自衛隊には数多くの部隊があり、中には自隊のテーマソング「隊歌」を持つ部隊もあります。
その歌詞を読むと、国を、地元を愛する気持ち、家族、仲間を想う気持ちが表されて、各隊員の心意気が伝わってきます。そんな隊歌にあなたも触れてみてください。
今回は、沖縄県宮古島駐屯地に所在する陸上自衛隊第15旅団隷下の離島警備部隊「宮古警備隊」の隊歌をご紹介します。
宮古警備隊とは…
宮古島駐屯地(沖縄県)に所在。陸上自衛隊第15旅団隷下の離島警備部隊で、南西諸島の防衛態勢強化のため、水陸機動団などとともに新編された。
南西防衛の最前線である宮古列島を守るため、いかなる任務にも即応できるよう、日々訓練に励んでいる。
「宮古警備隊歌」の歌詞を紹介
一
波濤を超えて南風の島
白い砂浜瑠璃珊瑚
美ぎ島(1)宮古を守るため
あぱらぎ(2)の島の精鋭は
集いて競い技を練る
おお我ら宮古警備隊
二
祖国の護り受け継いで 久松五勇士(3)勇ましく
使命に燃ゆる志士達の 太平の島の精鋭は
英知の限り練磨する おお我ら宮古警備隊
三
焼け付く太陽(4)と騒ぐ台風 耐えて示すぞアララガマ(5)
輝く伝統築くため 博愛の島の精鋭は
島の未来に希望抱く おお我ら宮古警備隊
この歌詞を解説
(1)宮古島の方言で「きれいな島」
(2)宮古島の方言で「きれいな人」
(3)1905年、日露戦争時の日本海海戦に先立ち、敵国ロシアのバルチック艦隊発見の知らせを宮古島から石垣島に伝えた、宮古島久松部落の漁師5人の呼び名。130キロメートル離れた電信設備のある石垣島まで、サバニと呼ばれる沖縄の伝統木造船で荒波を越えて急報した5人は、島の英雄として語り継がれている
(4)沖縄の方言で、太陽のことを「ティダ」と言う
(5)宮古島の方言で「不屈の精神」を意味する
<作詞/宮古地区自衛隊協力会会長 野津武彦(現顧問)・陸上自衛隊 長澤伸 作曲/陸上自衛隊 第15音楽隊>
島民の心のよりどころとなる部隊を目指して
2018年、宮古警備隊新編の準備に伴い、隊員の士気高揚を目的として作られたという隊歌。
「地元に根付いた部隊となれるよう歌詞にも宮古の方言を多用しました」と教えてくれたのは、現在、宮古警備隊に所属する秋山隆拓1等陸尉だ。
作詞にあたっては、地元をよく知る宮古地区自衛隊協力会(注)会長の協力も仰いだという。作曲は、那覇駐屯地に所在する第15音楽隊が担当。
メロディーも地元の方も親しんでもらえるよう、宮古民謡の『なりやまあやぐ』の曲調を取り入れる工夫がなされている。隊歌のお披露目は、19年3月の新編行事のときで、第15音楽隊の演奏のもと、隊員が一丸となって熱唱したとのこと。
その後も毎日の朝礼時に歌い続けていたそうですが、コロナ禍は、課業開始前に駐屯地内で流すだけにとどまっており、再び声を出して歌える日を、隊員一同心待ちにしているのだとか。
歌詞にある「島の未来に希望抱く」には、島と心を1つにするという思いも込められているという。宮古島の護まもり人びととなるべく、隊歌を熱唱する隊員らを思い浮かべながら、ぜひ聴いてみて!
(注)自衛隊との相互理解と親睦を図り、自衛隊発展のための支援を目的に活動する地域団体
(MAMOR2023年4月号)
<写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです