•  自動車の自動運転に代表されるように、これまで人間が担ってきた仕事を機械に代行させる世の中がやってきた。人間以上の効率をもって作業を進め、人間では不可能な仕事をもこなしている。それを可能にしている技術の1つがAI(人工知能)だ。

     その先進技術を軍事の領域に導入すべく世界各国がしのぎを削っている。本記事では、前編に引き続き、AIの導入で自衛隊の任務はどう変わるのか? マンガでシミュレーションしてみた。

    Case1. 災害時、情報収集Lプランを立案

    現在の自衛隊では…

    画像: 現在の自衛隊では…

     これまでの災害派遣は、実際に災害が発生して派遣要請が出されてから活動を行っていた。そのため初動が遅くなり、さらに時間の経過とともに状況が変化していくため、情報の分析に時間がかかる上に、状況に合わせてプランを変更、修正しなければならないことも多い。そのため、対応が後手に回らざるを得ない。

    将来のAI部隊では…

    画像: 将来のAI部隊では…

     台風や大雨などの気象災害は、気象予報などを見ながら事前に災害派遣の準備を行うが、AIの活用でより詳細な被害予測を立てると同時に、それに合わせて複数の行動計画を短時間に立てることが可能である。また地震や火山の噴火などの突発的な災害においても、過去のデータを基にして短時間で最適な救助プランを立案できる。

     災害発生後、遭難者の救命率が激減する72時間の壁に対して、短時間で効果的な救難活動を行うにはAIは大きな武器になるのである。

    Case2. AI搭載無人機が登場

    画像: Case2. AI搭載無人機が登場

    現在の自衛隊では…

     領空侵犯の恐れがある国籍不明機に対する航空自衛隊の緊急発進「スクランブル」は、2021年度は1000回以上。国際情勢が混沌とする中、今後スクランブルの回数はさらに増えると予想される。1回のスクランブルに対し複数の戦闘機が飛行、それに備えて待機しているパイロットや整備員の心身に与える負担は非常に大きい。

    将来のAI部隊では…

     こうしたスクランブルの際に、有人の戦闘機に代わって対応させようと考えられているのが、AI搭載無人機である。過去のデータから一瞬のうちに対象航空機の国籍、機種、所属部隊などを判別し、その対応もできる。

     また燃料やバッテリーがある限り、長時間の飛行も可能であるため、AI無人機を24時間態勢で巡航させて監視し続けることも可能だ。なによりも、トラブルが発生した場合に人的被害というリスクを回避できるのが最大の利点だろう。

    Case3. 戦術や訓練をサポート

    画像: Case3. 戦術や訓練をサポート

    現在の自衛隊では…

     自衛隊では、効果的な訓練方法や有効となる作戦の研究を日々行っている。その際に参考にするのは過去の訓練、演習、世界各国の戦争、紛争などに関するデータだが、有史以来、数々の戦いとともに無数の戦術、戦略が生み出されてきた。その全てを個人が閲覧するのは時間がかかるが、AIならば一瞬である。

    将来のAI部隊では…

     過去の膨大なデータ、戦歴を収集・分析するのはもちろん、ある局面における最善手を瞬時に提供することができる。また人の場合、自分の好みの戦術や人物、こだわりやクセ、固定観念に引きずられがちだが、AIは、人間の常識や固定観念によらない判断ができるため、人がこれまで思いもつかなかった方策を発見することができる。

     人間とは比較にならない速度で膨大な量のデータを取り込み学習したAIは、人間では不可能な確実性の高い予測・提案を可能にするのだ。

    ※漫画の内容は、想定に基づくイメージです

    (MAMOR2022年8月号)

    <漫画/吉田健二 文/古里学>

    自衛隊AI部隊、出動せよ!

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