• 画像: 2015年9月の関東・東北豪雨では、浸水被害のあった茨城にてボートによる救助活動を行った

    2015年9月の関東・東北豪雨では、浸水被害のあった茨城にてボートによる救助活動を行った

     大災害は突然やってくる。今、この瞬間にも起こるかもしれない。そのときにどう行動するか。日ごろから考えておくべきだが、日常生活を送るなかでつい忘れてしまいがちだ。

     いざ発災すると、「人は困惑してどのように行動すればいいか分からずパニックになることがある」と国際災害レスキューナースとして活躍していた辻直美氏は語る。
     
     まずは落ち着いて周りの状況をよく見ること。その上で機転を利かせ、周辺にあるモノを使って自分の体を守ったり、速やかに安全な場所へ移動し救助を呼ぶことで、身を守るようにしたい。生き延びることをあきらめないために、さまざまなシーンでの身の守り方を知っておこう。

    地震で家屋が倒壊しそうなとき

     地震発生!となったら、まずは頑丈なテーブルの下に入って身を守ること。近くに丈夫なテーブルがない、という場合は、タンスに壁などが倒れかかったりしてできる空間「三角地帯」ができそうな部分に逃げ込もう。実際に、2017年のメキシコ中部地震では、この三角地帯に逃げた人の生存率が高かったことが証明されている。

    飲食店で地震が起こったとき

     飲食店で大地震が起きた際は、テーブルの上にあるナイフやフォーク、皿やコップが凶器となって飛んでくる危険がある。

     大きな揺れを感じたらテーブルの上に置いてある、ナイフやフォーク、食器類を床へ置き、テーブルの下へ入り、後頭部を守りながら身をかがめよう。地震後に店のキッチンから火災が発生することもあるので、揺れが収まったら、周囲を確認し、一刻も早く出口へ向かおう。

    床上浸水しそうなとき

     川が氾濫するなどした場合は、家屋が浸水する前に家を出て、安全な場所へ避難するのが大前提だ。すでに浸水してしまっている場合は無理に避難しようとせず、戸建てなら2階以上に、マンションなら上の階へと「垂直避難」して救助を待ったほうがいい。膝のあたり=50センチメートルくらいの水かさでも流されてしまう危険があるからだ。

    ショッピング中に地震が起こった!

     スーパーやデパートで地震に遭ったら、まずは持っていた買い物カゴの中身を床へ落とし、カゴで後頭部を覆うなどして身を守る。揺れが収まったら、天井からの落下物や倒れた陳列棚などの障害物を避けるようにして歩きながら、エレベーターホールや廊下などの広くて安全な場所に移動。その際、店員の誘導に従うようにする。

    エレベーターに閉じ込められた!

     エレベーターの中で地震に遭ったら、全ての階のボタンを押す。 新型のエレベーターであれば最寄りの階に自動停止するが、旧機種にはその機能がないこともあるからだ。閉じ込められた場合は、慌てずに非常用呼び出しボタンやインターホンを押す、壁をたたくなどして外部へ連絡しよう。

    水に流されてしまったとき

     水に流されてしまったら、とにかく呼吸を確保すること。鼻と口を水面から出し、あおむけの姿勢で木材やペットボトル、発泡スチロールなど、つかまれるものを探して浮き輪代わりにする。

     無理に泳ごうとはせず、落ち着いて浮きながら救助を待つ。建物が見えたら、障害物を避けながらそこを目指し、平泳ぎの要領で足を動かす。

    (MAMOR2022年9月号)

    <文/魚本拓 イラスト/尾代ゆうこ 写真提供/防衛省>

    災害・有事を生き残る自衛隊サバイバル術

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