自衛隊には数多くの部隊があり、中には自隊のテーマソング「隊歌」を持つ部隊もあります。
その歌詞を読むと、国を、地元を愛する気持ち、家族、仲間を想う気持ちが表されて、各隊員の心意気が伝わってきます。そんな隊歌にあなたも触れてみてください。
今回は、福岡県築城(ついき)基地に所在する航空自衛隊の部隊「築城管制隊」の隊歌をご紹介します。
築城管制隊とは…
航空自衛隊築城基地(福岡県)に所在。航空交通管制を主な任務とする部隊で、築城基地における飛行場管制や築城進入管制区(九州北東部から山口県西部にわたる空域)に係るターミナル・レーダー管制などを行っている。
24時間態勢で管制施設を運用することで、戦闘機の緊急発進(スクランブルや災害対応、深夜便の運航などに備えている。
「築城管制隊歌」の歌詞を紹介
一
周防を臨む天狗の里(1)に
集いし我らの希望は燃ゆる
無線とレーダーと匠の技で
空の守りの盾となる
粋だよ築城管制隊
二
西の守りの先駆けとして
鍛え鍛えし我らの夢は
飛立つ数多の戦闘機にのせて
雲の彼方に輝くよ
いざゆけ築城管制隊
三
空の仲間さ積極進取
明日の扉は我らが開く
青い帽子(2)の気持ちは一つ
天に聳える管制塔
我らは築城管制隊
この歌詞を解説
(1)築城基地のある福岡県築上郡築上町にまたがる求菩提山には、山伏の姿をしたカラス天狗が住んでいたという伝説が残る
(2)識別帽のこと。自衛隊において、部隊を識別するために、部隊ごとに用意される帽子
<作詞/航空自衛隊 近藤雄二 作曲/航空自衛隊 中野利彦>
日本の空を守るという使命感が高まる曲
この隊歌は、もともと部隊にあった隊歌を編曲したもの。
「当時の隊員が歌って録音してあった古いテープから楽譜を起こしたので、不明瞭な箇所は想像しながら作りました」と語ってくれたのは、その編曲を担当した西部航空音楽隊の坂本洋一空曹長だ。編曲作業には3週間ほどかかり、その後、実際に音楽隊で演奏してみて、さらに手直しを加えて録音に至ったのだそう。
原曲はシンプルだったため、隊員たちが元気に歌えるように伴奏を加えたのがポイントで、特に最初のイントロ4小節は、いっきに感情が高ぶるように編曲されているのだとか。
作詞は、隊歌ができた当時に管制隊の補給員だった隊員が担当しているので、現在の隊員にも響くはずなのだが、残念ながら近ごろでは、この隊歌を歌う機会が少ないよう。
これを機に、管制隊所属の隊員が声をそろえて歌うことで、「1人ではなく、管制隊全員で日本の空を守る仕事を担っているんだ!」という使命感が醸成されることを期待される隊歌でもある。イントロ4小節で曲の世界に飛び込んでから、1~3番までをぜひじっくり聴いてみて!
(MAMOR2023年6月号)
<写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです