自衛隊には数多くの部隊があり、中には自隊のテーマソング「隊歌」を持つ部隊もあります。
その歌詞を読むと、国を、地元を愛する気持ち、家族、仲間を想う気持ちが表されて、各隊員の心意気が伝わってくる。そんな隊歌にあなたも触れてみてください。
今回は、山口県に所在する「岩国航空基地」の海上自衛隊「第71航空隊隊歌」をご紹介します。
第71航空隊とは…
岩国航空基地(山口県)に所在する海上自衛隊の部隊。救難飛行艇US-2を運用し、洋上救難を主な任務としている。また、人員や物資の輸送、離島からの患者輸送などの災害派遣にも従事している。
「第71航空隊隊歌」の歌詞を紹介

一
旭日に映える瀬戸の海
錦たなびく錦帯橋(1)
重い使命に沸り立ち
秘技を練りつつ今日も飛ぶ
行くは我らが飛行艇
オー七十一航空隊
二
逆巻く波もなんのその
人の生命にゃ代えられぬ
日頃練磨の結晶を 大海原で示すのだ
行くは我らが飛行艇 オー七十一航空隊
三
夕日に浮ぶ甲島(2)
翼休めるおおとりの
雄姿頼もし安芸の海 皆の幸福願うのは
精鋭我らが飛行艇 オー七十一航空隊
「第71航空隊隊歌」の歌詞を解説
(1)岩国市の錦川に架かる5連の木造橋で、国の名勝に指定されている
(2)岩国航空基地の沖合い、瀬戸内海の安芸灘に浮かぶ無人島
<作詞/大原義明 作曲/田谷伸>
任務完遂の強い思いが感じられる隊歌
「当歌は1976年の開隊当時、救難を主任務とする隊員の一致団結と士気高揚のために作られたと聞いています。救難飛行艇の運用というオンリーワンの部隊であり、歌詞には、救助を待っている人のため全クルーで厳しい訓練に臨み、任務を完遂しようという強い思いが込められていると感じています」と語ってくれたのは、第71航空隊飛行隊長の荒牧2等海佐だ。
作詞は、当時勤務していた大原義明(当時1等海尉)であり、救難出動記録によれば、開隊後初の救難出動時の操縦士でもある。
作曲者の田谷伸(当時2等海曹の音楽隊員)は、後の99年に舞鶴音楽隊長として勤務していた際、第71航空隊の開隊23周年記念に、自ら指揮をとり、舞鶴音楽隊の演奏によって当歌のオリジナルCDを制作している。

第71航空隊では月に1度、朝礼時にこの隊歌を全員で大合唱しているそう。「“行くは我らが飛行艇”のフレーズが、歌っていて気持ちが盛り上がる」と教えてくれたのは、第71航空隊の操縦士、神宮司3等海尉だ。隊のモットーである「訓練に泣き 実動で笑おう」の気概がうかがえる隊歌を、ぜひ聴いてみて!
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