「働き方改革」が進められ、ワーク・ライフ・バランスを意識することで、仕事にやりがいや充実感などの幸福を強く求めるような社会になってきた。
よりやりがいのある仕事を求めて転職するのが当たり前の時代になったといえよう。
それならば、Z世代の転職先には自衛隊がピッタリなのでは?と考えたマモルは、他業種から転職して入隊した自衛官に話を聞いた。
玉城玲奈 空士長:化粧品販売員から航空自衛隊の人事任務へ
入隊前
入隊前の月収:約15万〜20万円
生年:1998年
学歴:公務員専門学校卒業
前職:化粧品販売員(2020年入社~21年退社)
家族:夫
趣味:アニメ、映画、音楽鑑賞
入隊後
月収:約25万円
航空自衛隊入隊:2022年
所属部隊:航空自衛隊第2輸送航空隊本部人事班
任務:人事に関わる業務、隊員の身分証明書や計器飛行証明の申請、健康診断や身体検査の実施に関わる業務
コロナ禍の影響で化粧品販売をやめて自衛隊に転職
「小学生のころから公務員に憧れていて、なれたらいいなぁと思っていました」と話し始めた、玉城士長。高校卒業後、夢をかなえるために公務員試験対策コースのある専門学校に入学。卒業後に国税専門官の採用試験に合格した。
「それで念願の公務員となり、国税局の財務事務官となったのですが……。国税調査という仕事の重責と、赴任先での1人暮らしに疲れきってしまい、2年で退職しました」
退職してからは地元・福岡に戻って大手化粧品店の販売員になった。
「再就職したと思ったら、今度は新型コロナが流行してしまい……。客足が減ったこともあり自分の担当している店舗が2カ月間の休業になってしまったのです。ついてないですね」
「このままではまずいと思いまして、さらなる転職を考えていたときに、たまたま航空自衛官として活躍している高校時代の親友に会ったんです。そこで親友に、自衛隊はあなたが目指していた公務員だし、入隊してみるのもいいと思うよ!と勧められ、思い切って自衛隊に飛び込むことにしたんです」
労働環境が良くなり伴侶も得て毎日充実
玉城士長は空自の教育隊を修了後、第2輸送航空隊本部人事班に配属。主に人事に関わる業務を担当している。
「隊内の誰が休暇をとり、誰が出張しているかなど、階級ごとに人数をデータ化して書面にまとめ、毎日上級部隊の航空支援集団に報告します。隊の人員に関わる情報は、突然の災害派遣隊の編成などの際に必要不可欠なものなんです」
そのほかにも、隊員の身分証明書や計器飛行証明の申請、健康診断や身体検査の実施に関わる業務を担当。個人情報を扱うため緊張感をともなう仕事だが、コミュニケーション能力の向上に役立っていると、玉城士長は言う。
「他部隊の方と毎日やりとりするなかで、緊迫した日もあれば平和な日もありますが、場面ごとで適切なコミュニケーションがとれるようになったと思います」
業務に対する指導は、どの上司からも優しく丁寧にされるので仕事がしやすいという玉城士長。
「ただ、今はまだ先輩方におんぶにだっこの状態なので、自立心を持って、自分の判断で仕事ができるようになりたい」と話す。
仕事内容が自分と合わず、コロナ禍という不運にも見舞われるという苦い経験を経て、「自衛隊への転職は大成功でした」という玉城士長は、「それに」と言葉を継いだ。
「人事班でも月に1度、入間基地(埼玉県)の各門の警備を担当することになっているのですが、そこでたまたま任務が一緒になった先輩の航空機整備員の隊員と意気投合して2023年の2月に結婚したんです」。
転職により申し分のない労働環境と、そこで伴侶を得た今、玉城士長は仕事とプライベートの両面で、充実した毎日を送っている。
(MAMOR2024年4月号)
<文/魚本拓 撮影/林紘輝 写真提供/防衛省>
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