戦闘機から靴下まで、自衛隊には10万点以上の装備品があります。それらのメーカーは、過酷な環境でも高性能を発揮する品質が求められており、その特殊性から、一般に購入することはほぼできない。
が、しかし、“自衛隊基準”に合格した高スペックのグッズが欲しい!
そんな声に応えて、マモルでは、メーカーが自衛隊用と“ほぼ同じ”仕様で製造し、市販している商品を探してみた。
衛生科の隊員が救護用品・医薬品などを入れる「メディバッグ」(自衛隊装備品名称:救護用医療のう2型)
MI-MD 01 メディバッグ 5万5000円

自衛隊装備品は迷彩柄、市販品はオリーブドラブ色。色以外は同じ仕様。未来テクノのオンラインショップで購入可能
サイズ:幅500×高さ400×奥行250mm
重量:約2kg
容量:30L
生地:コーデュラナイロン
カラー:カーキ
製造・販売:未来テクノ株式会社
2015年東京都で設立。防衛省の天幕・個人装備品や海洋土木品のオイルフェンスなどを岩手県にある工場で手掛け、安全で信頼性の高い製品を提供

医療品などをバッグに入れ、医療従事者の証明である赤十字マークをバッグに付け、前線へ向かう衛生科の隊員
自衛隊で救護や救助に関わる衛生科の隊員が使用するバッグ。横幅のある本体のほかに背面や両脇にファスナーで着脱可能なサイドバッグ付き。
さらに本体内部には医療用の器具や医薬品などを入れるために、中身が見える透明窓付きでファスナーのひもが色分けされている収納ケースが5個付属。リュックとして背負うだけでなく、ベルトを取り付け肩掛けや手提げバッグとしても携行可能だ。
携行性に優れ状況確認などで使用する「単眼鏡」(自衛隊納品名称:単眼鏡)
TAC M728 OD 2万3100円

自衛官が使っているものと同じ単眼鏡がサイトロンジャパンのオンラインストアやネット通販サイトなどで購入可能
サイズ:直径39×長さ120mm
重量:約145g
対物レンズ径:28mm
倍率:7倍
製造・販売:株式会社サイトロンジャパン
1961年東京都で設立。開発、設計、生産、販売までを自社内で一貫して行っている世界でも数少ない光学機器メーカー

次の作戦へ展開するため、敵陣などの状況を単眼鏡で確認。迅速な行動を支える
双眼鏡よりコンパクトな単眼鏡は、携帯しやすい。小型だが高い光学性能、耐衝撃性を持ち完全防水。本体内部に窒素ガスを充てんすることにより、湿気の多い場所でもレンズの曇りを防ぎ、目当てもゴム製の心地よい使用感で、眼鏡をかけて使用する際にも視野の隅々まで広く見渡すことができる。対象物の大きさや距離を測ることができる「ミルスケール」を内蔵している。
偵察などで使用する「双眼鏡」(自衛隊装備品名称:8倍双眼鏡)
SAFARI 327MR 8万5800円

自衛官が使っているものと同じ双眼鏡がサイトロンジャパンのオンラインストアやネット通販サイトなどで購入可
サイズ:長さ130×高さ65×奥行165mm
重量:約740g
対物レンズ径:30mm
倍率:8倍
製造・販売:株式会社サイトロンジャパン(既出)

鉄帽に草を付けてぎ装し、周囲を警戒しながら双眼鏡で相手陣地の状況を確認する隊員
アメリカやEU諸国などの軍隊が採用し、40年以上の販売実績を誇る双眼鏡。水深5メートルの水圧に耐え、高度5000メートルの低気圧下でも使用できる堅牢さと明るく視認性が良いのが特徴。
740グラムとやや重量があるが、いかにもミリタリー仕様な武骨な外観と過酷な環境下でも使用に耐えうる頑丈さが、隊員の心をつかんでいる。対象物の大きさを計算できる「ミルスケール」を内蔵。もちろん完全防水だ。
高出力で安全性の高い「石油ストーブ」
(自衛隊装備品名称:ストーブ(宿営用))
KS-SDF56宿営暖房I型 5万2580円
自衛官が使っているものと同じ双眼鏡がサイトロンジャパンのオンラインストアやネット通販サイトなどで購入可
サイズ:幅511×高さ666×奥行511mm
重量(ストーブガード含む):約21kg
油タンク容量:7L
暖房出力:5.62kW
カラー:カーキ
製造・販売:株式会社トヨトミ
1949年、愛知県で設立。「日本のために」という創業者の思いを胸に暖房・空調機器類などを通して快適空間を追求している

高出力のため短時間で広い天幕内を暖めることができる
単なる石油ストーブと侮ることなかれ。隊員が野営などの際、天幕の中で使う「ストーブ(宿営用)」は、1台で約20畳分の室内を暖めることが可能な高出力のストーブ。本体とストーブガードが一体で、タフな設計になっている。点火はヒーター式。暖房機能はいうまでもなく、安全性や耐久性に優れ、シンプルなデザインが特徴だ。
自衛隊の検査に合格した「缶詰」(自衛隊装備品名称:非常用糧食)
ポテトツナサラダ 303円

自衛隊の戦闘糧食とは缶のデザインが異なるが味は同じ。ネット通販サイトなどで購入可能
サイズ:直径77×高さ33mm
内容量:100g
重量:121g
賞味期限:製造から3年6カ月
製造・販売:ホリカフーズ株式会社 1936年、新潟県で前身の堀之内食料品加工組合が設立。65年から自衛隊に食料を納品する戦闘糧食メーカーの最古参

ポテト、ツナ、ニンジンの形が残り災害時などに不足しがちな野菜摂取が可能
自衛隊で訓練中や航海中に食べられている、缶詰に入ったポテトツナサラダ。マイナス30℃の冷凍庫内で3メートルの落下テストなど、厳しい自衛隊の検査に合格した商品。サイコロ角のポテト、ニンジンにツナが入っている。
海上自衛隊艦艇の訓練中の食事。通常は食堂で食事をとるが、訓練時は各自の持ち場で缶詰などの食事をとることもある
自衛隊で配給されている レーション(戦闘糧食)
(自衛隊装備品名称:非常用糧食)
とろうま牛角煮カレー〈中辛〉
サイズ(外箱):幅130×高さ170mm
内容量:200g
賞味期限:製造から1年1カ月
製造・販売:ハウス食品株式会社
1913年、大阪府で設立。カレーやシチューのルウなど、家庭の食卓を明るくする定番商品で有名な有数の食品企業
隊員が作戦中などに配給される食料を「戦闘糧食」という。この戦闘糧食は2022年4月にリニューアルされ、21種のメニューが採用された。
中には同じ味のものがパッケージを変えて市販されているものがある。その1つがハウス食品の「とろうま牛角煮カレー」。大きな牛肉の角煮は柔らかく、深いコクがあるカレーだ。

戦闘糧食は和・洋・中のメニューがある。隊員は演習や訓練、災害派遣などで食べている

大きめの牛角煮は食べ応えがある。辛さは中辛のみで、カレー好きも満足する刺激
陸上自衛隊 戦闘糧食モデル
自衛隊の戦闘糧食とはパッケージと容量が異なる(隊員用は約150グラム)が味は同じ。ネット通販サイトなどで購入可能
サイズ(パッケージ):各幅150×高さ200mm
内容量:各約110〜115g
賞味期限:製造から5年6カ月
製造・販売:日本ハム株式会社
1942年、徳島県で設立。ハム、ソーセージなどの加工食肉品をはじめ、乳製品、健康食品など「食べる喜び」を提供する日本有数の食品企業

もう1つ、日本ハムから販売中の「陸上自衛隊戦闘糧食モデル」は現在、自衛隊で採用されている「ポークソーセージステーキ」、「鶏と根菜のうま煮」と、旧メニューの「煮込みハンバーグ」、「やきとり」の4種を市販化。
「ポークソーセージステーキ」は加工肉特有のしょっぱさがなく肉厚で上品な味付け。「鶏と根菜のうま煮」は具材が大きく食べ応えがある。「煮込みハンバーグ」は甘いオニオン系ソースが特徴のやさしい味わいだ。「やきとり」はしょうゆベースのタレで味付けされた鶏肉が柔らかくおいしい。
自衛隊と“ほぼ同じ”クルマが買える!
自衛隊車両の中には市販車両をベースとしているものがある。陸上自衛隊の『高機動車』はトヨタ自動車の「メガクルーザー」、陸・空両自衛隊が運用する『1/2tトラック』は三菱自動車の「2代目パジェロ」がベース車両だ。
自衛隊仕様は車体や窓ガラスなどに防弾性能が付加されたり、火器が装着できるホルダーなどさまざまに改造されているが基本構造は同じ。どちらも新車の製造・販売は終了しているが、中古車販売店などで購入可能だ。
高機動車

写真提供/トヨタ自動車

<SPEC>
全幅:約2.22m
全長:約4.91m
全高:約2.35m
重量:約2.7t
排気量:4104cc
最高速度:125km/h
メガクルーザーは1996年から2001年まで製造。中古車市場の平均価格は約1995万円。(2024年12月現在、編集部調べ)
1/2tトラック

写真提供/トヨタ自動車

写真提供/トヨタ自動車
<SPEC>
全幅:約1.76m
全長:約4.14m
全高:約1.97m
重量:約1.9t
排気量:2800cc
最高速度:135km/h
2代目パジェロは1991年から99年まで製造。中古車市場の平均価格は約158万円。
(2024年12月現在、編集部調べ) 写真提供/三菱自動車
(MAMOR2025年3月号)
<文/古里学 写真/星亘(料理写真、扶桑社) 写真提供/防衛省 価格は全て税込み>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです