ロゴマークの制作を担当した同部隊の川鍋3等陸曹は話す。
「積み上げられていく第12偵察戦闘大隊の伝説のそばに、このロゴマークが寄り添えるなら幸せです」
第8地対艦ミサイル連隊(陸上自衛隊)
漢数字の「八」と「∞」(無限)、脱皮を繰り返す「龍」で、「部隊の成長と強い生命力」を表現したという
使命を未来につなげ地域と歩む部隊の象徴
「2025年に新編された本隊が、金鱗湖の竜の伝説のように伝統を創造し、発展していければと思います」と話す川添准尉
第8地対艦ミサイル連隊の創隊から携わり、ロゴマーク制作を志願した連隊最先任上級曹長・川添准陸尉は、地域の名勝のデザイン化に創意工夫したという。
「地域のシンボルであり、神の山とあがめられる由布岳を、末広がりの繁栄を意味する『八』で表しました。また、地元の金鱗湖に伝わる伝説の竜を、無限を意味する『∞』をイメージして図案化しています」
洋上の敵艦船を地対艦誘導弾で阻止・排除する任務を遂行する同部隊。
「その使命を未来永劫つなぐ思い、そして地域と共に歩む部隊の象徴となってほしいです」
第2宇宙システム管理隊(航空自衛隊)
中央の「弐」は第2宇宙システム管理隊の「2」を、「十字」は宇宙作戦群のロゴマークを踏襲し、「ねずみ」や「牛車」などもモチーフにしている
国際交流を意識して「和」のデザインに
「本隊は、日本が宇宙空間を安定的に活用するための諸活動を行う、主に防府北基地の宇宙関連システムの維持管理を担っています」と話す長澤1曹
過去に部隊のロゴマーク案を制作した経験を買われ、上司から「和」をモチーフに制作を依頼されたという長澤1等空曹。
趣味で茶道を習っていたため、日本の伝統文化や工芸品に触れていたことが役立ったという。
「日本の紋様や意匠の本も参考にしてデザインしました。宇宙作戦群の各部隊のロゴマークと同様の六角形を基本に、その内部を伝統的な紋様『亀甲』を重ねた『亀甲尽くし』にし、しっかりと組み合う形で『チームワーク』を表現しました」
黒地に金の配色は、日本の漆器と蒔絵をイメージ。外国人にアピールすることを意識したという。
(MAMOR2025年7月号)
<文/魚本拓>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです









