•  日本の平和を守る、陸・海・空各自衛隊の各部隊には、平和の旗印というべきロゴマークがある。隊員たちは、それを戦車の車体、戦闘機の尾翼、護衛艦の艦体、制服、作業服などに着けて、部隊の一体感を得て、士気の高揚や部隊の広報などに役立てているのだ。

     バラエティーに富んだ部隊のロゴマークのデザインは、どのように決定されているのだろうか。

     新たに就役した海上自衛隊の艦艇のロゴマークや制作に携わった隊員の話を例に、その実態を見てみよう。

    ロゴマークを決定する方法は2パターンある

    護衛艦『によど』のロゴマーク。艦名の由来、仁淀川を視覚的に表現。美しい国と守り抜く強い決意を青色で表した

     自衛隊の部隊のロゴマークのデザインを決定する方法には、大きく分けて2つのパターンがある。部隊内の隊員がデザインするパターンと、一般公募によるパターンだ。

     前者では、例えば、海上自衛隊の新しい艦艇のロゴマークを制作する場合、そのデザインの決定権は、艦艇内の装備品などを運用しやすいようにカスタマイズするぎ装員長(その艦艇の初代艦長)にある。

     ぎ装員長をはじめ、部隊内に絵心のある隊員がいればその人が作成することもあるし、また、隊員の知人のデザイナーにボランティアとしてデザインしてもらう、などということも。

     一般公募でデザインを決めることもある。新艦艇のロゴマークの例でいえば、まず、海上幕僚監部の広報室とぎ装員長とで一般公募に関する段取りなどの調整を行い、その後、海上自衛隊の公式ホームページで1、2カ月間、募集を実施。

     それから、ぎ装員たちが送られてきたデザインの選考作業を行い、既存のデザインからの盗用の有無などを確認する商標調査を実施した後、最終決定される。

     2024年9、10月に一般公募を行い、ロゴマークを決定した護衛艦『によど』のぎ装員長に話を伺った。

    「約180点もの多種多様な公募作品から選びました。なかには小学5年生が描いてくれた作品もあり、驚きとうれしさを感じました」

     こうして決定されたロゴマークは、部隊の公式ホームページやSNSなどでの使用が開始され、以後、その部隊のパンフレットや広報グッズなどに活用されていく。自衛隊の各部隊の存在とその役割を広く一般に情報発信するためのツールとなっていくのだ。

    さまざまな護衛艦のロゴマークを紹介!

    護衛艦『あがの』

    果敢に獲物を取る習性のあるチョウゲンボウを意匠に織り込んでいる

    護衛艦『もがみ』

    中心に最上川の流れる山形県長井市の黒獅子祭りの黒獅子が配置されている

    護衛艦『くまの』

    スタイリッシュなタイポグラフィと力強く飛び立つ八咫烏

    護衛艦『まや』

    艦名の由来となる摩耶山を中央に配置し、盾としての護衛艦を表している

    護衛艦『はぐろ』

    艦名の由来となる八咫烏とイージス艦の防衛体制をイメージしたデザイン

    潜水艦『らいげい』

    雷を金色の背景と荒波で表現。波に負けない力強いクジラをあしらった

    潜水艦『とうりゅう』

    大海原で荒々しく戦う竜が日本を守るデザイン。つぶらな瞳がチャームポイント

    (MAMOR2025年7月号)

    <文/魚本拓>

    自衛隊ロゴマークに着目!

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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