•  よりやりがいのある仕事を求めて転職するのが当たり前の時代。それならば、Z世代の転職先には自衛隊がピッタリなのではないかと考えた。

     とはいえ、民間企業から転職するといっても自衛隊で自分にできる仕事があるのだろうか? 特技や資格を生かせるだろうか?

     実は、さまざまな任務がそろっているのが自衛隊なのだ。中からほんの一部を紹介しよう。

    技術系

    画像: 自衛隊の音楽隊は、陸・海・空各自衛隊のメインとなるセントラルバンドをはじめ、各地方隊など、全国32カ所の基地・駐屯地に配置されている

    自衛隊の音楽隊は、陸・海・空各自衛隊のメインとなるセントラルバンドをはじめ、各地方隊など、全国32カ所の基地・駐屯地に配置されている

     自衛隊の技術・専門職は多岐にわたる。入隊してから隊内の教育機関で学び、取得した資格を活かす仕事に就くことも多い。ここではそんな仕事の数々を紹介しよう。

    パイロット(陸・海・空)

     防空や輸送、救難活動などの任務を行う操縦士。空自だけでなく、海自は対潜哨戒機、陸自は戦闘ヘリなどを運用する。

    電気工事士(陸・海・空)

     自衛隊で使用する電力を安定供給するために、各施設の高圧配電設備の定期的な点検・検査をはじめ電気工事などを行う。

    ドライバー(陸・海・空)

     隊員や装備品などを移動する際に使用する車両を運転。また、高級幹部が基地・駐屯地間を移動する際などの運転を担う。

    整備員(陸・海・空)

     車両をはじめ、艦艇や航空機などの大きなものから、電子機器などの小さなものまで、あらゆる装備品の整備などを行う。

    ハンドラー(海・空)

     基地・駐屯地の警備や警戒任務を担い、災害派遣活動も行うことがある警備犬の飼育と健康管理、しつけや訓練を行う。

    音楽隊員(陸・海・空)

     自衛隊の儀式や式典、または、国家的なイベントなどでの演奏や、国民向けのコンサートでの演奏を通して広報活動を行う仕事。

    気象員(陸・海・空)

     航空部隊などの運用に必要な航空気象に関するデータを収集、予報し、全国の部隊に提供する。

    法務官(陸・海・空)

     自衛隊に関わる損害賠償業務や民事裁判などの訴訟業務を行うほか、自衛隊組織の適法性を順守する業務などを行う。

    教員(陸・海・空)

     自衛隊の教育機関で学ぶ学生を教える。現役自衛官が教科担当となるほかにも教員免許保持者が防衛省職員として教える。

    アスリート(陸・海・空)

     陸上競技や水泳などの競技成績が優秀な人が自衛隊体育学校所属の自衛官となり、国際大会などの選手要員となる。

    給養員(海・空)

    画像: 自衛隊で提供される食事の調理を行う給養員は、自衛官の健康と士気の源となる「食」に係る重要な任務を担っている

    自衛隊で提供される食事の調理を行う給養員は、自衛官の健康と士気の源となる「食」に係る重要な任務を担っている

     自衛官の毎日の食事の調理を専門とする、海自と空自に配置された職種。全国の基地や艦艇などに配属されて腕をふるう。

    カメラマン(陸・海)

     撮影担当の隊員として、各種行事や訓練、有事の際などに、現場での部隊の行動記録などを写真や映像に収める任務。

    客室乗務員(空)

     首相などの要人が外国を訪問する際などに使用される政府専用機の客室乗務員などは航空自衛官が務めている。

    消防員(陸・海・空)

     各基地・駐屯地の施設で火災が起こった際に対処する隊員。消防設備の維持管理や防火教育・訓練なども行う。

    教材整備員(陸・空)

     教育訓練に必要な各種教材や教材で使用する写真の撮影、印刷、操縦士教育のための戦闘機などの模型などを制作する。

    儀じょう隊員(陸)

     国賓が来日した際や皇族の儀式などで、警衛や敬意を表す栄誉礼などを行う任務。一糸乱れぬ規律正しい動きを披露する。

    警備員(陸・海・空)

     自衛隊施設内やゲートなどを24時間態勢で警備する任務。監視カメラなどの各種器材や警備犬などを使用。

    航空管制官(陸・海・空)

     自衛隊などの航空機を安全かつ円滑に飛行場に離着陸させるため、パイロットと無線で交信し、航空交通管制業務を行う。

    潜水士(陸・海)

     海中での遺失物捜索や機雷、不発弾などの爆発物の捜索と処分、潜水艦が沈没した際、乗員の救助などを行う任務。

    狙撃手(陸)

     狙撃手(スナイパー)と観測手(スポッター)が2人1組となり、有事の際は敵地に潜入し、偵察や狙撃を行う。

    救難員(陸・海・空)

     自衛隊の救難ヘリコプターなどに搭乗し、山や海で遭難した人などの捜索や救助、応急処置などを行う。

    システム開発(陸・海・空)

     自衛隊で使用する装備品などの運用システムや指揮統制システムなどの研究開発、人材育成を行う任務。

    防衛駐在官(陸・海・空)

     自衛官が外務事務官として諸外国の日本大使館などに駐在し、派遣国で情報収集や交流などを行う。

    土木建築士(陸・空)

     基地・駐屯地の建築物などの維持補修を行うほか、測量や設計見積もり、工事監督などを実施する。

    デスクワーク系

     自衛隊の組織運営に必要な事務職も自衛官が担当。どれも部隊の縁の下の力持ちとなる重要な仕事だ。

    会計(陸・海・空)

     部隊が必要とする物資の調達や隊員の給与の支払い、出張の旅費などの計算、諸経費の支払い、会計検査院に提出する書類の作成などの業務を行う任務。

    補給(陸・海・空)

     部隊の任務を遂行するために必要な装備品や食料、燃料、各種器材、被服などの物品を調達し、所定の量を所定の時期・場所に供給する業務を実施。

    隊務管理( 陸・海・空)

     自衛隊の各部隊が円滑に任務を遂行するために必要な事務職。任務内容は総務をはじめ、人事、厚生、教育、適性検査に関する業務など多岐にわたる。

    広報系

    画像: 自衛隊地方協力本部は全国にあり、陸・海・空の隊員たちが親身になって入隊の相談にのっている

    自衛隊地方協力本部は全国にあり、陸・海・空の隊員たちが親身になって入隊の相談にのっている

     自衛隊の広報活動には、「自衛官がこんなことまで!?」というクリエイティブな仕事もある。

    広報(陸・海・空)

     自衛隊の活動を国民に発信する仕事。テレビ局や出版社と交渉して部隊の撮影・取材調整を行ったり、自衛官が自らユーチューバーとなり、広報活動を行うこともある。

    編集者(陸・海・空)

    『防衛白書』をはじめ、防衛省・自衛隊が作成する部内・部外の広報誌などの編集を担当。誌面の企画立案から構成、写真撮影や取材などを行う。

    地方協力本部隊員(陸・海・空)

     各都道府県にある自衛隊の総合窓口「地方協力本部」の広報官として、各種問い合わせに対応。自衛隊への入隊希望者のリクルーターとなる。

    医療系

    画像: 自衛隊病院は、共同の機関である自衛隊中央病院のほか、陸自が7施設、空自が2施設、空自が1施設の、全国で計11施設、設置されている

    自衛隊病院は、共同の機関である自衛隊中央病院のほか、陸自が7施設、空自が2施設、空自が1施設の、全国で計11施設、設置されている

     自衛隊では国家資格を持った自衛官が医療従事者となり、隊員の負傷への対処や健康管理を担う。

    医師(陸・海・空)

     医師の資格を持つ幹部自衛官である「医官」として、自衛隊病院などの医療機関や有事の際は前線で隊員の診療や健康診断、予防衛生、食品衛生などを担当する。

    看護師(陸・海・空)

     自衛隊の医療機関で勤務する「自衛隊看護師」は、自衛隊病院での看護業務のほかに、自衛官としての訓練もしており、有事の際は前線で負傷兵を看護する。

    薬剤師(陸・海・空)

     自衛隊所属の薬剤師「薬剤官」は衛生分野の幹部自衛官として、自衛隊病院での薬剤師業務、医薬品や防護服・マスクなどの衛生資材の管理などを行う。

    心理(陸・空)

     自衛隊では、部内の教育課程を修了した自衛官カウンセラーを全国の基地・駐屯地に配置。隊員のカウンセリングやメンタルヘルス教育などを行う。

    救急救命士(陸・海・空)

     自衛隊の救急救命士は、有事の際の負傷という特殊な状況のもと、陸上や洋上、航空機内などで救急処置を行う。

    放射線技師(陸・海・空)

     自衛隊の放射線技師は「放射線員」と呼ばれ、衛生分野の自衛官として、放射線を活用した検査・治療やCT検査、MRI検査などを自衛隊病院で行う。

    臨床検査技師(陸・海・空)

     隊員の健康診断や入院などの際、採取した血液などを調べる「検体検査」と、心電図や脳波などを調べる「生理機能検査」を行う任務。

    陸=陸上自衛隊にある職種 海=海上自衛隊にある職種 空=航空自衛隊にある職種

    ※上記の任務・配置はほんの一例です。もっと詳しく知りたい方は自衛官募集公式HP(https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/details/job/index.html)をご確認ください

    (MAMOR2024年4月号)

    <文/魚本拓 写真提供/防衛省>

    マモル転職情報

    ※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです

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