自衛隊には数多くの部隊があり、中には自隊のテーマソング「隊歌」を持つ部隊もあります。
その歌詞を読むと、国を、地元を愛する気持ち、家族、仲間を想う気持ちが表されて、各隊員の心意気が伝わってきます。そんな隊歌にあなたも触れてみてください。
今回は、宮城県松島基地に所在する航空自衛隊の飛行訓練部隊「第21飛行隊」の隊歌をご紹介します。
第21飛行隊とは…
松島基地(宮城県)に所在する。航空自衛隊の飛行訓練部隊で、現在はF-2戦闘機操縦のための教育を行っているが、前身は、1975年創隊のT-2高等練習機で操縦訓練を行う「臨時T-2訓練隊」だった。
翌76年10月に「第21飛行隊」に改編され、82年から95年まで、T-2ブルーインパルスを運用する「戦技研究班」が設けられていた。この隊歌もその間に作られたと思われる。
「第21飛行隊の歌」の歌詞を紹介
一
鳴瀬にそそぐ雪解けの
川面に映るフォーメーション(1)
ああ新緑の夢はるか(2)
ほこるわれらのT-2機(3)
陽光を受けて飛び立つは
われら21飛行隊
二
蔵王はるかに臨むれば 青空仰ぐ希望峰(4)
ああ紺碧の空の中 翔けるわれらのT-2機
激しき闘志(5)燃やすのは われら21飛行隊
三
寒風すさぶ金華山 華麗に踊るインパルス
ああ伝統を双翼に 雄々しきわれらのT-2機
世界に翔く若鷲(6)は われら21飛行隊
この歌詞を解説
(1)編隊飛行の際の隊形
(2)戦闘機パイロットを目指す学生が一人前になるための心意気、心情を表している
(3)日本で開発された超音速ジェット機で、航空自衛隊において戦闘機パイロットを目指す学生の高等訓練機として用いられた。2006年に退役
(4)戦闘機パイロットを目指す学生の目標としての「高い山々」を表現
(5)戦闘機パイロットを目指す学生の、厳しい訓練に対する心意気
(6)学生パイロットのこと
<作詞/航空自衛隊 埜下悦男(退官) 作曲/航空自衛隊 尾口英昭(退官)>
T−2の姿が隊歌復活で令和によみがえる
作詞と作曲をした自衛官らがすでに退官してしまったため、いつ、どのように作られたかは分からない、と語るのは2022年にこの隊歌の編曲を担当した北部航空音楽隊の吉野桜2等空曹だ。
もともとはT−2運用時に、学生卒業の際のBGMとして使われていたそう。しかし、T−2の運用終了で使われなくなり、その後の東日本大震災で、音源も失われてしまったのだとか。
19年、14年ぶりに第21飛行隊に配属となった隊員が、偶然古い隊誌を手にし、そこに楽譜と歌詞を発見。
何とか後世に残せないかと中部航空音楽隊に相談し、当時、同隊で作編曲を担当していた吉野2曹に依頼が舞い込んだというわけだ。編曲された音源を流すと、隊歌を知る隊員らは懐かしい気持ちで、知らない隊員らは新鮮な気持ちで聴いたそう。
作詞・作曲者らが、当時T−2ブルーインパルスから見ていた松島基地周辺の景色を思い浮かべながら、ぜひ聴いてみて!
(MAMOR2023年3月号)
<写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです