自衛隊には数多くの部隊があり、中には自隊のテーマソング「隊歌」を持つ部隊もあります。
その歌詞を読むと、国を、地元を愛する気持ち、家族、仲間を想う気持ちが表されて、各隊員の心意気が伝わってきます。そんな隊歌にあなたも触れてみてください。
今回は、舞鶴地方隊創設70周年記念イメージソング「未来」をご紹介します。
舞鶴地方隊とは…
海上自衛隊における防衛大臣直轄の部隊である地方隊の1つであり、主な任務は担当の区域(北は秋田県から南は島根県までの日本海沿岸海域と内陸部)の防衛・警備など。
災害・事故が発生した場合には、救助、復旧、輸送などの後方支援も行う。
舞鶴地方隊創設70周年記念イメージソング「未来」の歌詞を紹介
一
いつもと同じ街並みの風景が優しく語りかけるよ
水面を流れる薄紅の花(1)に春の訪れを感じていた
優しい雨に包まれて濡れる色とりどりのツツジの花たちは
淡く儚い光を称えている 翳った空を仄かに照らし
白い翼広げて舞い上がる鳥たちは空に虹の橋を架けるのだろう
草も木も花も実も鳥も雲も風も明日へ繋がるように ミライ
二
色付きはじめた街の木々が今日もまた静かに囁くよ
黄金に萌えるイチョウの並木 冬の予感を運んできた
少し冷たい風の中吹かれて落ちる結晶はどこまでも白く
清く静かな音色を奏でている 曇った空も晴れ渡るように
果てしなくきらめく波の音(2)が紡ぐ調べは海を越えて鳴り響くだろう
広大な緑もあなたのいる今も明日へと繋がりゆく ミライ
三
朝も昼も夕暮れも夜も暖かな明かりを胸に灯し
ひとつひとつ刻んで行こう
この街を吹き抜ける潮風に乗せた想いは時を超えて響き続ける
言霊(3)も黎明(4)も山も空も海も明日へと繋がりゆく
輝けるこの海もキミの描く夢も未来へと繋げてゆく ミライ
<作詞・作曲/海上自衛隊 東京音楽隊 前島敦>
舞鶴地方隊創設70周年記念イメージソング「未来」の歌詞を解説
(1) 舞鶴市内を流れる与保呂川に浮かぶ桜の花びらをさす
(2) 舞鶴湾からつながる日本海の波の音をイメージ
(3) 舞鶴を形づくってきた全ての人々の上げた声が言霊となって漂っているイメージ
(4) 朝もやが去った後の、まるでこの世の始まりのような清廉な景色を表現
自然に癒やされた感謝の思いを歌に託す
「2022年度に、舞鶴地方隊創設70周年記念事業を行うことを知り、舞鶴地方隊と舞鶴音楽隊、そして舞鶴市へ感謝の思いを伝えたく、自発的にこの曲を作りました」と話すのは、舞鶴音楽隊にホルン奏者として所属していた前島敦2等海曹だ。
タイトルを『未来』としたのは、舞鶴地方隊と舞鶴市が、未来へ向かって羽ばたいていけるようにとの願いから。
前島2曹は、20年1月に舞鶴音楽隊に赴任するとしばらくは、単身赴任に対する不安と新型コロナウイルスまん延による閉塞感で、憂鬱な日々を過ごしていたそう。
そんなときに心を癒やされ、元気づけられたのが、舞鶴の四季折々の美しい自然と、部隊の親切な同僚たちだった。
だからこそ、「この舞鶴の美しい自然がいつまでも続いていくように、自衛官であるわれわれが未来へつなげていくぞ」という決意を歌詞に込めたのだという。
作曲面では、舞鶴の美しい自然を表すため、優しく素朴で、どこか懐かしさを感じられる旋律を目指したそう。
特に、サビのメロディーのハモる部分がお気に入りとのこと。ぜひ耳を澄ませて、そのハーモニーを聴いてみて!
(MAMOR2023年7月号)
<写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです