日本全国にある自衛隊の基地・駐屯地の隊員食堂で自衛官たちはどんな料理を食べているのでしょう? ぜひ味わっていただこうとレシピを取り寄せました。今回は福岡県築城基地の「定番ちゃんぽん」。優しい味わいのスープに、炒めた肉、魚介、野菜がどーん! 隊員の舌をうならせるボリューム&栄養満点の麺料理です。
日本の「西の要塞」、航空自衛隊築城基地
航空自衛隊築城基地は、福岡県東部にある行橋市、築上町、みやこ町の1市2町にまたがる場所に位置しています。
当基地には第8航空団をはじめ、7部隊が所在。主な装備品として、F-2戦闘機のほか、ペトリオットが配備され、「西の要衝」として、領空侵犯の恐れのある航空機に対応したり、各種事態などへの即応態勢を維持しながら、日夜訓練に励んでいます。
また、「築城基地名物 隊員食堂カレー」が給養小隊監修のもと商品開発され、基地内売店や近隣の物産館で販売されるなど、広報活動にも積極的に取り組んでいます。
カレーに匹敵する人気メニュー!「定番ちゃんぽん」
今回紹介する「定番ちゃんぽん」は、そのカレーに匹敵する人気メニューで、心待ちにする隊員も多いのだとか。
豚骨ラーメンで名高い福岡県らしく、スープは白濁豚骨系。隠し味には九州でよく使われる白みそを入れるのがまさにミソ! 今回紹介するレシピでは省いていますが、当食堂ではスープを作る際、さらにラード(豚の脂)と干し貝柱を加えて味に深みを出しています。
季節やその日の気温によって、調理長自らが調味料の量を微調整して仕上げるのだそう。肉や魚介、野菜は炒めすぎず、シャキシャキ感を残すくらいがベスト。見た目よりあっさりとした味付けのため、このスープをおかずにご飯をかきこむ隊員も。
副菜として提供するのはぎょうざやしゅうまいなど。若い隊員が多い当基地で、絶大な人気を誇るのもうなずけます。「定番ちゃんぽん」がカレーのように商品化される日も近いかもしれません。
海鮮のうまみが溶け出したスープは絶品!
「野菜がたっぷり入っていて女性にもお勧め。まろやかなスープで口触りがよく、ペロリとたいらげてしまいます」【事務官/女性・30代】
「自慢の豚骨スープに、海鮮のうまみが溶け出したスープは黄金色。歯応えを残した野菜の食感もよく、気付けば完食です」【2曹/男性・40代】
「絶妙な塩加減とみそ味で仕上げられたスープは絶品! 全国の皆さまにもぜひ味わっていただきたい1品です」【3佐/男性・50代】
「食べ終わるまで同じ味」を目指して…
【航空自衛隊 築城基地 第8航空団基地業務群業務隊給養小隊 調理長 蛭﨑 健】
1992年に入隊して約30年、地元出身の防衛技官として勤務してきました。現在は調理長という立ち場で、調理業務全般を取り仕切り、若年層の調理員の教育を担っています。
大量調理のため、なかなか難しいのですが、約2時間の食事時間のうち、最初に食べた隊員と最後に食べた隊員が同じ味、食感、適温になるように心がけています。空自全体で上を目指す意味をもつ、鶏の空上げ(からあげ)やカレーなどの人気メニューも飽きのこないよう工夫を重ねる毎日です。
「定番ちゃんぽん」のレシピを紹介
<材料>
ちゃんぽん麺:300g
豚肩薄切り肉(食べやすく切る):80g
カットイカ(冷凍):20g
アサリむき身(冷凍):30g
キャベツ(ざく切り):120g
モヤシ:60g
ニンジン(短冊切り):20g
タマネギ(くし形切り):50g
キクラゲ(乾燥・ぬるま湯に15〜30分ほど
浸けて戻し、食べやすく切る):2g
ちゃんぽんカマボコ:30g
<A>
湯:4カップ
豚骨ちゃんぽんスープ(市販):大さじ4〜5
白みそ:大さじ1
塩、コショウ:各適量
サラダ油:少々
<作り方>
1:鍋にⒶを入れて火にかけ、スープを作る(ちゃんぽんとスープがセットになっている場合は、表示どおりにスープを作り、味見をしながら隠し味として白みそを少量加える)。
2:フライパンにサラダ油を熱し、豚肉、魚介、野菜、キクラゲ、カマボコを入れて炒める。途中、①のスープを少量加え全体を炒め合わせる。
3:ちゃんぽん麺を表示どおりにゆで、湯をきる。
4:器に③を入れて②をのせ、熱々にした①のスープを注ぎ入れる。好みでコショウをふる。
注目食材:ちゃんぽん麺、ちゃんぽんカマボコ
長崎県の郷土料理として知られる「ちゃんぽん」。いまや全国的にも人気の麺料理で特に九州では日常的に食される家庭料理。豚骨系と鶏ガラ系がある。
麺は生麺、半生麺、ゆで麺などがあり、袋入り、箱入りでスープとセットになったものも多い。九州でよく使用されるピンクや緑に着色した短冊状の魚肉練り製品であるカマボコも欠かせない具の1つ。長崎県ではカマボコではなく、「はんぺん」と呼ばれている。
(MAMOR2022年5月号)
<調理/樋口秀子 文/富田純子 料理撮影/山田耕司(扶桑社) 写真提供/防衛省>
※記事内容は上記掲載号の発売時点のものです