•  マモルのキャッチフレーズは「日本の防衛のこと、もっと知りたい!」です。防衛省・自衛隊の政策や活動を広く国民にお知らせすることがマモルの使命なのです。

     そこで、読者の皆さんから募った防衛に関するさまざまな疑問、質問について、われらが広報アドバイザー・志田音々さんがインタビュアーとなって、各界の識者に教えていただこうと思います。

    【志田音々さん】
    1998年、埼玉県出身。タレント、女優。2023年から防衛省広報アドバイザー(注1)を務める。3rd.写真集『音色-vivace-』、『音色-cantabile-』(講談社)が、2種類同時発売中

    【本村1等空佐】
    統合幕僚監部 防衛計画部 計画課 統合作戦司令部準備室 運用グループ長として、統合作戦司令部創設のために、人材確保や法整備などに携わる

    (注1)防衛省・自衛隊の各種広報活動に協力することを目的として2023年に設けられた制度のこと

    統合作戦司令部ってなに?

    統合作戦司令部のロゴマーク。統合運用により陸・海・空自衛隊の一元的な指揮を行う司令部のシンボルとして作成された 画像提供/防衛省

    志田音々(以下、「志田」):2025年3月に「統合作戦司令部」が創設されたとニュースで知りました。以前、統合幕僚長と対談させていただいたことがあるのですが、統合幕僚監部と統合作戦司令部ではどう違うのでしょうか? 本村1佐は、統合作戦司令部の創設に携わっていたと聞きましたが、詳しく教えていただけますか?

    本村1等空佐(以下「本村」):よろしくお願いします。これまでは、大きな自然災害などが起きたとき、臨時に陸・海・空3自衛隊から成る「統合任務部隊」という部隊を編成し、指揮官も臨時で任命して対応していました。

     今回、統合作戦司令部ができたことで、防衛大臣の命令を統合作戦司令部が受けて、3自衛隊に命令を下すことができるようになります。平時から継続的に3自衛隊の各部隊や共同部隊を指揮することができるようになり、有事の際に迅速に動けるようになりました。

    志田:何かあってから編成される統合任務部隊だと、初動が遅くなってしまいますね。

    本村:そうなんです。いまや自衛隊の活動は宇宙やサイバー、電磁波の分野にも広がっていますから、あらゆる事態や情勢の変化に柔軟に対応するためには、統合作戦司令部による継続的な対応が必要です。

    志田:統合作戦司令部ができることによって、統幕長の役割に変化はあるのですか?

    本村:これまで、大規模な自然災害などが発生すると、統幕長は陸・海・空各幕僚長と調整を図りながら大臣をフォローして、さらに現場の部隊の動きも見なければならず、職務に忙殺されることが多々ありました。新たに統合作戦司令部ができたことで、統幕長は大臣の補佐など統合幕僚監部の仕事に専念できることになります。

    画像: 2025年3月24日に行われた編成完結式では、初代の統合作戦司令官に着任した南雲空将(右)に、中谷防衛大臣から司令官旗が手渡された 写真提供/防衛省

    2025年3月24日に行われた編成完結式では、初代の統合作戦司令官に着任した南雲空将(右)に、中谷防衛大臣から司令官旗が手渡された 写真提供/防衛省

    志田:なるほど。ほかに統合作戦司令部ができるメリットはあるのですか?

    本村:統合作戦司令官は普段から、陸・海・空そして宇宙・サイバー・電磁波と、日本の周辺環境全体を見ているので、どのように部隊を動かせば効果的で効率的な運用ができるか判断できます。

    志田:有事や自然災害はいつ起きるか分からないから、日ごろの準備や訓練が大切になりますね。トップがいつも状況を把握していれば、無理や無駄なく部隊を動かせますね。

    本村:私はもともと戦闘機のパイロットだったのですが、今や戦闘機単独では効率的に戦えません。海上自衛隊の護衛艦や陸上自衛隊の地対空ミサイルの援護、サイバー攻撃からの防護など、その組み合わせは状況によって無限大にあります。陸・海・空にとらわれない態勢を構築することで初めて優位に効果的に対応できるわけです。

     宇宙やサイバー部隊との連携が重要になるスタンド・オフ・ミサイル(注2)の運用など、普段からそれらを訓練できるのが統合作戦司令部を常設する大きなメリットです。さらには、アメリカ軍との間で迅速な情報共有ができるようにもなりますね。

    志田:発足したばかりの統合作戦司令部ですが、何人の隊員が所属しているのですか?

    本村:まずは3自衛隊から集められた、さまざまな分野のプロフェッショナル240人が司令官を支えていきます。ただこれはミニマムな人数なので、今後任務によって人員を増やしていかなければなりません。

    志田:若い入隊者が増えるように、私も、女優とタレントとアドバイザーの統合作戦任務で、広報活動を頑張ります!

    (注2)敵ミサイルの射程外から攻撃できる、従来よりも射程の長いミサイル

    <文/古里学 写真/山田耕司(扶桑社)>

    (MAMOR2025年6月号)

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

    This article is a sponsored article by
    ''.