自衛隊には、部隊の精強さを表現し、隊員の士気を高めるためのロゴマーク(シンボルマークもロゴマークに含める)がある。
どれが一番カッコいいか? 編集部が数えただけでも、軽く200個を超える中から、マモルが選出した審査委員・笠井則幸さんが選んだロゴマークを、「自衛隊ロゴマーク大賞」の「笠井賞」として紹介する。
【笠井則幸】
1972年、千葉県出身。日本大学芸術学部卒業。グラフィックデザイナー、アートディレクター、日本大学芸術学部デザイン学科教授。日本デザインセンターや和光大学専任講師などを経た後、現職。Graphis Poster Annual最高賞や文化庁メディア芸術祭推薦作品推挙などの受賞歴がある
<笠井賞・総合部門大賞> 奄美警備隊(陸上自衛隊)
受賞した奄美警備隊は、どんな部隊?
奄美駐屯地と瀬戸内分屯地(共に鹿児島県)に所在する離島警備部隊。奄美群島の警戒監視を実施し、島しょ防衛を行う
論評:エンブレムのような美しさが際立つデザイン
とくにヨーロッパ的なエンブレムの雰囲気がありますね。シンメトリーの構図の中央を剣とヘビのモチーフが貫いていて、伸びやかなイメージを見る人に与えます。そしてなにより、デザインとして整っていて、美しさが際立っています。
部隊コメント
渉外・広報室の田中准尉です。このたびは大賞をいただき、大変光栄に思います。ときには盾、ときには矛となるわれわれを表したロゴマークです。今後も精進します。
<笠井賞・インパクト部門大賞> 第101不発弾処理隊(陸上自衛隊)
受賞した第101不発弾処理隊は、どんな部隊?
那覇駐屯地(沖縄県)に所在する部隊。県内で発見された、主に太平洋戦争末期の沖縄戦で使用された不発弾の処理・安全化を実施する。常に隊員が出動できるよう待機し、年間約600件の不発弾を処理している
論評:シーサーと色使いに強烈なインパクトがある
沖縄の伝説の守り神シーサーのキャラクターにインパクトがあり、パッと目に飛び込んでくる。それが不発弾をくわえているということで、沖縄の部隊だということと、不発弾処理を行う部隊だということの説明もなされています。
また、正反対の色となる緑と赤という「補色」が使われ互いの色を引き立て合っているのも面白い。
<笠井賞・生命力部門大賞> 第9偵察戦闘大隊(陸上自衛隊)
受賞した第9偵察戦闘大隊は、どんな部隊?
岩手駐屯地(岩手県)に所在し、装甲車や戦闘車両、オートバイなどを使用して、情報収集や戦闘を任務とする部隊。2024年3月に、戦車部隊と偵察部隊が統廃合され、新編された
論評:黒の中に宿る、生命の力強さと躍動感が目を引く
黒一色という一見シンプルな表現でありながら、オオカミやウマの持つ生命の力強さや、しなやかで美しい躍動感が鮮明に伝わってきました。見る人の想像力を刺激するような奥行きもあります。
色を使わずとも、ここまで感情を動かす表現ができることに驚き、心をつかまれました。静けさの中に潜むエネルギーを感じられます。
(MAMOR2025年7月号)
<文/魚本拓 写真(笠井氏)/増元幸司>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです






