自衛隊には数多くの部隊があり、中には自隊のテーマソング「隊歌」を持つ部隊もあります。
その歌詞を読むと、国を、地元を愛する気持ち、家族、仲間を想う気持ちが表されて、各隊員の心意気が伝わってきます。そんな隊歌にあなたも触れてみてください。
今回は、山口県に所在する「下関基地隊の歌」のをご紹介します。
下関基地隊とは…
山口県の一部、九州(大分、宮崎を除く)、沖縄海域の防衛警備を主任務とする海上自衛隊佐世保地方隊の隷下部隊の1つで、本部は下関基地(山口県)にある。
主に関門海峡とその周辺海域の防衛警備を担当。また、災害発生時の救助活動や、海底に沈んでいる機雷・爆弾などの除去や処理(掃海任務)も行っている。
「下関基地隊の歌」の歌詞を紹介
一
早鞆の瀬戸(1) 音高く たぎる渦潮 速くとも
関門防備の 重責を 担う我等 隊員の 集う基地隊 下関
二
玄界の海 響灘(2) 安全の任 われありと
加茂の小島に 映える陽光に 決意もかたき 隊員の 集う基地隊 下関
三
古き歴史と 伝統の 誇を今に うけつぎて
あげし功績の 数々を 胸にきざみし 隊員の 集う基地隊 下関
「下関基地隊の歌」の歌詞を解説
(1) 関門海峡の大瀬戸のうち、幅の狭い壇ノ浦から和布刈まで
(2) 関門海峡の北西に広がる海域
危険で大変な任務を担っているのが伝わる歌
「危険と隣り合わせである掃海任務に従事する隊員の士気高揚、団結心、そして日本の要衝である関門海峡を一手に守る下関基地隊を語り継ぐ目的で1964年ごろ作られた隊歌だと思います」と語ってくれたのは、下関基地隊総務科の藤井隆行准海尉だ。
当時、当基地に勤務していた作詞者から直接聞いたわけではないので憶測ですが……と断ったうえで、「歌詞からは、当時の機雷除去に真剣に取り組んでいる隊員の“安全ではない業務を担うこと”で海上交通を安全にするんだという強い意志が感じられます」と藤井准尉。
推し歌詞は、2番に出てくる「加茂の小島」。下関基地の目の前にある3つの島のことだそうで、あえてその小島に光を当てているところが、当時から下関基地隊のシンボルのような島だったんだなと思わせてくれるという。
当歌は毎年11月に行われる自衛隊記念日行事において歌われていて、行事の数週間前から声高らかに歌って練習するのだとか。
隊員が歴史ある下関基地隊の一員であることを再認識し、掃海任務に誇りを持っていたんだと気付くことができるという隊歌を、ぜひ聴いてみて!
(MAMOR2024年4月号)
<写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです