主演の町田啓太をはじめ、人気俳優らが陸上自衛隊に入隊した若者たちを演じたテレビドラマ『テッパチ!』(フジテレビ系)。入隊員たちが厳しい訓練に耐え、自衛官としても人間としても成長していく“熱い”物語に目が離せない人も多かったのではないでしょうか。ドラマの舞台となる陸自の教育隊では、実際にどのような訓練がされているのか? それぞれの考えから入隊した若者たちの思いは? そこでマモルでは教育訓練を徹底取材しました。キミも“テッパチ”をかぶるか!?
めくるめく自衛官育成ダイアリー
自衛隊に採用された後、自衛官となるために必要な教育訓練を受ける者を「自衛官候補生」(以下、候補生)という。候補生たちは、約3カ月の教育期間にどのような訓練を受けるのか。ここでは候補生となるための採用試験、入隊式の様子を紹介しよう。
3月15日 採用試験:各種試験に合格して始まる陸上自衛官への道のり
自衛官の身分は特別職国家公務員で、定年(54〜57歳、60歳。階級・職種で変わる)まで在籍する非任期制と、新陳代謝による組織の活動維持のため募集・採用する任期制(陸上自衛官の場合、在任期間は1任期目は1年9カ月。2任期目以降は2年ごとに更新が可能)に分かれる。「自衛官候補生」は所要の教育を経て任期制自衛官となる。
高校卒業程度の学力を問う学科試験と、性格や集団行動への対応力などを調べる適性検査などを受けて合格後「自衛官候補生」となり、基礎を学ぶ約3カ月間の「自衛官候補生教育」を受ける。
その後2等陸士に任官し、次に各職種部隊で約3カ月の「新隊員特技課程」に進む。
ちなみに、任期制自衛官の採用試験は年に数回、地域ごとに駐屯地などで行われる。学科試験は国語、数学、地理歴史および公民の3科目。試験の開催時期など、問い合わせは全国50カ所にある地方協力本部で受け付けている。
4月3日 入隊式:自衛官になるはじめの一歩
候補生は所定の日にちに指定された駐屯地に出頭し着隊手続きを行い、営内と呼ばれる駐屯地内の隊舎で集団生活を送る。
その後、行進などの動作や駐屯地生活のルールなどを教わり、着隊から約1週間後に「入隊式」を迎え、自衛官の基礎を学ぶ「教育隊」に入隊する。
「服務の宣誓」とは?
新たに公務員となった者が任官時に行う宣誓。隊員の区分により宣誓の文言は異なり、自衛隊員は入隊時に「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います(一部抜粋)」と宣誓する。
候補生は「日本国憲法及び法令を遵守し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、知識をかん養し、政治的活動に関与せず、専心自衛官として必要な知識及び技能の修得に励むことを誓います(一部抜粋)」と、これから自衛官として必要な知識や技能を習得することを、国民に対し宣誓する。
(注)日付は時間の流れを示す仮の日付で、写真はイメージとして2020、21、22年各4月に入隊した隊員の教育訓練の写真を使用
(MAMOR2022年10月号)
<文/臼井総理 撮影/村上淳>